タクティールケア2
タクティールケア
タクティールケアとは
『タクティールケア』とはスウェーデン発祥の『触れるマッサージ』ですが、まだ広くは知られていません。もっとたくさんの皆様に知ってもらい、タクティールケアが広まって欲しいと考え、ここに私の思いや実践して得た嬉しい反応などを書き記していきたいと思います。
まずは『タクティールケア』の紹介から。『タクティール』とはラテン語で『触れる』というような意味で、スウェーデンの未熟児ケアが発祥です。看護師が保育器内の未熟児に触れる機会を増やすと、体重増加や体温の安定などのよい効果が得られたそうです。それを手順化して認知症患者に応用したのが『タクティールケア』です。
スタッフのご挨拶
こんにちは、池岡ケアの北村です。タクティールケア®Ⅰ認定資格を持ち、ハローデイサービスとサニーデイサービスの利用者様に『タクティールケア』を実施しています。
実際には1日で平均3人から5人の利用者様にタクティールケア(主に手と足)を実施しています。認知症の方は初めてのことには不安を感じるので、タクティールケアを始めた当初は「他の人を先にやってきたら?」「私はどこも悪いところはないから」と断られることもありました。しかし一度実施させて頂くと断られることはほとんどありません。そして『気持ちいいわ』『眠たくなる』と言い実際に寝てしまう方や、『こんなに大事にされたことはないわ』と涙ぐまれる方もいらっしゃいます。心が穏やかになりリラックス出来ている証拠であり、また他人や家族に迷惑かけていると思いがちな利用者様の自尊心の向上につながっていると感じます。
最後に、カウンセラーのフィリス.K.デイビスさんの『わたしにふれてください』という詩にタクティールケアのすべてがあるような気がしますので、紹介させて頂きます。長いので抜粋しています。
<わたしにふれてください>
もしわたしがあなたの赤ちゃんなら
どうぞ、わたしにふれてください。
今までわたしが、知らなかったやさしさを
あなたからもらいたい。
おふろにいれてください、
おむつを替えてください
おっぱいをください
ぎゅっとだきしめてください、
ほおにキスをしてください
わたしの体をあたためてください
あなたのやさしさとあなたのくれる快楽が
わたしに安心と愛をつたえてくれるのです
~ 一部省略 ~
もしわたしがあなたの年老いた父親なら
どうぞ、わたしにふれてください
あなたが小さかったときに
わたしがあなたにふれたのと同じように
わたしの手をにぎり、わたしのそばにすわって
わたしを力づけてください
わたしの疲れた体によりそい、あたためてください
わたしはずいぶんしわくちゃになってしまったけれど
あなたのやさしさに力づけられる
どうぞ、何も恐れないで
ただ、わたしにふれてください
施術方法
タクティールケアは、両手で10分程度、背中や手・足、お腹や頭・顔を、ゆっくり1秒に5センチ進む心地よいスピードで包み込むように触れるマッサージです。決して押したり揉んだりはしません。特別な知識はいらず治療を目的とした医療行為ではないので、職種を限定せず、どなたにでも出来るケアです。
また足は足首より下、手も手首より下、背中も服の上から行うので服やズボンを脱いでもらう必要はありませんし、ほとんどが椅子に座って行うのでベッドに寝る必要もありません。椅子とタオルとオイルがあればどこでも気軽に行うことができます。
効果
タクティールケアを行うと(正式には8分以上相手の体に触れ続けると)、『オキシトシン』という幸せホルモンが出てきます。
オキシトシンが分泌されると
- ①幸せな気分になる
- ②脳、心が癒やされ、ストレスが緩和される
- ③不安や恐怖心が減少する
- ④痛みが軽減する
- ⑤他者への信頼の気持ちが増す
- ⑥社交的となり人と関わりたいという好奇心が強まる
- ⑦親密な人間関係を結ぼうという気持が高まる
などの効果があります。