仏壇がやってきた

 引越しに伴い父親が祀られている仏壇が院長室に来た。しばらくの仮住まいであるがともかく仏様と一緒の部屋にいることになる。初めてである。僕は全くあきれるくらい宗教心のない人間であるが、なんとなく不埒なことはやめよっと!決めた(まあ前からしていませんが)。

 しかしあまり違和感のないものであるな。院長室に入っても全く気にならない。というか、むしろなんとなく安心感がある。妙なものだ。こういったものは自分が思っている以上に心の中に大きな存在としてあるのかもしれない。

 人間はひとりでは生きていけない。俺はローンウルフだよ、と思っているやつは誤解しているだけでなんだかの形で他人に支えられているのを気がついていないだけなのである。感謝だよ感謝。

 仏壇を見ているとそんな感慨が浮かんだ。

 仏壇がある間に性格が変わるかもしれないな。おお、人間はいつからでも生まれ変われるのである。素晴らしいことだ。

 君もまだ諦めんでいいで、きっと。

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