月別アーカイブ: 2008年5月

雨のち晴れ

 2日前に放送されたニューススクランブルの反響は大きく、放送の終わった午後7時くらいから問い合わせの電話が鳴り始め、当日は9時過ぎまで、翌日も朝からとスタッフは対応に追われました。僕としては慢性期のリハビリに悩んでいる人がやはり多いんだなぁと実感した次第。

 そのパワーリハビリテーションですが、今週の土曜日、日曜日と第7回学術大会が神戸ポートピアホテルで行われます。初の試みとして公開市民講座が日曜日に開催され、テレビにも出られていた東福寺の福原管長もパワーリハの経験についてお話されます。必聴です!

 今日はその最終打ち合わせに大阪支部の理事であるN氏と兵庫支部へお伺いしました。十分なお手伝いも出来なかったのですが、兵庫支部の超人的な努力で準備完了。お疲れ様です。ちょっと安心。

 今朝は大雨で、朝から校医である中学へ検診に行って、そのまま神戸へと相変わらず独楽鼠のようにちょろちょろしていましたが、大雨から大会の成功を確信するような信じられないような青空が神戸には広がっており・・・・・・なんてあまりにもステレオタイプの結びであった。

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雨の後は空気が綺麗

月曜日

 今日は朝8時からミーティング。デーニッシュ、フルーツ、コーヒーを用意してパワーブレックファストです。あまりスタッフと話す機会が無いので(院内でPCが全部つながっていて日々の報告はそれで受けているけど)順番に数人ずつ先月から始めています。45分位ですが、正直時間が足りない感じ。

 外来は結構混み、1時前からMRの人の薬説明会兼昼食会。今日はMR不良グループの担当であった。終了後往診に行き、その後今度のパワーリハビリテーション研究会で2人3題発表するので2度目の予行演習。ほぼOKっすよ。

 その後外来の保険請求について、専門の人とデイスカッション。度重なる診療報酬改訂の対策を真剣に考える。このまま無策では厳しい。途中で外来の時間になり本部に任す。

 外来終了後メールの返事を書き、本部へ帰ってお昼の続きを聞く。午後9時前に本部を出る。ちょっと疲れた。
 
 車でボズ・スキャッグスのジャズスタンダード集「But beautiful」を聴く。彼よりうまい歌手は何人もいるだろう、もっとイカしたアレンジのアルバムも沢山あるだろう。でもこの、同じテンポ、似たような曲ばかり集めたこの単調なアルバムは・・・落ち着く。彼は自分のために歌っているような気がする。昔もてた友人の恋愛話、もう聞いても興奮もしない、面白くも無いがつまらなくも無い話を、運転しながら聞いてるような気がします。波立つ心がフラットになりますね。

 もう早めに寝ましょう。

kuruma

P.S. 前ブログでも書いたけど、当院のパワーリハを取材してくれた読売テレビ「ニュース・スクランブル」、明日午後6時17分から放映するそうです。急に言われてびっくりしたぜ!可能な人は見てね。

パプリカ

 あぁ、えらい小説を読んでしまった。筒井康隆氏の「パプリカ」です。文庫本の480ページ、終わるのが惜しい。ものすごーく好みです。大好きコレクションが増えて嬉しい。

 実は筒井康隆氏は高校生時代すごくファンだった。彼の代表作というのでもないのだが「俗物図鑑」というのがすごく好きで(俗物評論家が集まって梁山泊みたいなプロダクションを作って…とかいう、後半はお得意の大スラップスティックになる)、相当彼の本を読んだ。ヤクザ(奇妙な)の世界を描いた「男たちのかいた絵」とか、スターウォーズの原型みたいな、遥か昔の銀河系世界の物語「旅のラゴス」とか、大傑作!!という感じで興奮したのを今でも覚えている。

 一時休筆宣言をした(パプリカを書いた直後だったようだ)とかあって、すっかり彼の本からはご無沙汰であった。でも偶然「パプリカ」いいんじゃないというのをどこかでチラッと読んで、なんとなく嗅覚が働き何年ぶりかで読んだ。

 夢は精神分析で使われるが、主人公の女性は精神科のドクターで、同僚と夢をビジュアルに他人が見ることのできる機械を開発して、それを用い治療に使っている。実はそれを用いると、他人の夢の中に入っていくことが出来るのだ…というのが前ふりですが、この女性がすごくいいです。まいりました。

 解説は斉藤美奈子氏が書いているが、さすがである。そこで彼女は主人公を「おじさんの妄想の産物?」みたいなことを書いていて(もっと複雑なのだが)、そうだったのか・・・と言い当てられたような気がしました。確かに男性は全員アウト!な感じだと思います。

 昔、庄司薫氏の「さよなら怪傑黒頭巾」という小説に出てくるアコという女の子に僕も含め僕の回りの友人全員やられたのを思い出しました。

 ま、話はそう簡単ではなく、かなり複雑といえば複雑で(総てダブルバインド)、独特のイメージの世界満載。終盤スラップスティック、大ホラーですが、エンディング、かなり静謐です。傑作です。美しい音楽のようです。

 アニメとして2年前公開されており(知ってた?)DVDもあるようです。かなり悪くないが原作には及ばん、というのが大方の評価みたいです。見たいような、見たくないような。あるく君、見た?

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うーむ(ほとんど見る気に…)

 

 
  

はつらつリーダー

 今日のお昼に、城東区保健福祉センターで講義をしました。「はつらつリーダー育成講座」といって、65歳以上で自らが介護予防を実践し地域で広く介護予防活動の担い手として活躍できる高齢者を育成するというもの(ここらへんは依頼された文書のそのままの写し)であります。

 全部で10回のコースで、僕の担当は「生活習慣病予防と介護予防」です。前にメタボリック症候群をからめてプリントを作ったのでそれを下敷きにしましたが、話す内容は皆さんの乗りをみて、当意即妙どんどん変えていきます。大体ここら辺の話は日頃よくやっているところであり、アドリブで話したほうが理解されやすいというのが経験上わかっています。

 今日一番乗りがよかったのは、年をとって男性ホルモン、女性ホルモンが減ってくる、それをいかに保つか?それは異性とできるだけ触れ合う機会を持つことである!というところだったような気がします。

 82歳のとても元気な女性の「私も飲みに行くときは男のほうが楽しい!でもあんまり若いのはだめよ、そこそこじゃなくっちゃ」などという発言をはじめ女性はかなり大騒ぎで話されたのですが、男性は殆ど無言。うーむ。やっぱり世の流れとして女性のほうが元気ですが、ここら辺男性も奮起して欲しいなぁーという感じでした。

 ちゃんとやってんかい!?と突っ込みを入れたくなる気持ちもわかりますがご心配なく。役に立つ医学的に呆けない方法とかも満載でお話ししました。僕としてもいろいろ質問させていただき、ご高齢の方の考え方を知ることが出来てよかったです。皆さんどうも有り難うございました。

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やる気のあるリーダーたち

クラブの総会

 今日は大学のクラブの総会がありました。僕は競技スキー部というところに属していて、アルペンスキーをうまくなってちゃらちゃらしようという不純な入部動機だったのですが(まあ今で言うとスノボーみたいなもんだよ)、ちょっと長距離走が速かったため、ノルディック(走るスキー、荻原選手がやっていたやつだよ)を無理やりやらされるという不幸に見舞われたのです。

 いい加減にやっていたのですが、ある時目覚め、真剣にやりだしたら西日本医科学生スキー大会で個人4位になり(滅茶苦茶レベルが低い)、兵庫県でやってるやつはあまりいないため高松宮杯選抜というのに県の強化選手として選ばれるという不幸に見舞われました。

 今はJR、当時は国鉄といったのですが、そこでそればかりやってるサイボーグみたいな選手たちと合宿し、試合は50km走り、本当にえらい目にあいました。それがトラウマになり、それ以降ノルディックはやってない。

 不幸ばっかりみたいですが、実はクラブ在籍中は楽しい思い出ばっかりでした。もし入ってなかったら、今の僕は無かったに違いない。精神的にも、人間関係といった財産も、全く違った人間が形成されたのではと思います。

 学生諸君は相変わらず面白いし、普段と違う人々と会うのは気持ちがリフレッシュします。やらなあかんこといっぱいやし、休みの日の夕方7時からということで、正直どうしょうかなーと思ってたのも少しあったのですが、やっぱり出かけてよかった。積極的に人と会うのは大事なことです。分かってるけどね。

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今やると死ぬと思う

 

桃色雲:同世代ミュージシャン第2弾

 今日は早く終わったし、用事もあったので午後7時半には車に乗った。おお、まだ空はダークブルーじゃないか。仕事が終わってもまだ空には光があるというのはいいなぁ。冬のように真っ暗は寂しい。知らぬ間に、でも確実に僕は夏に向かっているのだ。

 で、いい気分で、今日手に入ったCD「ピンク・クラウド」を聴く。チャーである。興味のない人には何のことか分からないだろうな。日本の生んだ天才ギタリスト、俺と一緒の年齢(というとなんかあまりの才能の違いに恥ずかしくなるがともかくそうだ)のめちゃくちゃイカしたミュージシャンの、昔のバンドである。

 チャーのCDはよく聴いているが、ピンク・クラウドは初めてである。ドキドキ。

 がーん!あまりのかっこよさに打たれました。ものすごい音がタイトで分厚い。演奏あまりしっかりしていて、シャーシ、足回りのやたらすごいスポーツカーに乗ってるようです。ブンブン飛ばしていても絶対コースははずしません。

 麻薬にはダウナー系(安らかに気持ちよくなる)とアッパー系(すごく頭が冴えてハイになる、いわゆる覚醒剤ね)がありますが、こいつは完全にアッパー系です。

 聴いていると詰まらんことは全く忘れてしまう。

 僕のフェバリトアルバムにチャーのソロデビューアルバム「Char]があります。あの!「スモーキー」やらなんやら名曲満載ですが、このアルバムを作った時、チャーは18歳だったのですね。・・・いい加減にしてくれ。

 最近出したアルバムも基本的にピンク・クラウドとムードは同じ。全くうつむかない、イケイケを維持する姿勢は心より見習いたい。

 僕が時たま行くレストランにチャーが時々来るそうですが、そこのシェフは「本当にしぶい素敵な人です」と言ってました。その彼もなかなかの人物ですが、そういわせるだけの魅力があるんだろうなぁーと思います。会って実際に話したい一番の人です。きっとまともなことは言えませんが。

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ただカッコいいです

 

活動休止

 朝の新聞を開く。おお、サザンだ。全面広告がクイズになっていて、6つの文章のうち3つの間違い文章を探すことになっている。うーん、簡単だが、そうすると「サザン活動休止決定!」という文章はほんとうなのだろうか?

 通勤の時聴くFMで、サザンの活動休止が話題になっていた。結成30周年を期して休止。再開時期は未定。しかし解散ではない。各々やりたいことを展開。また充電できた時点で活動再開。

 そうかぁー。なんか淋しいな。桑田圭祐氏は僕の一つ下。僕が医者になって来年が30周年と結構かぶるのだ。僕の社会人としての人生の、代表的なバックグラウンドミュージックといえる。なんやかんや、いろいろいちびっていた時期の、楽しい思い出の後ろで鳴っていた音楽なのである。そんな人は日本中で沢山いるでしょ。

 留学していた頃、友人から雑多なものに混じって1枚のシングルCDが送られてきた。サザンの「真夏の果実」だった。あの美しいウエットなメロディは、ドライなアメリカの中にいるとキクよー。データ整理にうんざりして一人研究室で聴いていると、日本の湿った夏、金鳥の夏を思い出して、ちょっとくるものがあった。まあ、よく聴いたね。

 30年もやっていると、全開で別のことをやりたくなるような気持ちはよく判る。といって医者を休止するわけには行かないし、そのつもりも無い。医者はワンマン・バンドだ。ちょっと前からパワーリハビリテーションとか抗加齢医学とか、本来の診療内容からは少し外れたものに力を注ぐようになったのも、僕の中では新しい展開であり(多くのスタッフに手伝ってもらっている)、違った形の充電だと思う。

 クリシェ(決まりきった繰り返し)はよくないのだ。

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こういうのもホントにやったりしました

ウエン・アイム・95

 藤田田という経営者がいました。日本マクドナルドの創設者で、一部にカリスマ的な人気のある人ですが、彼は経営のきもは「清潔!綺麗でなかったら人もお金もけえへんで!」だそうです。マクドナルドのことを言ってるのではありません。身だしなみとか話し方とか、生活総てにおいて。

 個人的に大いに共感し、本が散乱している部屋を片付ける。と、渡部昇一氏の「95歳へ!」という本が出てくる。前読んだな、と思ってパラパラすると、あら不思議、全く記憶になかったのですが、すごくいいことが書いてあるじゃあーりませんか。

 渡部昇一氏は77歳ですが、なぜ95歳かというと、95歳くらいになるとまさに枯れ木がゆっくりと倒れていくように、死の時も苦しむことが非常に少ないからだと言っています。

 うん、そうかもしれない。

 渡部昇一氏は非常に著名な学者ですが、95歳まで生きるためにどのような生活をおくればいいか、自分で納得して実践している話を書かれていて僕にはとっても説得力がありました。いろいろこういう系統の本を読んでいるとほほ現在のところ確かなところはこれだろうと思っていることがありますが、彼の話はドン・ピシャ!でした。

 そのひとつ。大人になると真剣に多量のものを記憶する、という機会がまず無くなります。しかし実は記憶力を鍛えることは脳の活性化に非常に大切なことで、しかもこれはかなり高齢になっても十分可能なのです。

 渡部氏はラテン語を勉強しようと例文(新英和大辞典の巻末に付録についてるやつ250句から、というのが泣かせる)を覚えることをされています。それからどんどん量を増やしていき、時間が無いからと大学に通うのにわざわざタクシーにしてその中で覚える(家庭教師を雇うことを考えたら安い、との事)という熱心さです。

 そして出来るだけ音読する。これも脳のメカニズムから非常に合理的です。ラテン語を覚えてから、全然関係のない漢詩とか、若い時に覚えられなかったのが簡単に覚えられるようになって記憶力が増しているのが実感できたとの事。うーん、勉強になるなぁ。

 学生の時は20年くらい先の自分の人生を考えた。今でも20年くらい先を考えよ!だそうです・・・

 やはり「清潔にすること」は役に立ったな、と実感しますた。

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簡単に読め有益である

嵐の夜に

 重なる時は重なる。前このブログにも書いた、末期癌で死期を覚悟されていた老ドクターと、僕のかっての同僚であるドクターが同じ日に永眠された。その晩は大嵐だった。

 僕の同僚は直腸癌で5年以上闘病していた。まだ子供も小さい。彼とは研修員時代、大学院時代と7,8年同じ釜の飯を食っていたことになる。仕事を終えて安物の中華料理屋で二人で飯を食べていた時、置いてあったテレビで岡田、掛布、バースの阪神タイガースが優勝を決めたのを見ていたのを思い出す。

 開業してまもなく病魔に倒れ、お見舞いに行ったらクリニックのことをとても気にしていた。相当病状が悪くなっても同じだった。話すことは思い出話でも仕事が中心になるのだった。

 僕の父親も、亡くなる前の意識状態が悪い時でも、仕事のことになるとしっかりしたことを言うので驚いた記憶がある。

 
 おお、男は仕事でしか自分を語れないのであろうか?どんな状態でも、死期が近くても。

 
 僕もその隊員の一人か?いや、僕は脱落したい。死期が近づくと、あほなかわいらしい思い出を笑いながら話せるような人生を送りたい。診察室で絶命すれば本望というのも本気なのだが、それが総てじゃない人生でいたい。

 お二人が仕事中心の人生だったと言っているわけじゃないよ。きっとそういった思い出も沢山お持ちだったと思う。男相手じゃ言えないし。一般に男はそうだなぁと考えただけです。そしてこれから自分はどうするか、考えさせられただけ。

 お二人の心からのご冥福をお祈りいたします。

ラスト・ワルツ

 なんか涼しいなぁ。せっかく夏満載の予感がする(髪の毛もスキン・ヘッドにしたのにー、ウソ、刈上げ短髪)先週でしたが、雨は降る、朝晩これ寒くない?というご時勢にふさわしい中途半端な今日この頃。

 日曜日家にいるときは、なんとなく宿題がたまってるのを片付けなきゃなーという落ち着かない感じでちょこちょこ仕事をする(そして予定の2割もいかない)これまた中途半端が多いので、今日は前から見ようと思っていたDVDを見ました。

 「ラスト・ワルツ」です。おっ、と思ったあなた、ロックファンね。これはザ・バンドのラストコンサートをあの名匠(でしょう?)マーティン・スコセッシが自分がインタビューもして監督した記録映画です。

 僕はザ・バンドのファンというわけでもないのですが、絶対見ろというお勧めがあったので。結局やった曲は全部知っていました。あの頃のロックファンにはそれだけ影響が大きかったのですね。

 リーダーのロビー・ロバートソンはカリスマですが、その魅力が僕には全然分からなかった。ところがこのDVDを見てちょっと分かりました。クールでシャープで、それでいながらロックのクレイジーなところもちらっと垣間見せる複雑なタイプの男の人です。

 でも何でバンドを止めるのかという質問に「18年もやってりゃ十分だよ。それに、伝説のロックスターのようにツアーで死にたくない。考えたくもない」とロッカーらしからぬ発言をします。他のメンバーをみても素朴で音楽が好きで、いわゆる普通の考えを持った人たちがやっていたんだという印象を持ちました。

 彼らはその後、ソロで華々しくという噂は聞きません。映画の最後、総てが終わって古いフォークソングをカントリーバンドのような感じでボーカル無しで演奏する(異様に美しい響き)姿が一番真実に近い気がします。

 ロックのカリスマのラストコンサートというより、マーティン・スコセッシが大好きなバンドのラストを撮りたかった、プライベートフィルムのような気がしました。そしてその分、なんか愛着のわく映画でもあります。また見よっと。 

 で、これで1日が終わってしまった、様な感じ。生産性問題あり。まぁいいではないか、な。

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ゲストではクラプトンがミュージシャンとして抜き出ている印象がありました。さすが。