さむー!!寒なりましたねー。紅葉は昔より1ヶ月遅くなってるようですが、急に気温が下がったのでさぞ色付きもよくなるでしょう。寒くなると風邪、風邪といえば医者(というのも今は昔という感じになりそうなご時世ですが)というわけで、季節労働者である開業医が忙しくなってくるのが冬であります。で、診察をしているとちょっと気が付くこと。何度も風邪をひく子供さんがいるのですね。ほんまによー来るなーと思っても「まいど!」とは言いませんがお母さんもなんとなくきまり悪い感じで「何か異常があるんでしょうか?」と尋ねられることがある。栄養状態とか貧血、免疫系の異常とか身体上の問題がないか心配なされてるわけで、ま、ほとんどの場合なにもありません。むしろこう尋ねられるお母さんはよくできた方が多く、実際の回数は平均的です。むしろこちらが心配になるくらい来られるのにあまり自覚のない親御さんが問題です・・・というところでちょっと面白い文献を見つけました。
「多項目の自動解析による子供の生活習慣と風邪の相互影響の評価」昨年、健康科学学会誌に掲載された東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科から出た論文です。4年間に渡り10都道府県から1万人(6から15歳)を対象にアンケートを取ってそれを解析されている。結果を一部抜粋すると、【風邪の罹患頻度との間に有意の傾向が認められた子供の家庭生活】1)テレビを見る時間が長い、2)病気で長期入院の経験あり、3)保護者が口やかましくなりがち、4)保護者が子供の主張を無視しがち、【有意の傾向が見られた子供の食行動】1)無理に食べている(間食が多いということのようだ)、2)ファーストフードをよく食べる、3)おいしく食べてはいない、4)飴、ガム、チョコレートをよくとる、5)副食として冷凍食品が多い、6)野菜を摂らない、7)味噌汁を摂らない、8)保護者は楽しく食事をとることに対する関心が低い、【有意の傾向が見られた子供の交友関係】1)運動が好きでない、2)休み時間も皆で過ごすことが少ない、3)学校では友達がいないと感じている、4)学校が好きでない・・・でその結果として引きこもりがちな子供が多いようである、といった風な結論になっている。
ほんまかいな!というのが最初読んだ印象。あまりにステロタイプでないかい。風邪の診断自体が確実でないかも知れず(アレルギーとの差異は難しい)、風邪をひきやすい子供の精神構造に及ぼす影響などちょっと偏見ではないかしらと思ったりもしますが、何しろマスが大きい。統計としては十分成立しているのでやはり傾向があるのかな・・・。というと風邪も生活習慣病ではないか!ここから出てくるのは身体的にも精神的にも免疫機能が弱くなりそうな生活です。特に親御さんが放任か過保護か、子供とのスタンスがまずそうな感じが印象に残ります。
大人の風邪も、自分で自分の面倒がちゃんと見れる人は風邪が少ない印象があります。よく「お医者さんは風邪ひかないんですか?」と訊かれます。そんなわけはないのですが、比較的あやしいと思うとすぐ手を打つ(ひいた気がして瞬時に薬を飲むと重症化しない印象があります)のは大きいと思います。風邪の人に多く接しているとそれなりに抗体の種類も多くなっているのだろうとも推察しますが(本当に医者は風邪をひきにくいのか?それはなぜか?調べても文献は見当たりません。どなたかご存知の方は教えてください)。昔から「あほは風邪ひかない」と言いますが、悪い意味ではなく、いつも楽しく笑っている人、生活を楽しんでいる人はひかないんでしょうね。大人の風邪は自己責任。生活習慣病との認識をもって今年の冬を乗り切りましょう。しかしこのごろは何でも生活習慣病ということになるな。いろいろ読んだ中でも、一番納得したのは後藤芳徳という人が言っている「もてないのは生活習慣病」というやつです。鋭い!