月別アーカイブ: 2008年8月

魂のビークル

 午前診が終わってから外来パワーリハビリテーションの部屋を覗く。ここ1ヶ月の間に参加されることになった新しい利用者さんが2組、マシーンの前におられた。すごく明るい。ニコニコされている。声もでっかい。

 お一人は京都から一人で来られている中年女性。右半身の麻痺がまだ残っているが歩くスピードが速い、速い。「近所の人からかなり良くなったねーと言われましたー」と底抜けに明るく話される。まあ、もともと明るい方であったが。

 もう一人の方は円背の高齢女性。娘さんと一緒に来られているが、「今更いい年でこんなことして、と恥ずかしいです」とおっしゃる。しかし娘さんは「結構やる気なんです」と笑っておっしゃった。本当に円背がかなり改善して歩き方が直立でかっこよくなっている。速い。曲がった骨が元に戻るわけではない。軸として背筋が伸びているが、背中の真ん中辺りに骨が突き出ている。しかしそれでも背筋を伸ばして歩けるだけの筋肉が出来てきているのである。

 精神が肉体をドライブする。彼女たちを見ているとこの言葉を思い出した。僕は内科の医者になって30年近くなるが、本当にそのとおりだと思う、特に最近。肉体は精神の乗り物に過ぎない。魂が輝いている限り肉体は復活するのである。人間の本質は精神である。

 身体だけに目を向けている内科医は単なる修理屋にすぎない。精神は肉体を借りて自己を表現している。やるべきことは精神の回復を手伝うことだ。肉体の回復はその手助けにはなりえる。肉体は精神の乗り物であり、いずれは神様に返さなくてはならない。だから大切にしましょう。

 肉体だけが治っても幸福にはなれないかもしれないし、身体がボロボロでも不屈の精神は生涯を輝かせる。両方とも快適なのが勿論一番いいんだけど。だけど車だけピカピカにしているはかっこ悪い。考えるべきなのは魂のアンチ・エイジングなのだ。

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ガッツだぜ!