カテゴリー別アーカイブ: 抗加齢

外来のシャーロック・ホームズ

日曜日に「第13回見た目のアンチエイジング研究会」に行ってきました。東京です。ほとんど始発の新幹線(泣)。ここんとこ毎週のように土曜、日曜と研究会に行かざるをえず(大泣)。しかしやはり行くとそれだけのことはあるもんで(たまに無駄足!(泣))、なかなか収穫がありました。今日はその内容というよりも関連して医学における見かけについて。

見た目年齢がその人の健康年齢である。実年齢よりも見た印象。60歳の人が80歳に見えたならその方の内臓機能は80歳レベルの可能性がある。成人においてこれはかなり確かで、それを証明する論文も結構あります。高齢になった双子で若く見えるほうが結果的に寿命が長いという論文もあります。同じDNAでも生活環境により変化する見かけが予後を示すのですね。おっさんみたいに見える小学生(診察室に「どうも」と言いながら入ってきたちっちゃなおっさんみたいな小学5年生がいました)の健康度がおっさんみたいということはまずないですが、中高年における見かけはかなり健康状態を反映します。

だいたい病気というか、コンディションが悪いとかなり老けて見える。お子さんの風邪でよく来られるきれいなお母さんがご本人が調子悪くて来られた時、「んっ、Who is she?」と一瞬思うくらい変貌されるのは(最後まで分からなかったりもする)、単にスッピンだからというわけではありません。また長く慢性の疾病で苦しまれていた方が手術により軽快した時、そのあっぱれな全身の輝くオーラ、10歳は若く見えるのはやはりコンディションの反映と思われます。

それこそ40年近い昔、僕が研修医だったころの話です。胸部外科とのカンファレンスで手術適応ギリギリの高齢のため決行の決定が難しい患者さんのケースで外科の教授が主治医に尋ねた。「この人若く見える、老けて見える?」「若く見えます」「わかった、やろか」 !! その当時大胆な決定の仕方やーととても印象に残ったのですが、その当時から見かけはその人の身体予備能力を反映すると経験上分かっていたのですね。ベテランはすごいものです。

若さだけでなく、内分泌疾患で甲状腺機能低下の橋本病とか、副腎疾患のクッシング症候群、成長ホルモン異常の末端肥大症とかは外観で大体(知識と注意力があれば)診断がつきます。それ以外にも爪が丸く膨らんでいたりすると肺が悪いかなとか、単純に体が黄色い!黄疸!これは肝疾患とか。こういう一発診断は正解だとかなり医者として快感があります。そしてこのように明らかな病気というのではなくなんとなく調子が悪い、いわゆる未病の処方を決めるのにも、漢方では望診と言ってその人の全体的な見かけ、話し方、診察所見を決め手の一つとしています。実証、虚証なんてかなり全体の印象が決める気がします。

ということであなたの健康状態はかなり見かけで分かる。aging、加齢程度も実年齢は参考程度で実は見かけが大事と。しかし最近の医療はデータ重視で、こういった観察の印象を余り重要視していない感が無きにしもあらず。医者は1回も自分の顔を見ないでPCの画面を見たままで診察が終わった、なんて話もあったりする。AIが本格的に医療現場に入ってくるともっとその傾向が強くなるかもしれません。

シャーロック・ホームズは依頼者やワトソン博士を見ただけで、どこから来た、何をしていたなど正確な推理を観察した事実を根拠として述べて驚かせる。子供時代に読んだ時、かっけー!とぞくぞくしました。足元にも及ばないにしろ外来でもそうありたいなーと思ってます。

 

 

 

 

 

男はとっても寂しいもの (Man We Was Lonely)

僕のクリニックでは専門外来が2つある。「男性(更年期)外来」と「認知症外来」である。

この2つは全然関係無いようだけど、ともにクリニックの基本的なコンセプトである、子供からご老人までをカバーする「みんなのための、誰にでもできる抗加齢医療」の範疇内だ。そして患者さんを診ると、男性更年期も認知症も突然ぽこんと発生したもんじゃなくて、今までのライフスタイルの一つの帰結じゃないかという気持ちになることが多い。男性更年期障害になる人はひょっとして認知症になりやすいかも。

二つとも悩みの度合いは深いようで、両外来の半数以上の患者さんが城東区外から来られている。で、今回は、最近患者さんが増加している男性外来について。

男にも更年期はあるが女性と比べ性ホルモンの低下度合いはゆっくりなので、女性のように明らかな症状が出ることは少ない。男性ホルモン(テストステロン)の特徴:攻撃性、社会性、運動能力、筋肉をつけ脂肪を落とす、骨を強くする、快活でよくまわる頭脳、性的にも快活、といったところね。更年期というか、テストステロン低下だとその逆の症状となる。活気なく、鬱っぽく、やる気が出ない、メタボになってきた、おねえちゃんを見ても何も感じないです・・・。

あの人じゃない!?とうなずかれる方も多々おられると思いますが、このような男性は稀ではない。問題なのは、今までそうじゃなかったのに、年齢を経るとともにこの傾向が出てきた場合で、それを男性更年期という。

外来をやりだした当時、中高年の疲れたおっちゃんばかりと思っていたら、思いのほかテストステロンが低いかもしれないので測ってほしいというヤングマンが多く、どう見ても彼らは草食系で、草食系に見える若年男性はほんとに男性ホルモン値が低い!というのを小さな論文にして医事新報に載せてもらった。 ホルモンは結構外観に反映する。今ではパッと見て大体のホルモン値が予測でき、しかもあまりはずれない・・・ということもないか。

最近は名前にたがわず疲れた中年男性が多い。ほとんどは仕事上、もしくは家庭のトラブルという明らかな原因があり、通常の診断名をつければ鬱傾向、適応障害に近い。彼らの多くは一般的な内科的検査では異常が出ず、何か納得のできる診断を付けてほしいと望まれて来院される。感情的なストレスはそれ自体でテストステロンを低下させるので、多くの方は明らかな低下を示す。精神科の領域と思われた方には病院をご紹介するが、それ以外の方には話し合って男性ホルモンの注射を2~3週間おき、もしくは毎日軟膏塗布などの治療を行う。有効率は80%近い。

男性ホルモン充填療法とともにカウンセリングというか、よくお話をお聞きする。

ひじょうーに身につまされる。悩まれている内容が痛いくらいよくわかるのである。男の歴史である。無理ないなぁと思い、心からよくなってほしいと思う。幸いなことに多くの方は3か月から半年以内に回復する。興味深いことに調子が良くなると、注射しなくても高いテストステロン値が維持できるのである。また調子悪いです、と再来する方もいるが、男性ホルモン充填により再び元気を取り戻す。

調子が良くなると上がり、悪くなると下がる男性ホルモン。

勝手なやつです。

これに絡めてお話すると皆さんとてもよくご自分の状態を納得される。男はテストステロンに依存してんのかなぁと思う。

Man We Was Lonely .  男はとっても寂しいもの。

こういうと、女もよ!という言葉は当然予想しております。この言葉はポールマッカートニーの曲のタイトルで、男女のカップルが今まで寂しかったけど今は幸せよ!というちょっと予想外の意味が本来wereがwasになっているところに含まれているという曲者なんですが、本当にそういきたいですね。

 

 

マイ・パーソナル・トレーナー

Ultimate Fighting Championship(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ、略称UFC)はウィキペディアによると「世界58カ国以上から最高峰の選手が常時600名近く参戦し、26カ国153都市以上で大会を開催、156カ国以上でテレビ放送されている、実力・人気共に世界最大の総合格闘技団体」で、フェザー級のチャンピオンは写真に写っているタトゥーだらけのマックス・ホロウェイである。その左、マックスの出身であるハワイ州の旗を持っている若い男が僕のパーソナルトレーナーであるタケちゃん、井谷武君です。彼は日本人として初めてUFC チャンピオンのセコンドに付いた。

僕はかれこれ6年近く彼のパーソナルトレーニングを受けている。両側人工股関節置換術を受ける前の、痛みと歩行困難のうんざりする時期に筋力アップを考えて知人から紹介された。ムキムキマッチョという外観の変化が筋トレの目的という間違った認識を、抗衰老(アンチエイジングの中国語)における最強の手段という正しい理解に変えてもらった恩人である。

手術前後は結構力の入ったメニューで、事情を知らない人から「身体大きくなりました?」と尋ねられるくらい筋肉量が増したこともあるが、最近は筋力体型維持(糖質制限を始めたこともあるけど体重は30代後半の重さでその頃のズボンがはけるようになった。物持ち良すぎ!)、コンディショニングが中心になって、トレーニングしながら彼の話を聞くのが大きな楽しみである。ジジイか!

彼は高専柔道優勝校のメンバーであり総合格闘技選手を目指していたが、ブラジルでの修行後に頸椎骨折しトレーナーに方針を変えた。個人のジムを開設するところまで行ったのだが契約のトラブルに直面していたところを友人が僕を紹介したというわけ。パーソナルトレーナーとして僕が彼の最初のクライアントである。

彼の話を聞くたびに、信念はその人間を希望する方向に導くと思う。努力を彼はあまり話さないが、それなしで今の生活は築かれない。京都大学柔道部のコーチとして七帝戦での優勝という成果を上げる、マックス・ホロウェイのトレーナーとして月に一度ハワイに行く(勿論旅費はマックスもち)なんてことだけでもすごいが、ファッションにも興味があって制作した柔道ショーツはレオンの通販で一番人気、アメリカのセレクトショップにも置かれている。彼の言葉「貧相な身体ですごくおしゃれしている人って、なんかやたら飾り立てた軽自動車みたいでかっこ悪くないですか?高級スポーツカーってシンプルで、それだけですごくかっこいいですもんね」というのがファッションポリシーか。

そんなことを話すと人は「やり手なのね」と言う。頭が回り、権力のある人の間をうまく立ち回れる人間って感じ。実は彼は最もそういったことから遠い人だ。むしろ不器用、嫌なことでも利益があればやるということが出来ない。いくつかの魅力ある要請を彼は断っていて、なんで!?と俗人の僕は思ってしまうが結局納得する。話の裏にあるビジネス最優先の感覚に敏感に反応し拒絶してしまうのだ。ハートが無ければだめ。それが分かればむしろ彼にやってほしいという人も多くいて、それが彼の仕事につながっていく。

会いたい人には面識が無くても連絡して約束を取り付けるとか、お金が十分無くても必要と感じたら海外でもどこにでも行くという行動力、人の興味を引く体型(スーパーマンみたいなのだ)、謙虚な人柄、なんてところに、最近すごく進歩しているコンディショニング、痛みをとる技術が人を呼ぶ。もうすぐ大手出版社から本も出すようで、僕なんかが朝の7時からパーソナルトレーナーをやってもらってていいのかなぁと思うが、これも腐れ縁とあきらめてもらおう。

森林セラピーに散策は必要か?

横浜での第19回抗加齢医学会総会も終わった。当院から鍼灸院院長の小西先生が「森林セラピーに散策は必要か?」のタイトルで口述発表。

森林セラピーはごくシンプルに言うと、森の中で過ごす時間を持つことが心身にいい影響を与えるので森に入って日頃たまってるストレスを減らしましょうということ。医学的にも実証されているのでセラピーという言葉が使われている。

樹木の出すフィトンチッドがリラックス効果をもたらすといわれているが、多くは軽い散策を伴っている。もちろんせっかく気持ちのいい森の中にいるんだから少し動いた方が楽しいよ、景色もいいし、ということであろうが、小西先生の「森林セラピーの効果って歩くことの効果じゃないのかしら?別に森の中じゃなくっても」という常識を覆す発想から始まった。いいぞ小西!ナイスな発想だ。

少し前から町興しの関係でつながりのある奈良吉野町に森林セラピー基地があり(森林セラピーのできる森は基準があり日本では63か所のみ)、そこで地元の女性16名に協力をお願いして小1時間の軽登山を行う人たちと、森の中でほとんど動かずハンモックでゴロゴロしている人たちの2グループに分けてリラックスの色々な指標を測定し比較した。上の写真はセラピーロードの一部ね。

結論を言うと、森林セラピーは確かに血圧を下げたり身体にとっていい影響をもたらす。それは両グループとも一緒。でも心理的なリラックス効果は散策をしたグループの方が有意に強かったのである。やはり軽い運動を加える方が全体的に満足感が強いことになります。でも身体に支障があり歩くのが苦手な方でも森の中にいることはそれだけでいい効果があるのであった。

自然は偉大だなぁ・・・

僕の1年は臨床は別にして、この学会に出すこと、そして7月の抗加齢研究会に出すことの2つが軸になっている。その内容をきちんと論文にしていけば1年の落とし前がちゃんとつく。森林セラピーは小西先生が頑張ってくれそうである。でも僕には書かなくてはいけない宿題がまだ2つあるのですが・・・。

僕と同年配で同志である福岡は髭のN先生(学会での飲み会では漫才をした。下記の写真)は、ある時ラインで「今英語の論文を書いています。遊んでばかりじゃだめですよ、清光くん」とぬかしやがったのでありますが、まさに正鵠を射たその忠告に僕は3日ばかり机に突っ伏して動けなかったのである。やらなあかんことは怒涛のようにあるが、その中で論文を書くというチョイスはまさに鉄人。彼の爪の垢でも煎じて飲んで(しないけど)、頑張ることにします。

抗衰老

この前、済生会野江病院が主催する大阪市東部地域医療連携学術講演会で「老化と薬」のタイトルで講演をした。薬は特定の病気を治療するために設計されるわけだが、治験の最中で違う良い効果があることが分かり適応を変更する(男性型脱毛症AGAの薬ミノキシジルは最初血圧を下げる薬として開発されていたが、治験中髪の毛が生えてくる事例が続出し方針転向)ことや、現在ある薬を用いて違う効果を期待する使い方をする(Old wine in new bottle と言う) ことはそれほど稀ではない。

で、僕の専門の一つである抗加齢ーこの言葉より上の写真にあるアンチエイジングの中国語である「抗衰老」の方が思ってる感じに近いーに効果のある薬はないかと探したところ、これがあるんだなぁ、いくつか。その中でもハイレベルで有名なCellという学術誌に掲載された7つの抗衰老の方法の中にあるメトホルミンという薬を取り上げることにした。

メトホルミンは昔からある糖尿病の薬だが、老化に密接に関係するインスリンに関係なく血糖を下げる。ある時、糖尿病患者の死因分析の研究で、メトホルミンを内服していた人は有意に癌死が少ないという結果が出た。減少した癌の種類は多種多様で、それ以後の研究でも膵臓癌や大腸癌などの消化器癌から乳癌や子宮癌、脳腫瘍など多岐にわたる発生率の抑制がみられたのである。

そのメカニズムだが、メトホルミンは細胞内でmTORC1というたんぱく質キナーゼの活性を阻害する。mTORC1は細胞の状態によって細胞を癌化もしくは老化に促進的に働くので結果として癌の発生率をおさえ、老化も抑制することになる。それ以外にも細胞内、ミトコンドリア内でメトホルミンは色々な作用を持つことが最近多く報告されており、臨床的にも心血管疾患を予防するとか認知症にも有望、なんと大腸ポリープの発生率も40%抑えるというデータも出ているのだ。いいじゃないか、メトホルミン。

抗衰老の方法は明確である。①運動 ②栄養 ③睡眠 ④社会参加 ⑤ご機嫌でいること、といったところかねー。各々何をどの程度というのは個人差もあり確実に数値化できないけどこれらのファクターは間違いなく健康に影響する。でも良いとわかってるけどできない、というのが一般的な感覚かな。だとすれば効く薬があれば嬉しいということで糖尿病の人はメトホルミンを試すのも手です。

でも一番大事なのはオレは「抗衰老」でいくぜ!という強い決意だと思うけどね。

B.C./A.C.

ブログの名前を変えた。「ゴキゲンジャーナル」。バナーも変えました。熱帯雨林の写真に浮かび上がる幼稚な文字と、サルと並ぶ着ぐるみ院長の写真。とてもちゃんとした人が書いているとは思えません。そう、 正解です。

でもこれから2週間に一度で更新します。よろしくっ!

でB.C./A.C.の話。これはビフォー・クライストではなく(紀元前後はB.C. A.D.ね)ビフォー・アンド・アフター・カーボハイドレイト・リストリクション。糖質制限前・後の話です。実は2か月ほど前から糖質制限をやっていてその力に驚いた。前後で自分が大きく変わった。

白米、パンはほとんど食べてないし、甘いものなんぞ毒としか思えないようになった。それでも食べているおかずには結構糖分が含まれていたりするので厳密に1日糖質何gでやっているかは不明ですが、100gはいってないと思います。制限程度は日によるというゆるいやつですけど。

①体重が3kg減少してそのまま維持。②お腹周りの脂肪が減少(ベルト穴にして2つ分くらい。古いズボンがなんなくはける)。③食後や勤務後に眠くならない。④疲れない(本当に!)上に安眠できる。⑤記憶力がよくなった(スタッフは認めてないけど)。などの変化がありました。同じようなことは糖質制限の本を書かれている先生方が述べられていますが、僕としては③④⑤あたりが実感できるのでぜひ続けたいと思います。

あまり厳格なのは健康によくないとか今だ評価が必ずしも医学的に確立はしていないですが、少なくとも短期的な効果に関しては間違いのないところです。僕のようなちょっとルーズなやり方でも血糖を持続的に2週間継続モニターしたところ(器械はアマゾンでも買える)、血糖値は140~70 mg/dl の間を出ることはなくケトン体が出ているか測定はしていないがインスリンのピーキーな分泌は起こっていないようである。これはいいんじゃない。血糖の著しい変動は諸悪の根源です。

白米を食べないとおかずの味がよくわかるようになり、食べる内容もちゃんと考えるようになり、いいことずくめで今のところ全く苦も無く制限ができています。少なくとも1年は継続して変化を見たい。糖化の抑制から老化を制御する、これは抗加齢医学的アプローチの現在のところのファイナルアンサーではなかろかね。

 

 

またまた抗加齢医学会

 5月の25,26,27日と大阪で抗加齢医学会総会がありました。地元です。会長も日ごろ仲良くさせていただいている近畿大学皮膚科教授の山田先生ということで、いつもの総会にまして心の中の重要度は高かった。

うちの発表演題の一つは、認知機能が低下すると和音を聴いた時に喚起される情動、気持ちが、普通の場合と異なってくるというもので、認知機能が低下するより前に嗅覚が落ちるとか認知症における感覚機能の低下が最近話題ですが、こういった情動に着目したものはほとんどなくてこれは自信の演題であった。といっても全くのオリジナルでなく、例年の抗加齢医学夏合宿で独協医大の岩波先生が発表されたものを少しモディファイさせていただいて、岩波先生も共同演者です。

僕は他のセクションで座長をしていたので小西先生が発表してくれたのを聞けなかったのだが、なかなか好評だったようで、これはペーパーに出来るかな。僕は座長が3つ、発表が1つとなかなか多忙でしたが、いろいろ勉強になることが多く、月並みであるが充実した大会でした。

それ以降、私的にも幾つかやるべきことが終わり、なんやかんやこれを書いている6月10日は、なべて世はこともなし。 気も抜けているがリフレッシュ感すごくあり。 明日から楽しみ。

 

63

63歳になった。いゃーびっくり、63というのはなかなか重みのある数字だねぇ。

20代の時はジジイ過ぎて想像もしない年代。でもいざなってみると、恥ずかしい話だが20代の時とそんなに変わんね。さすがに経験値が増えてるので世の中や人間の仕組みが少し透けて見えるので生きやすくなってるのは確かですが。

月並みすぎて申し訳ないが、速いー!パラパラ漫画のように時間が過ぎていく。

「邯鄲の夢」という中国の故事が好きである。若者が出世しようと街に出る旅の途中でふとウトウトした間に自分のこれからの波乱万丈の人生を一瞬の夢で見る、目覚めてその虚しさに気づき故郷に帰るという話。

僕も死の淵に立った時、ふと目が覚めると何も変わっていない10代の頃の僕が居たら、こいつは嬉しいな。故郷なんかには帰らない。ぜひそうなってほしいが叶わぬ夢?  いやいやそんなことはない。

僕が生まれた年の日本人の平均寿命は63歳。驚異の死亡率の低下がなければ今の僕は死の淵に立っていたはず、と。もう死んだも同然と。とすると、これは今夢から覚めたというふうに考えてもおかしくはない。

というわけで生まれ変わった気持ちでブログも再開、股関節の手術後ほんとに疲れなくなり体力的にはどう考えても若返ってるので63-X(恥ずかしくて書けない)歳で目が覚めたと、これから若気の至りを連発することに決定しました。

高血圧、じゃなかった高気圧ジジイ

高気圧

一昨日、突然幕がスルスルと上がって夏が始まった。全然違うやん、と朝、車に乗り込むときに思う。陽光が違うし蝉の声もダンチにうるさい。おお、麗しの夏よ、せっかく来てくれたのに後せいぜい2週間程度のお付き合い。仕事なんかしてる暇はない。

「夏とは単なる季節ではない。それは心の状態なのだ」 片岡義男氏の至言をかみしめながら。

退院してから沢山やること、やりたいことがあって手術前よりグッと時間が凝縮している。幸いにして世界の輝度は上がったまま。今までもったいないことしたな。でもそんなこと言ったってしょうがない。

先週、第7回抗加齢医学臨床サマーミーティングが東京トータルライフクリニックの馬渕先生担当幹事で浅草であった。これでシーズン1が終わり来年から心機一転、創立者田中先生の地元静岡からシーズン2が始まる。70人以上参加し幕切れにふさわしい充実した会で、発表内容もグレード高く、抗加齢医学会理事の先生方も「学会と変わらないね」と感想を述べられるくらいだった。当院も一見正常に見える外来定期通院患者さんの中から認知症を拾い上げる、スタッフの手間がかからない自己記入式のテストの成果を発表した。発表側が自信満々に較べその便利さがこちらの発表テクニックの未熟さでうまく伝わらなかった感あり、若干残念。しかし今度の抗加齢医学会までに症例数を増やしてまとめる予定で、何よりもスタッフが熱意を燃やしているのできっとうまくいくと確信している。

このミーティングは実際に抗加齢医学を臨床で行っているドクター、コメディカルが参加しているのだが、みんなの明るさが特徴だと思う。日常の外来で結構手一杯のはずなのに臨床研究をやるという人達のバイタリティと好奇心と自負は、日常の詰まらないことなんて気にしないという健康な明るさにあふれている。愚痴、なし。いいね。

運転しながら会であったことを思いだしていると、カーステレオから「高気圧ガール」が流れている。空気感がこの朝にぴったりだ。「夏だ、海だ、達郎だ!」という古臭いコピーを思い出し、この短い夏を楽しく過ごす策略に思いをはせ、そして高気圧ジジイじゃなくっちゃね、と思い至ったのである。

1955年産ヴィンテージ

porche

新年も明けて、また日常が戻ってきた。行き返りの車の中では瞑想 (寝てはないよ、多分ね) もしくは音楽を聴くといういつものパターンだが、昨年と違うのはmusicの種類がやたら増えたことだ。

Amazon の prime music である。年額4000円に満たない金額で音楽ダウンロードし放題という太っ腹なやつである。これでBluetooth をとおして聴く曲がやたら増えたのであった。Beatles までもがオリジナルで聴けるというのは衝撃であった。それにちょっとどんなかなーと思った曲、アルバムがすぐ聴けるので便利なことこの上ない。もともとAmazon の Kindle で僕の読書ライフが大変革を遂げたのだが(雑誌のブルータスまでもがダウンロードできるという衝撃!読みたい本がすぐ読める。この前クラウドをみたら600冊以上購入していた・・・)、今度は音楽、そして映画 prime video もである。このままでは抜けられず死の三重奏である。Amazon addict,、依存症である。いかん・・・。

と言いながら今日もちょっと興味のあった上田正樹、有山じゅんじ、山岸潤史という、知ってる人は、おおっー! というメンバーのBitter Sweet soul というアルバムを聴く。極めてよろしい。上田+有山 の「ぼちぼちいこか」という全編大阪弁のソウルアルバムは僕のfavorite だが、それとはまた違う。くそ真面目でなく脱力したハーフシリアス。ええなーこの、なんというかいろいろ苦労もしてわかってる感じ、うーーーーむ、この味はこの年じゃないと出ないね・・・・。

僕は自他ともに認める新しもん好きであります。でも、このごろ安らぎを感じ、心よりいいな――と思えるのはアンティックというか、時代を経てその美しさにますます磨きのかかったものなのです。今は何でもバーチャルでもなんでもすぐできちゃうのだが、その分本当に時間のかかったもの、歴史に耐えたものが貴重になってきたと思う。

人間もしかり。本来経験は宝であり、若造と違っていい中年、老年のおっさんは尊敬に値すべき存在である。しかるに、どうも老いを恐れる風潮があるのは、存在が美しくない、羨ましくない、ああはなりたくない、という存在が多いせいか。  これはいかんね。

カッコのいい古いもの、これはなんていうんだっけ、ヴィンテージか。Wikipedia博士によれば本来ブドウの当たり年をさすようだが、そこから派生して、古いけどアタリ!というものを慣用的に言うようになったらしい。家具とかジーンズとか車とか。

人間もそうなるべきね。僕は抗加齢医学とは「医療、介護と出来るだけ無縁でいるにはどうするかを研究する学問」と思っているけど、「ヴィンテージになるための学問」としてもいいわけだ。

僕と同年生まれのヴィンテージ、明石屋さんま(?)、郷ひろみ(?)、Char (!)、ケビン・コスナー、ブルース・ウィリス、スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツ (ITは当たり年だ) etc, ふーーーーーーーむ。

まぁ、頑張ります(声も小さく)。