月別アーカイブ: 2008年2月

究極の選択

 フィナステリドに前立腺癌予防効果があるという報告がある。review:Finasteride as a chemopreventive agent in prostate cancer: impact of the PCPT on urologic practice
Nature Clinical Practice Urology (2006) 3, 422-429
フィナステリド?これはプロペシアという名で医療機関で処方される脱毛防止剤である。テレビでもやってるでしょう?

 いわゆる禿げ、男性型脱毛というのは男性ホルモンがあるから発症するのであり、フィナステリドはその男性ホルモンが効くところをブロックすることで脱毛を防ぐ。前立腺癌、前立腺肥大も同じく男性ホルモンが悪さをするので、ひょっとしたら効くんじゃ?というのは誰でも考えることである。で、実際に試してみたグループがいくつかあり、結構効くんじゃないというのが大勢であるようだ。コストやQOLに関しては疑問というデータもあるらしい。

 こういう禿げとか、バイアグラなどのインポテンツに効く薬とか、寿命に影響するわけではないが結構気になる、何とかしてくれーという薬には、他の好ましい作用が割りとあって、バイアグラ系統の薬剤には血管内皮保護作用が報告されており、肺高血圧の治療薬として適応が取れたか取れるかだったと思う。動脈効果の予防となる可能性もあるわけだ。

 こういう薬こそアンチ・エイジングな感じだなぁと思うのであるが、世の中いいことばかりではない。

 フィナステリドの副作用として男性能力、性的欲望の減退というのがわずかにあり、「それじゃ、何のために飲むんだ!?究極の選択か?」という声もある。女性はこの世の中が女性ばかりになっても美しくありたいと思うものらしいが(ホントでしょうか?)、男ばかりの世の中になったら禿げを恐れる男なんぞ一人もいないだろう、そんなものなのだ、情けないけど。

 ま、しかし率は低い。僕の患者さんの経験でも脱毛への効果はなかなかのもので副作用も無いようである。サッパリ剃りあげるのも男らしくてかっこいいが、上も下も頼りになる(失礼しました)フィナステリド、いいんじゃないでしょうか。

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間違いました。

 

絶食のススメ

 昨日の夕食が終わったとき、どうもおかしいと思った。なんか・・・気持ち悪いな・・・その後すぐ嘔吐、下痢の発作に襲われた。やられちまったよー!

 冬になると必ず流行る嘔吐下痢症である。昨今ノロウイルスが有名になったが、それ以外でも何種類かのウイルスが同様の症状を起こす。1日に何人も同様の患者さんを診ていて、もう完全に抗体は出来ているはずと思っていたがまだまだ新手はいたらしい。

 やらなくてはならないデスクワークがあったのだが、ともかく眠いのなんの。免疫系が賦活している時は眠く、だるくなる。おお頑張れよと思うのだが、気持ち悪いし異様にだるく、本当に青息吐息で寝床につく。

 今日1日は基本的に絶食である。水分は何とか取れたのでお茶とアップルジュースだけで過ごす。全然お腹がすかないのでらくちんである。それどころかある種のすがすがしさがある。

 週末絶食というのがあって、土日絶食は飽食で疲れきった胃腸を休ます意味で非常に有益で、体調が大変よくなるらしい。食べないと基礎代謝が下がるのでダイエットという意味ではいい方法ではないが、胃腸の機能を上げる意味では考慮していいな。

 体重を量ったら1kgしか減っていなかった。ちぇ。でも吐き気も下痢も治まってきたし、1、2日の絶食は悪くないぜ。本当に定期的にしようと考えている。君もどう?

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スッカラカンだ!

 

ミュージック・イズ・オン!

 僕はめったに不眠にはならない。友人と旅行なんかすると、グループの誰かは必ず不眠傾向ありで、睡眠導入剤の経験も結構あったりする人が多い。以前は僕も習慣的にアルコールが無いと眠れないかなと思っていたのだが、今ではそれも誤解ということがわかり、むしろたまにアルコールが入ると寝付きにくい。どちらか言うと常に早くベッドに入って眠りたいと考えながら動いているのである。おお、能天気な僕。

 しかしそんな僕でも寝付けない、いや寝たくない夜があるのである。数ヶ月に一度、何か感情の帳尻が合わず、端数の処理に困る夜。で、そんな夜は何をするか?

 好きなCDをかけ(しかも大概、曲限定)、好きな気楽な本を読み(自分の波長にぴったりあった文章)、酒をやたら飲む。この時はかなりの量を飲み、気分が悪くなる3mm手前で寝る。

 で昨晩は何を聴いたかというと、
CCR:飽きない。Mid night specialを聴いてご機嫌にならない人がこの世にいるのだろうか?でも1番好きなのはBorn on the bayou。前奏を聴いただけで土と乾いた風の匂いがむっと立ち込める。
Chicago:なんといってもファーストアルバム。だいたいこれしか持ってない。僕の音楽嗜好の大きな部分を決めたIntroductionは・・・飽きない。
急に変わって桑田啓祐のソロと、サザンオールスターズの何枚か:桑田啓祐はバラードよりも厭世的な歌詞を散りばめたアップテンポの曲の方が本領のような気がする。でも久しぶりに聴いた「真夏の果実」はあまりの美しさにびっくり。
桑名正博、下田逸郎:こういう時の定番。心より愛している。「夜の海」とか「泣くかもしれない」とか、どうしたらこんな曲が書けるのだろう。

 最後は大概日本的な湿った世界に行ってしまう。

 でも翌朝起きたらすっきりだ!これを書いている今、散らばっていた昨日のCDをかけているのだが、なにか響きの深さが違う。

 音楽は耳にでなく心に向かってかかれているから当然か。

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ジョン・フォガティの音楽は最近のも全く一緒だ