Living well is the best revenge

 在宅診療というのがあります。クリニックに通うことが体力的に困難な患者さんを定期的に訪問診療する。

 僕は午前と午後の外来の間に行くことが多いですが、休憩が全くなくなることも多く、結構つらいものがある。特に在宅の看取りというか、ご臨終を自宅で迎えていただくケースの場合、時間に関係なく電話がかかってくるし、夜とかも安眠は難しい。アルコールも飲むわけにはいかないし(と言ってもこの頃はほとんど飲まないけどさ)。

 今週はお二人の方が同時に容態が悪くなり、なかなか忙しくなりました。

 週末もなくなることを覚悟していたのですが、今晩お一人の方がお亡くなりになりました。当初状態が悪化した時は病院に行くとおっしゃってたのですが、奥さんは結局お家で看取ることを決心されました。病院であんなに帰りたがっていた家だからと。

 在宅で患者さんを看取ると、今までのしんどかったことはすべて消えてなくなり、僕はどんな時でも不思議な安堵感、安寧の気持ちに満たされます。クリニックに帰る道、自転車をこぎながら夜風に吹かれていると、患者さんに対してお疲れさまでしたと、家族の方に対してよく頑張りましたねと、そして僕自身に対しては、死は恐れるものではないのだという気持ちがわいてくるのです。

 人は結局亡くなる。永遠に生きる者なぞいない。それは平等にすべての人間に訪れる。そして僕は思うのです。だから死ぬまでの人生を充実して生きるべきだ、「優雅に生きることは最高の復讐である」と。

 

 

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