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最速インディアン

おお、夏だ。サマー・ハズ・カム!と思わず叫んで表通りに駆け出してしまいそうな日曜日でしたが、皆さんは楽しく過ごされたでしょうか?

 

僕は久し振りに映画を見ました。といってもDVDですが、「世界最速のインディアン」です。前から見たかったので借りてきました。

 

これはどういう意味か?インディアンの100m走のアスリートがいたか?いいえ、違います。インディアンはオートバイの名前です。1920年型。アメリカのユタ州にボンネヴィルという塩水湖が干上がった場所があり、そこは平坦で広大でカチカチのためスビードレースをするにはうってつけの場所なのです。そこでとりあえず直線をぶっ飛ばして一番早く走ったチャンピオンを決める(車種、排気量により分けている)レースがあり、そこに出るため生活のすべてをささげている63歳のニュージーランド人の話なのです。

 

63歳、結構なお年ですが、僕の印象ではまだ若い。演じているアンソニー・パーキンスはもっと老人に見えます。あんなハンサムボーイでもこんなに変わるのかとやや複雑な気持ちを禁じえませんが、まあストーリーに関係ない。ともかく老人扱いされている主人公が、自分のやりたいことを実行するため素晴らしい実行力、ガッツを見せ、多くの人の共感を得ていきます。

 

いい台詞が沢山出てきます。

「夢の無い人間は野菜と同じだ」

「老人は暗い隅でおとなしくしてろと思っているのだろう。笑わすな」

「古いバンジョーでもまだ音は鳴るもんだ」「使わなきゃ弦も錆びるわよ」

(これは女性と仲良くなったときの台詞。うー、びっくり!・・・でもないか)

「おれは親父の言いつけでタバコと酒はやらない。それで元気でいれるんだ」

(まあこれは医者の観点から)

 

はじめは奇異に思っていた人々が、なんとなく協力していく姿はとてもいい感じです。しかしいろいろあるけど、アメリカ人って自分の手間とか時間を気にしないで手を貸してくれるいい大人が確かに結構いるので(日本人は忙しすぎるのであろうか)何か可能性が開ける感じはあるな。ぼくも同様の老人が周りにいたらきっと手を出そうと思いました。自分の効率じゃなく人に手を貸すこと、これはすごく大事だよな。

 

とりあえずやりたいことをやるのに年齢は関係なし。これが答えだ!

 

 

マーダーボール

 連休だー。この前の連休は抗加齢医学のセミナーだったので何も予定をいれず(と言ってもほとんどPCの前に座ってパワーポイントをいじってますが)、オフを満喫している感あり。この前何かの統計で睡眠時間の各国比較があり、日本は6時間強で世界の中で最も短時間の部類であり、最長はフランス(8時間強!)というのを読んだ。フランスは世界の中でも考え方が際立って個性的という印象が強いですが、何か長い睡眠時間も関係ある気がして休みはフランス人並に寝る。

 DVDを借りてきて観る。「マーダーボール」。車椅子ラグビーのドキュメントです。アメリカナショナルチームの暴れん坊の選手と、元アメリカチームの選手で年齢が高いため選に漏れ、それを不服としてライバルであるカナダの監督に就任した2人を軸にして構成されています。日本では「リアル」という車椅子バスケットをテーマにした井上雄彦氏の素晴らしい漫画がありますが、この「マーダーボール」も素晴らしい。殺人ボールというタイトルどおり車椅子ラグビーはハードなぶつかり合いですが、試合のシーンよりアテネのパラリンピックに向けてライバルの2国のチームに属する選手の生活、精神の流れが描かれています。

 彼らの周りの人々、恋人たちの様子が日本とだいぶ違う気がする。障害者に対して自分たちと同じというスタンスで接している(心の中はもっと複雑だと思いますが)人々の様子は僕の心の中に何かを残しました。

 ライバル同士の激戦で(本当にこれほんと?と思うくらいの接戦が続く)負けたチームの様子は心を打たれます。勝つことの意味合いが肢体に恵まれたアスリート達より大きい気がします。泣ける。

 足が動かなくてもどこかが痛くても時間は流れます。「五体不満足」の乙武洋匡氏がとりあえず悩んで蹲ってないで行動すること、視点が変わると世界の景色が変わり自分も変わると述べていました。僕もボーとしている怠惰はイカンとしみじみ思いました。この連休だけ許してね。

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ボヤボヤすんなよー!

007

 どうもやたらやることが多く、ブログ書くところまでなかなかたどり着かない。考えてみると僕が今までの生涯で最もハイブロウなレベルの本を読んだり映画を見ていたのは17才から20才くらいの頃か。なんというか行動も速いというか、実感的に使える時間が豊富だったからという気がする。余暇が文化を生むのか?今は仕事に追われる独楽鼠みたいなもんだ。なさけねー。

 疲れると頭を使わないで済む体験を好むようになる。この頃車で聴くCDも軟弱です。今夜は007-ジェームスボンドのサントラ集。

 僕は父親が映画好きなせいで小学生の頃からいわゆる大人の映画をよく見ていました。森繁の「社長漫遊記」とか「駅前」シリーズとかも。007も勿論第1作の「殺しの番号」から見ていて、タイトルバックで3人の黒人がシルエットでジャージーな音楽にあわせて歩くシーンを今でも覚えています。勿論!007はショーン・コネリーしか考えられない。

 僕の持っているCDはよく出来ていて、あのいかしたテーマは勿論のこと、相当新しい作品も入っています。イギリス製。久しぶりに通して聴いて、今まで一番の名曲は「ロシアより愛をこめて」だと思っていたのですが、実は一番好きなのは「サンダーボルト」だと気がつきました。トム・ジョーンズ熱唱!あとシャーリー・バッシーの歌う「ダイヤモンドは永遠に」とかルイ・アームストロングの「愛は総てを越えて」、ナンシー・シナトラ!「007は二度死ぬ」(日本ロケのやつね)とかね。

 冷戦時代も終わりスパイ物は流行らなくなりましたが、あんなにワクワクしたお話はもう出来ないのでしょうか?007で見たアストンマーチンDB5はいまだ僕の知る限り最もカッコのいい車ですが、何はともあれ憧れの目で見てしまうようないかしたスパイ映画をもう一度作って欲しいものです。今の時代だとパロディにしかならないのかな。

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はげてもかっこいいけどね、これ!

時をかける少女

 いやー、休みっていいなぁー。僕は映画が大好きなのですが、最近はDVDを借りても、なんと!時間がなくて断腸の思いで観ないで返却したりというバカなことをやっていたのです。連休は心置きなく鑑賞できて大変嬉しい。

 今日は「時をかける少女」のDVDを観ました。といっても原田知世のやつじゃなく、去年公開されたアニメーションです。全国で6館だけでしか公開されなかった(なんで?)のですが、日本アカデミー賞やカタロニア国際映画祭のアニメーション部門で賞を取っています。昔原田知世のやつは観た記憶があるのですがストーリーは全然違う。詳しくいうとあの映画の知世ちゃんはおばさんとして登場してきます。現在が舞台です。

 これがなー、ほんとにいい。泣ける・・・・。割と信頼すべき筋からいいよって話は聞いていたのですが、いやー、心が洗われます。実は昨日も見て2回目なのですが(少しストーリーに気になるところがあって確認した)、よけい泣けた。SFだけど現代高校生のいい、ひねりの効いたラブストーリーです。

 タイムリープで何度も近い過去へ遡ることになるのですが、やはり今、1っ回こっきりだから素晴らしい、大切にしようねと思わせます。僕はアニメはあまり好みじゃないのですが(人間の表情が1番素晴らしいと思うから)いや、好き嫌いはいけません。

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主役3人の声がとてもいい

 

真夏の夜のジャズ

 昨日もお昼は夏だったですねー。ついなつかしのDVDを見てしまいました。「真夏の夜のジャズ」です。1958年のニューポート・ジャズフェスティバルと、同時に開催されたヨットのアメリカズ・カップのドキュメント。僕は3歳ですね。30年以上経ってニューポートを訪れたのですが、雰囲気はあまり変わってなかったような気がします。

 このフィルムはともかくお洒落です。DVD評は必ずお洒落、かっこいいというのしか書いてないですが、まあ、それしか言えん。ミュージシャンは勿論ですが、というより図抜けて観客がかっこいい。もーすごい!です。アメリカ人ってこんなに垢抜けてたっけ。アメリカっぽくなくヨーロッパの匂いがします。なんというか若いアメリカというのは本当に初々しい青年の雰囲気がしますね。甘酸っぱく若草の匂いです。みんなのどこかに触れてくる、柔らかい部分をついてくる、胸きゅんの雰囲気。

 ミュージシャンは映っている人よりももっといい人が沢山出ていたのですが、なんというか音楽的なものより他の何かが優先されたのでしょう。でもこの映画はドキュメントで、参加している聴衆の、街の映画と思います。ジャズとヨット、フェスティバルの雰囲気が主役です。

 実にクラッシックですが、完全に時代を超えています。真にかっこいいものは時代を超える。オールディズ・バット・ゴールディズ。上品で本物。見習いたい、是非。目指せ、クラシック。

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ぜひ見るべし!

言葉と響き

 今日は休養日で『2046』を見る。木村拓哉が出て、カンヌでどうたらと話題は多かったが映画評は芳しくなかった。敬愛する僕の元ボスが激賞していたのだが、正直なぜあれほどほめたのかよくわからん。ほめている人間と映画の種類がちょっとミスマッチなのだがなぁ・・・。しかし好きか嫌いかといえば好きな映画です。

 話題が大きすぎたからで、何も知らずこれを見たら拾い物だ。映像もいいが、印象に残ったのは音です。

 お昼に窓を開けて風の吹き込む部屋で見ていたのだが、広東語、北京語、日本語の響きが美しい音楽とミックスされて、本当にうっとりしました。風の香りとあいまって至福…です。

 言葉は響きだと思う。内容より喋り方、そして響きではないかな、実は一番他人に影響を与えるのは。

 ここらへんはちょっと意識したほうがいいな、と人と話す機会の多い開業医は思った。そして、これからアジアの映画を集中して見よう。いいよ。