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ふくしまカンバッジ

 インフルエンザが爆発している今日この頃、午前の診療がやっと終わるかという頃に、僕が嘱託医をしている社会福祉法人の理事長A氏がふらりと現れた。彼は僕と年齢も近く何となくウマが合うので割と飾らなく話ができる人である。苦労人であり強者の雰囲気がある。

 「おっ、めずらしい」「インフルエンザで一杯と聞いていたからどうしようかと思ってたらガラガラじゃないの(と出合い頭に嫌味をかます)」「もう終わったの。今日はどうしたんですか?」「いや、実は今日は営業に…」

 東北の震災で障害者の方の事業所も致命的な打撃を受け、今やっと立ち直ろうとしている。南相馬市の事業所がその一環として障害者の方の手作りのカンバッジを売ろうとしている。いくらか買ってほしいとのことであった。

 震災では何か協力できないかとJMAT(日本医師会災害医療チームのこと。災害派遣医療チーDMATはプロ集団で超急性期に派遣され、JMATはその後を引き継ぐというイメージか)に、外来チーフのO嬢とともに登録した。しかし結局組み合わせの問題で派遣されるまでには至らず、その後も物資を送ったりしていたが何となく気持ち及ばずという感じがしていた。お安い御用である。

 「もちろん!スタッフの分も全部買うよ」という話をしていたらO嬢が「うちで扱って患者さんにも協力していただいたらどうでしょうか?」と提案した。グッアイデア!それがいい。何故思いつかなかったんだろう。

 というわけで外来の受付において、エレベーターにも広報した。1個150円。昨日いくつくらい出たのと訊いたら、1日ちょっとで35人の方が買ってくださったそうである。みなさん素晴らしい。

 スタッフはみんな付けている。僕も付けることにしたのだが、「院長は診察室に入って来たときに渡しますのでそこで付けてください。出るときははずしてください」と言われた。「なんで?」「すぐ無くすから」・・・トホホ。

ディスクガイド ガイド

この前、書評やCD評なんぞあてにならないと書いた。と、その舌の根も乾かぬうちに、CD評の本を2冊も読んでいるのである。あきれたものだ。でもよかったぞー。

その本は「マーシャル・マクルハーン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽。」と「200CDロックンロール」(こっちの監修はシーナ・アンド・ロケッツの長身メガネのカッコよすぎる鮎川誠氏)。ロックンロールの方は小西氏の本の後書きに褒めてあったので読んだ。

小西康陽氏は解散したピチカートファイブ(こんなにセンスのいいバンドがあったであろうか…空前絶後だと思う)のリーダー、というよりプロディーサー、音楽おたくとして有名だが、文章家としても僕の最も好きな人。彼の「これは恋ではない」「ぼくは散歩と雑学が好きだった」「東京の合唱」は僕の宝物である。で、このディスクガイドもハイセンスである。大体この本のタイトルの意味は何かね?

いろいろなセクションに分けてCDを紹介してあるのだが、その章のタイトルも「こういう声に生まれたかった」「ブラックコーヒー」「印税生活者たち。ドル・ユーロ編」「昨日、エレヴェイターの中で聴いた」「1974年以降の音楽に聴くべき価値などない」とくる。嬉しくなってくるなー。当然CD評もすごくいい。セロニアス・モンクはソロピアノを選んであるのだが「とても美しい顔をした少年が微笑むと、前歯が2本欠けている。セロニアス・モンクのことを考えるとき、いつも思い浮かべるのはこんなイメージ。」とか、マッカートニーのRAM「無神経さと繊細さがこれほど見事につづれ織りとなった作品も珍しい。「ラム・オン」の導入部や「アンクル・アルバート」の間奏の詩的な瞬間。確かに鼻持ちならないほど嫌な男だったのかもしれない」とか、フィフス・アベニューバンド「大学に入ったらこんなバンドを作ろうと思った。この年齢になっても、今度バンドを組むなら、と考える。現代の若いリスナーにもこの作品はいまだ力を持つのだろうか。就職なんかしないで生きよう、と思わせる説得力を」。・・・というわけでゾクゾクしながら楽しんで読めた。

「200CDロックンロール」は感じが違うけど、同じく名文満載。「パンクというのは瞬間最大風速なのだ」とか「ロックはアティテュードや。構え方とかさ。それが全部入るんよ。趣味も入るし面構えも入るし、本気ちゅうことも入る。本気じゃないといかんけんね、アティテュードゆうのは。これはその全部に満ちとるんやなあ」と鮎川氏の博多弁そのままで元気が良くて非常に気分がいい。

ディスクガイドだけど2冊ともいつも以上に著者のパーソナリティがとっても強く出ていて、そこが魅力だ。好きなものを言えばその人がどういう人か判るね。そして好きな人が好きなものを一生懸命解説してくれる。それを読んで気に入らないわけないな、考えてみると。だからこのお二人を好きじゃない人は読んでもつまらないかもね。

小西氏推薦の中からオルガン、ベース、ドラムという編成で時にストリングスが入りスタンダードを歌うというイギリスのロックバンド(モッズですね)、ザ・ペドラーズを購入。ハズレかと思いきや、あまりの僕の趣味とドンピシャに感動したのであった。よかった。

置いてあると、ついパラパラと読んでしまう。

うそー

 テレビを止めてから本を読む時間、音楽を聴く時間が増えた(大体並列してやってるもんな)。喜ばしい。で最近読んだ本であるが、「このミス」や週刊文春などメジャーなミステリー年間ベスト10で3冠達成という「2流小説家」を読んだ。

 楽しみにしていたんだよ。売れない小説家が獄中の連続殺人鬼から告白本の執筆を依頼されるが、それには交換条件があって・・・というなかなか楽しそうなストリー。3日ほどで読了した。確かに結構熱心に読みたくなるストーリー展開ではあったのだが、3冠?これがねー、うーん、と言うのが正直なところ。数年前に同じ早川ミステリーで絶賛されていた「あなたに不利な証拠として」という女性警官を主人公とした短編小説集の方が数倍深みも凄みもあったぜ。

 もちろん好みがあるので選考がどうのこうの言う気はないですが、最近ベストセラーで評価も高い和製ミステリー「謎解きはディナーの後で」にいたっては、冗談はよせというくらいつまんなかった。最後まで読めず。周りにも同じ感想のミステリー好きの人が結構いた。で、思うのだが、この前「食べログ」の採点偽装事件があったよなー。ネットでの評価は、商売としていい採点を請け負っている会社がいっぱいあるので全く信用できない感じになってしまった。書評は違うとは思うんだけど・・・。

 口コミは本来もっとも信用できるものだったのだが、これからはマスメディアやネットにのると、ちょっと眉に唾をつけてかかった方がいいのかもしれない。淋しいことだなー。金儲けばかり考えていると罰が当たるぞ。大体便利ということはなにか裏があるというものでもある。本もネットで買うことが多くなり、その時書評やら感想の書き込みを参考にしていたのだがアマゾンでも相当痛い目にあっているし、もうやめとこ。

 でこれからはちゃんと本屋さんに行こう。自分でパラパラして何か感じるものがあった本はやっぱりいいものが多い。音楽もユーチューブがあるし、一度ちゃんと聴いてから。何でも自分で確かめよう。

(でこの頃は仕事をしているときは横にiPadがあってユーチューブで気になる曲を聴きながらというスタイルになっている。すごく珍しいのがいっぱいある。楽しい。こうなると本当にCDはいらないな。時代は変わる。)

でも悪くないっすよ。

カロリスです。

 年末に嘔吐下痢症にかかった。多分ロタウイルス。生涯3回目の点滴をしたが、1リットルいれてもおしっこに行きたい気がしなかったから相当脱水だな。2日ほど全く何も食べず水分のみ。仕事はやってました。感染源となるのはまずいので、外来ではトイレも行かず(おう吐物や便にウイルスは排出される)真剣に手洗いをする。医者になって32年だけど病欠は1日もない。ガールフレンドがらみのズル休みは数日ある。そこが僕の詰めの甘いところだ。

 でそれ以来、これはカロリーリストリクション(CR)のいいチャンスだ!と考え食べる量をかなり減らした。CRは抗加齢医学に関心のある人なら聞いたことがあるかもしれない、ホットトピックと言うよりは今や常識か。

 哺乳類を含めあらゆる生物で寿命を延ばす唯一の確かな方法は摂取カロリーを減らすことである。25%減らすと約1.5倍健康的に寿命が延長する。下の写真のお猿さんは同じ年齢だが顔つきも身体つきも右のお猿さんがずっと若く見えるし実際能力も高い。飼育方法の唯一の違いは左は好きなように食べ右はカロリー制限をしたのである。、

 ちょっとハードな条件に置かれると生物は生き延びようとして老化が止まるようだ。厳しすぎるのはだめだけど。原因はもう特定されていて長寿遺伝子であるサーチュインの活性化が起こるため。サーチュインは赤ワインなどにも含まれるレスベラトロールの摂取でも活性化する。去年NHKでこの話(お猿さんも登場した)が特番であって、それ以来レスベラトロールのサプリはネットでごまんと出ている。効果のほどは実証できていない。それより食べる量を減らし、ちょいきつめの運動を定期的にする方が間違いなく確実。

 食べることというのは元来ストレスであるらしい。消化管は内臓とはいえ口から肛門までの管で、その粘膜面は外界と接しているわけで、実は身体の外といえる。何が含まれているかわ判らない食物が通るので防御のため免疫グロブリンはかなりの部分が腸管で作られる。

 CRは今食べている量の25%を目指すのだが、大体「いつもお腹がすいている感じ」を当初の目安とする。これが慣れるとなかなか快適である。大体食べ過ぎると気分悪くなるでしょ?

 で、今のところまあまあ続いていて、体重も1.5Kg減というところである。めちゃめちゃストイックにやると性格上続かないのが分かっているのでまあルーズに続けていこう。前回書いた「禁!アルコール、スイーツ、テレビ」もルーズに続いています。

チェンジ!

 新年も明けました。もう4日です。明日は木曜日、仕事始め。

 毎週木曜日は介護スタッフに朝礼をする日である。介護部門と医療部門は2つのビルに(と言うほど大層なもんではないが)分かれて仕事をしており、僕は普段あまり介護スタッフと顔をあわす機会がない。そのため朝礼をすることにした。

 ほんの2,3分、ごにょごにょと感じていることを話させていただいているが、今年から大きくやり方を変えることにした。簡単に言うとスタッフ参加型である。1回の朝礼で1人1分ずつ話してもらうことにした。テーマは決まっている。そのフィードバックもすることになる。

 今年は変化の年だ。各国の指導者も変わり、日本の政治経済も変わり、大阪も変わるだろう、多分。

 変わることはすべてよし!と教えてくれた人がいた。個人的にもすでに大きく変わったことがあり、もっと変わろうと思う。えー、例えばですね、一つ具体的に言うと、つまんないですけど「禁!アルコール、スイーツ、テレビ」というところ。禁!は無理でも前年比90%減は絶対ね。実のところあまり難しくない。

 ということで今、現在からスタートします。

実はこれが一番難・・・