日本は健康寿命世界一

世界保健機構(WHO)は2000年に日本を健康寿命のランクを世界1位としました。これは日本が単に余命だけでなく活動的余命においても世界1の長寿国である、つまり年をとっても元気な人が多いという事をあらわします。わが国には長寿者が多いが反面寝たきりが多いなど高齢化社会に悲観的な感じを持たせる報道が多く、この結果に意外な感じを抱く人が多いのではないでしょうか。2001年2月1日のmedical tribuneは老化に関する疫学研究の専門家である桜美林大学の柴田博教授にインタビューし、興味深い話を引き出しています。

日本において死の直前に寝込む期間が半年に及ぶものは10数%に過ぎず、多くの高齢者は死の間際まで高い身体能力を保っている。

統計を出す場合施設入所者を対象にする場合が多いが、日本はかなり身体能力が悪くなってから入所する例が多く、比較的軽度でも入所していることの多い北欧と比較した場合、高齢者の能力は悪く出て当然である。

日米比較調査では、地域在住高齢者を比較した場合、日本の方が慢性疾患を持つ者の割合も低く、身体能力も高いことが明らかにされている。

寝たきりの実態が過大評価されているところがあり、介護保険ビジネスの伸び悩みはそれを裏付けるものである。わが国の地域高齢者の健康度が高いのは事実でその要因を解明していくのが今後の課題である。

わが国の高齢化社会の問題点は自殺が年々増加していることであり、その背景にある鬱への対策が今後大きな課題となる。これまで障害を持った高齢者のサポートが問題とされてきたがこれからは健常な高齢者について議論することも重要となる。

年をとることの悲観的な面ばかり強調されていますが、むしろ年をとることで伸びていく英知というものがあります。障害を持った高齢者に対する医療介護だけでなく、健常な高齢者の問題を考えなくては。 能力を保つためにどうすればいいかという医学的側面に加え、社会にとって必要な人間でありつづけるためには地域社会はどうあればいいかという社会的側面が大事です。医療という枠を越えて地域とかかわっていくにはどうしていけばいいか、私自身の問題です。

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