至上の愛

 小人閑居して不善をなす。なんと僕は不善もなさずボーとしていた。

 まあ休みの醍醐味であり、こんなことを言っていては悟れん!これぞ幸福じゃ!ばか者!と思ったりもしていたのだが、チラッと見たイチローのドキュメンタリー番組で「腹が出ていて出来るスポーツは限られていて、野球はその一つなんですよ。俺は絶対、そんなの許せない!」と話しているのを聞き、むくっと起き上がる。

 出ようと思ったら雪がちらつくのでのびのびにしていた愛犬の散歩にゴー!

 その勢いで打ちっぱなしにも出かける。またかよーと思うだろうが実に2週間ぶりである。車の中でジョン・コルトレーンの「至上の愛」をかける。

 昔コルトレーンは好きじゃなかった。だってまじめすぎるんだもーん。僕の望んでいた音楽ではなかった。でも今は違う。律儀でまじめで、気持ちを裏切らない、そしてやたら仕事も優秀な友人のような感じで、時々とても会いたくなる。

 大学の先輩で敬愛していたF先生が女性につれなくされた時、入ったジャズ喫茶でかかっていた「至上の愛」を聴き涙したそうである(ほんとかい!)。彼はハンサムでクレバーで運動神経もやたらよかった。大変おもてになり、誰でも知っているフォークの女性ディオの一人と結婚したが離婚して、今は再婚し京都で活躍されている。

 コルトレーンを聴くとF先生の運動神経あふれる挙動を思い出す。人間、活発に動いて何ぼよ。今日はちょっともったいなかったな、と僕は反省する。

いぬとてにす
廃棄されたテニスコートと、ボールを見つけて遊ぶ犬

 

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