月別アーカイブ: 2011年4月

東京日和

 東京に行ってきた。連休で旅行、じゃなくってお世話になっているヘルシーパス主催の「ミネラル栄養療法実践セミナー」に参加してきたのである。

 東京は人が多い!なぁー。丸の内、大手町周辺しか行かなかったので震災後の影響とか全然わからず、相変わらずの東京でした。快晴。

 会場はいっぱいで盛況。内容も大変ためになった。特にNPO法人「食品と暮らしの安全基金」の中戸川貢先生の講演は目からうろこ。いわゆる外食ではいかに必須ミネラルが不足しているか、コンビニで買える加工食品はどれだけ栄養学的にプワーか、必須ミネラルを減少させるリン酸塩がいかに多くのものに使われているか!

 唖然…これでは何も食べられません。便利さと引き換えにいかに貴重なものを失っているか。

 これからは出来るだけ自然なものを自然なやり方で食べたいと思います。そしてマルチビタミン・ミネラルもちゃんと飲もう。ヘルシーパスさん、どうも有り難う。出来る形で皆さんに還元したいと思います。

 

証拠物件                    おまけ:お電気自動車テスラ・ロードスターじゃないか!

                               日本で売ってるの?

 

先週のこと

 当たり前の話だがやたら早く時間が過ぎる。先週は何をしていたんだっけ…? 会食が多かったんだ。

 月曜日、抗加齢医学的検査の一つ、遺伝子検査「ジェノマーカー」をお願いしているG and G社のTさんが福島から来阪される。本社が福島なのである。仕事柄アイソトープを扱う資格もお持ちのTさんは放射線にも詳しく、この原発事故において、政府、東電、メディアの放射線被害の発表、報道がいかに遅く、適格性を欠くか、技術者の精密な頭で判断しホットに憤りを訴えられていた。

 マスメディアの報道は公平でも正確でもない。きわめて何かの意思が加えられたものである。そんなことは前からわかっているが溜息がでる。真実を知るには頭を使わなくてはならない。ボーとしていてはだめなのである。Tさん、頑張ってください、応援してます。

 週の中盤もいろいろあって土曜日は、城東区の盟友N先生と僕が世話人をしている勉強会が3時から。済生会野江病院、糖尿病内分泌科の部長であり京都大学の臨床教授でもある安田浩一郎先生に新しい糖尿病薬DPP4阻害薬を中心に講演してもらう。この会は恥ずかしがらずに何でも質問する、演者は気を悪くせずなんでも答えるという規約があり(まぁ別にそれがためという訳でもないですが)、質問も多くお話は非常にためになり、いい会であったと思う。安田先生、のってますね!

 この会は今回が10回目で、開業医が自主的にはじめた会がこんなに続くことは珍しい。お手伝いをしていただいているN社のご厚意とともに、忙しい中向学心をもって参加してくださる先生方に感謝。終わってからN先生と会の今後についてお話しする。なかなかいいアイデアが出たのでもう少し練ってから諸方面にあたることにする。N先生のいつもながらの実直な人柄に感銘を受ける。

 時間もないし、本来こんなことはしなくてもいいことなのになぜ手を出してしまうのか?自問するが性格なんだなぁ、そういうしかない。決められた仕事だけをしてあとは自分の趣味に生きるという感じの人生には縁がない。つまんないじゃない。アメリカの有名なニュースキャスター氏(名前は失念した)が「俺は年をとってヨットの上やゴルフ場のグリーンの上で死にたいとは思わない。このデスクの上で突っ伏して死ねたら本望だ」と言っていたが、僕も気持ちを同じくするものである。

 午後6時半から神戸で大学病院時代のボス、現済生会中津病院院長の川嶋先生を囲む定例会。年に2回、もう10年以上続いている。もともと動物実験グループで、メンバーは大体いつも7,8人集まる。僕は在宅でかなり危険な状態の患者さんがおり、いつ呼び出されるかわからないのでノンアルコールである。それでもおいしくフレンチをいただく。2次会のバーもソフトドリンクである。以前ならフラストレーションがたまったが今はむしろホッとする。あまりアルコールは飲みたいと思わない。素面だと酔うというのは結構みっともないわね、と思います。皆さんお元気でした。

 帰りは車でK先生を送る。家が僕とほとんど離れていないのである。歩いて3分。彼は神戸市医師会の理事として超多忙である。1か月に20回医師会に出務!?。この震災も医師会からの災害派遣医師としてすぐ駆り出されていき、報告書も見せてくれた。もともと熱いタイプであるが最近はよりヒートアップしているようにも見える。

 「その情熱はどこから来るわけ?」「うーん、やっぱり好きなんやろなぁ。そうじゃないとでけへんと思う」

 

 人により情熱の向く先は違う。こういうことは誰に論評も出来ないことだ。そして仕事が趣味より上とかそういうものではない。仕事も遊びも等価だと思う。好きなことをやろう。やることに意味がある。男は8の倍数で体調の変化が来るというのは一つの説だが、彼も僕も56だし。

 

ノンアルコールなのに酔った写真

 

ダイ・ハード

福島第1原発の所長、吉田昌郎君は高校の同級生である。

しばらく前までほとんど誰もそのことを知らなかった。同窓会を開くために作られたメーリングリストに東京在住の同級生が「そうじゃなかったかな?」と書いたことで事実がわかった。

テレビに出てくるのはスポークスマンばっかりで現場を直接仕切っている彼は姿を現さない。どうしてるのだろうと気になっていたのだが、チラチラと漏れ来る情報で、奮闘する彼の姿がうっすらと見え隠れしていた。

すると同級生の芦屋の悪社長が教えてくれたのだが、週刊文春4月21日号、巻頭の記事にそのリアルな姿があった。タイトルは「東京電力:福島第1原発の反乱」。うーん。タイトルはともかく、少し記事を抜き書きしてみる。

「責任者は福島第1原発の吉田昌郎所長だ。本社からの無理難題の指示にも耐え忍び、あるいは毅然として対応するなど、評価は高い」

「これまで1か月近く高いレベルの放射線と闘いながら吉田所長以下数百名の技術者たちは高い職業意識で過酷な現場へ突入し続けた。そこにあったものは東電本社の<評論家>たちが口を挟むことを良しとしない、技術者としての強烈なプライドだったはずだ」

「東電本部の技術者たちが専門用語だけを繰り返し、答えを出さないことに吉田所長が苛立ったことは1度や2度ではない。」

海江田大臣、細野補佐官同席のテレビ会議で、本社の現状無視の要求に対して彼はついに爆発する。

「東電本社の技術者たちは専門用語を怒涛のように繰り出し吉田所長の説得を始めた・・・「本社はいつも、がんばれ、がんばれと言うだけだ!」そう吐き捨てた吉田所長は、いきなりマイクを机の上に叩き付け、こう怒鳴り上げた。「もうやってられねぇ!」所長は腕組みをしたまま憮然とした表情で椅子にふんぞり返った。会議室は沈黙した」

こういった状況で今も原発の危機回避の作業が続いている。記事が事実を伝えているのか、それは分からない。しかしこういった側面は間違いなくあるはずだ。

メーリングリストのタイトルは「がんばれ!吉田」である。原発トラブル初期に彼に「死ぬなよ!」とメールを送った同級生がいて、返事は「これぐらいで誰が死ぬかい!」だった。以後返事はない。

世界で一番運の悪い男は「ダイ・ハード」のブルース・ウィルスだが、吉田君は世界で今一番大変な目にあっている男だ。しかしダイ・ハードのように絶対乗り越えると信じている。

死ぬなよ、吉田!

各個人のオーガスタ

 マスターズも終わった・・・

 なんてまるで出場していたみたいだが勿論そんな訳ない。僕はメジャーの中では全英オープンが好きなのだが(ラフがすごいコース、僕がスタートとしたら一生帰ってこれないよ)、マスターズはやっぱり毎年見る。そしてコースであるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの美しさに溜息をつくのである。 

 本当に美しいな。 

 そんなにゴルフ番組を見るわけではないので世界にはもっと美しいコースがあるのかもしれない。しかしオーガスタ、しかもマスターズ開催時の深みは傑出している気がする。深い緑、咲き乱れる花々、2年間留学させていただいたノースカロライナからそんなに遠くないジョージアにあるのでこの時期の空気、風、陽射しは想像できる・・・いいぞぉ。

 そういうところで選ばれてプレイできる幸福、プレイヤーからはその輝きがあふれている。毎年最終日の神がかったプレイの頻出ぶりはどうだ。実力にオーガスタの何かが加わっているに違いない。 

 人生においてオーガスタのような場所を持てたものは幸福である。高校球児における甲子園、スポーツ選手におけるオリンピック、サッカー選手のワールドカップ、各々美しい。 

 各個人にもオーガスタがあるはずだ。それを捜せ、もしくは造ろう。

男性ホルモンが足りないよ

 うーん。僕はクリニックで男性外来をやっている。中年男性に多い、いわゆる男性更年期(明らかな病気じゃないけど何となくしんどい、やる気が出ない、気が晴れない、EDとか)が対象である。普通の検査では調べない男性ホルモンや成長ホルモン、副腎皮質ホルモンなどを検査し、異常があればプロラクチンや下垂体ホルモンのFSH,RHなど、それに関連したホルモンを調べて原因を考える。

 男性ホルモンの低下が脳腫瘍など器質的なものや鬱病が原因でなければ、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)として男性ホルモンを増加させる治療を行う。

 大体対象年齢は40歳以降と考えているのだが、最近若い男性が多いのだ。20代後半から30代前半。ピッチピチの年代じゃないか!?しかも彼らは本当にその年代として男性ホルモンが少ないのである。おじいちゃん並み。

 特徴がある。①見るからに草食系 ②IT関係 ③女性に興味がないわけではないが熱心ではない ④趣味もあるが文化系で基本的に体を動かすのに積極的でない ⑤バーチャルはOK なんてとこかな。人間的には信頼のおける感じが多い。 しかし。

 日本男性の精子数は減少しているという報告があるが(異論もある)、こういう患者さんが増えていることを考えるとそうかもしれないと思う。環境ホルモンが原因という説もあるが、ITへの嗜好と関係があるような。女性でプログラマーとかすごく少ないし。直接的な感情の衝突と縁遠くなると男性ホルモンは少なくなる気がします。勿論そうでない方もいっぱいおられるのですが。

 いずれにしろ少しでも治療の効果があるととても嬉しそうな表情をされ、僕も本当に嬉しくなる。この仕事をしてよかったと思う。そして男って弱いなぁーと思う。感情のぶつかりを恐れるな!筋力つけて肉弾戦で行け!体温が直接わかってこそ社会で生きていく意味がある。頑張ろう、ニッポン。頑張ろう、日本の男たち。

 

象にもまけず。

Money

 どうも力が出ないなぁ。震災以来身体のどこかが停電しているようだ。別に手を抜いているわけじゃない、気が乗らないわけじゃない。しかし新しいこと、やりたくて計画を立てていた仕事に手を付けるのが億劫なのである。ブログも書く気が湧かんなぁ…

 と思いながらも、今日の春の日差しの中を往診に行くため自転車のペダルを漕いでいると、春のそよ風が心を少し浮き立たせてくれる。大変苦しい状況の中でもわずかでも復興に兆しが見えてきている。桜も咲いてきてるぞ。

 ソフトバンクの孫正義社長が個人として100億円を東日本大震災への義援金として寄付することがニュースになっていた。いったい、なんぼお持ちなの?と思うが(個人資産は81億ドルだそうですが)、個人資産の約64分の1を寄付、しかもこれからの役員報酬をすべて寄付するというのは、うーん、なかなかです。

 アップルのスティーブ・ジョブス氏の給料が年1ドルというのも有名な話だが、十分一生生きていける分の資産があるから出来るとはいえ、孫氏の行動は、お金というものについて考えるのにいい機会を提供してくれる。金は稼ぐよりどう使うかのほうが難しい、金の使い方がその人を語るからというが、お金の使い方と生き方はパラレルだ。

 年収600万以上だと幸福度は変化せず、むしろ高収入になると幸福度は減少するという研究報告がアメリカであった。さもあらん。人間が自分で使うことのできる、満足できる金額はある限度があるように思う。

 働くことは収入を得ることだけではない、別の側面が大事なのだ。わかってるか、そんなこと。

 何となく元気が出てきた。4月だしリセットです。