メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか

 イカしたタイトルだ。「メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか」、こりゃどういう意味だ?

 以前本屋さんで見て興味をひかれたが購入までには至らず、今回著者の明川哲也氏が「叫ぶ詩人の会」のロックボーカリストで詩人のドリアン助川氏というのに気がついて読もうと思った。彼はラジオのDJを以前やっていて、その記事を読んだことがあった。中高校生を個人的にも社会的にも鼓舞するようなDJで興味をひかれた。

 で、これは傑作ですぜ。文庫本で630ページのボリュームですが、なんやかんやしながら1週間ほどで読了。

 人生に絶望した男が不思議なネズミに導かれて「憂鬱の砂嵐」を追い払う4つの宝を探しにメキシコへ向かう冒険譚(といっていいのかな)。ファンタジーの形式ですが自殺と食事の関係やメキシコの歴史など非常に興味深く勉強になる話がいっぱい出てくる。インゲン豆の消費国は自殺が少ない、というのは因果関係の裏付けはともかく興味深い。著者は食事の重要性についてあるスタンスをもっているようだ。

 世界の中で自殺率が高いのはラトビア、ウクライナといった寒く経済的に恵まれない小国であるが、なぜこの温暖で恵まれた日本に多いのか?特に若者、女性の自殺率は世界でもワースト1に近い。韓国も急追している。中国、北朝鮮はデータに信憑性がなくリストアップされていない(世界保健機構のデータ)、といった話が出てくる。

 メキシコは非常に不幸な侵略されるだけされた歴史を持っており(国民の80%が混血だそうである)、今だに恵まれない政治経済状況であるが、自殺率は極端に少なくハゲも少ない。

 4つの宝が著者の提示するその答えであるが、皆さん読んでみてください。

 イメージがすごくカラフルで奇想天外、しかしなかなかに深い話です。1年後に読み返してみようと思った。

助川氏の昔の勇姿です。

 

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