月別アーカイブ: 2013年9月

ボケとツッコミ

漫才

コミュニケーション能力が大事である、とよく言われる。  当たり前ですやん。

職業柄、話す能力、聴き取る能力が低いと、病気を見逃したり治療法を間違ったりする可能性が出てくるので、いかに話すかというのは医療従事者にとって真剣な問題であります。でもそのことにフォーカスしている人は案外少ない。僕は元来無口なのであるが働くようになってからよく喋るようになった。でももっとお喋りの能力を磨きたいもんだぜ、と思っている。

で、うちのクリニックで出している、患者さんに見ていただく月刊新聞の冒頭に以下のような文章を書いた。再録します。

仕事柄ほとんどビル内に引きこもり状態ですが、たまに屋外に出ると秋の爽やかさに目が覚める気がします。皆様、お元気でお過ごしですか?少し早いですが忘年会の話題。

静岡にある知り合いの先生のところでは、忘年会にゲストも含め100人以上集まって大演芸大会が繰り広げられます。2年前からうちのクリニックもお誘いがあって参戦するようになり、昨年は吉本新喜劇をやったのですが、最高の出来!にもかかわらず一等賞はもらえなかった…。原因は静岡では新喜劇が放映されていないせいもあるのですが、いわゆる大阪の「ボケとツッコミ」がおとなしめの静岡の方に畏怖の気持ちを引き起こしたのではないかと思っております。しかし今年もやるぞ。

大阪の伝統芸である「ボケとツッコミ」は実は素晴らしい文化で、コミュニケーションとしてはかなり高等技術だと思います。そしてボケの方が難しい。ツッコミは最近若い人の思いやりの無いツッコミが目立ちますが、面白い反応を呼ぶような、「お・も・て・な・し」(滝川クリステルですね)の心を持ったツッコミをしなくてはいけません。そしてボケ。これが真骨頂です。高齢の患者さんはぼけたくない、ぼけるのが怖いとよくおっしゃいますが、今から思わず笑ってしまうようなボケをサラッと言えるような練習を心掛けておくと絶対ぼけません。ぼけないためにボケの練習を。攻撃は最強の防御なり、です。

他の地方の方が聞くと大阪の人は普通の喋りがボケとツッコミになっているそうですが、そんなわけない。偏見です。でもそういう感じでコミュニケーションが自然にできると鬱にもならないよね。ポイントは他人を攻撃しないで自分を笑う、というとこだと思います。うーーん、ハイレベル。頑張りましょう。

白髪が少なくなった話

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ハムストリングスのトレーニングのため腹這いになった僕の足を固定していたトレーナーの武ちゃんが後ろから僕の頭を見て「最近シャンプー変えました?」と言った。 「なんで?」 「髪の毛が元気になったような気がする。」 

ふむ。 シャンプーを変えたのではない。使わなくなったのだよ。

すこし前、全部白髪だった母親の髪に黒い髪がかなり混じっているのに気がついた。母親とは週に何回か顔を合わすこともあり、しげしげと見たことなかったので気がつかなかったのであるが、かなりの黒髪の量である。 「Why?」 「わからない」 ふむ。 

母親は年のせいもあって、最近おっくうで洗髪の頻度がかなり減ったと言った。その時、創傷のラップ治療で有名な夏井睦先生が対談で「僕はシャンプーを使わないでお湯だけで洗うようにしてから白髪が減ってきました」と言われたのを思い出した。皮膚科の夏井先生はシャンプーや石鹸、合成洗剤などを使うべきでないと主張されておられ、それに付随した発言とあまり気にしなかったのだが、お湯だけで洗う(これを湯シャンといい、女性はかなりご存じなのを後で知った)→白髪が減るかも?と僕の頭の上で電球が光った。

さっそく実行した。2,3日は頭が痒い気がしたが、全く気にならなくなった。2,3週間ほどして、額の生え際のところにある白髪の部分に黒髪が生えているのに気がついた。 うーーーむ。ほんとかしらん? しかし明らかに有意差がある。武ちゃんに指摘されたのはこの頃である。

その後散髪に行った時、久しぶりにシャンプーするな、とちょっと楽しみだったのだ、やっぱり今よりはかなりさっぱりするかな。しかし結果は違った。シャンプー後、痒くなったのである。うーむ。

ちらほらこんな話をしていたら実行する人が多くて驚いた。そのうちの一人、スタッフのデビルマン氏がある時、「髪染めたんですか?と二人の人に言われた!」と嬉しそうに言ってきた。彼はまだ30代なのにストレスのせいか(ご乱行のせいか)最近かなり白髪が目立ってきていたのである。おっ、確かに白髪が減ってるではないか!

お湯だけで洗髪すると白髪が少なくなるかもしれん。医学的な根拠はない。経皮毒という言葉があり、頭皮は化学物質の影響を受けやすい。その影響が考えられるが、髪は敏感でストレスとかでも変わるので、シャンプーを止めることだけが理由と言い切れない。が、一部の人には確かに効果があるようである。 ①脂性の人はやめた方がいい。 ②今まで以上に丁寧によく洗う必要あり。シャンプー無しで80%以上の汚れは落ちるとされる。 ③最後に冷水で洗うとさっぱりする。

ネットで調べると驚くくらい体験談が出てくる。白髪というより薄毛の改善が動機というのが多い。いいという人も効果なしという例も増悪する人も。 At Your Own Risk です。 Good Luck !

 

 

 

 

 

EAT & RUN

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いい本を読んだなぁ・・・としばし感嘆。ウルトラマラソンのレジェンド、スコット・ジェレク氏の「EAT & RUN」である。

不幸な少年時代からウルトラマラソンの生きるレジェンドとなっている今までの回想録だけど、その素直な語り口と圧倒的な事実に目が覚める。100㎞以上のレースに結構立て続けに出場したりしているのだが、怪我をしても精神力で走りたおす、その圧倒的な意志力!そして彼にとって何故走るのかということが大きなテーマとなっているわけだ。

サーフィンもそうだけど、大自然を相手にしている(彼はロードというより大自然を走るトレイルランがメインである)スポーツのカリスマというのは圧倒的に哲学者だ。そしてみんな食事に大変気を使う。タイトルにもあるが食は大きな柱で、彼はビーガン、つまり徹底的な菜食主義者である。それによって身体がどう変わったか、スタミナを必要とする長距離ランでも菜食の方がいいというのが分かる。

と言っても辛気臭い話じゃないぜ。とにかく読め!と言いたい。辛気臭い日常を吹っ飛ばすパワーがある。僕と全く違う世界を生きていくやり方があると思うだけで元気が出てくる。

本から教訓を導き出す必要はないが、ここで私が学んだこと。必要なのは圧倒的な量である、ということ。量は質に転化する。僕たちがかなわなかったなぁと思う目標は、指を伸ばしたその5㎝先にあったのだ。間違っていたのではなく足りなかったのである、努力の量が。自戒・・・。

ジェレク氏を紹介し有名にした「Born to run」も読み始めた。出走しないけどしばらくはウルトラマラソンの世界にひたる。当院ジョギングクラブの君たち、必読だよ!

 

僕のシェールガス革命

ダンベル

最近の個人的ホットトピックは筋トレを始めた事である。しかもパーソナルトレーナーについてもらって。

友人の紹介でやってきたはなかなか個性的な経歴の持ち主で、柔道から総合格闘技に興味が移っていくうちに大怪我を経験し、今は健康な人とともに障害を抱えた人(オレもだな)のトレーニングに興味を持って実行している。京都大学柔道部のコーチでもある。ぱっと見、筋肉の固まりが歩いているようにしか見えんが、知的興味の高い、向上心、行動力ともずば抜けた魅力的な若者である。

筋トレは誤解されている。いまだに筋トレと言うと、マッチョな、不純な目的で外観を鍛えてるんですか?みたいな反応をする人がいるが時代錯誤も甚だしい。高齢者も有酸素運動とともに筋トレをする事が必要と米国医学会で推奨されているが、筋肉がどんどん減少していく高齢者ほど適度な筋肉トレーニングは必須なのである。世界の常識である。

今まで筋トレもどき(腕立て伏せとか、スクワットとか)をある程度はやっていた。しかし教えてもらって分かったのだが、やはり自己流は危ないね。コーチは筋肉トレーニングをして故障することの愚を説く。それはやり方が間違っているのだと。彼の指示通りやっていると筋肉痛はあるが変な痛みはない。これが継続への力となる。

そしてわかったのだが、こういったトレーニングはフィジカルとともにメンタルに効くのである。スゲー効く。前から落ち込みは少ない方であり齢を重ねるとともにメンタルコントロールの技術も向上してきたのだが(日本人は何もしないと自然に負のスパイラルに傾いていく性向があるように思う)、最近ポジティブへの指向性は著しく、精神につっかい棒が2,3本付いたようである。

ということで、筋肉トレーニングは僕にとって鉱脈、水脈を見つけたようなものだ。最近だとシェールオイルか。以前音楽について考えていた時、キップ・ハンラハンの音楽を好きな限り老けることは無いような気がすると思ったが、正しい(ここが大事だ!)筋トレも同じ、続けている限り精神肉体はみっともなく老いさらばえることはないと信じる。あと20年はやるね。