上のグラフは何かな?
よーく見ると横軸はチョコレート消費量となっている。縦軸はその国のノーベル賞受賞者数(人口10万人当たり)で、つまりは非常に乱暴に大胆にドラマチックに言うと、「チョコレートを食べると頭が良くなりますよ」ということを示したグラフなのであーる。
これが某お菓子会社の宣伝冊子、じゃなかった、医療関係者なら泣く子も黙る、臨床家ならひれ伏す天下の the New England Jurnal of Medicine の今月号に載っていた。ノーベル賞月間なのでまぁ軽く冗談ぽくやってみましたという感じのコラムというか論説です。これがNEJMに載るところが誤解を生みそうですが、つまりはフラボノイド、ポリフェノールの話である。
人間は酸素を吸って生きている限り酸化が起こり、体の中が徐々に錆びていくと思えばよろしい。これが老化であり(これだけじゃないが)、さまざまの疾病を生みだす元となる。そこでポリフェノール、抗酸化物質の代表選手登場である。こいつがコーヒー、チョコレートに多く含まれているんだなぁ。つまりはカカオが偉い、それ故カカオはスーパーフルーツとも呼ばれている(らしい)。
寿命や認知機能を改善するという結論が実験的にも、コーヒーやチョコレートを食べた人間が対象の臨床論文でも結構出ている。しかし実験の場合、とても実際摂取するのは不可能と思われる量であったりすることが多い。人間のデータでも、対象者数が少なかったり他の因子を除去できないケースも多くて、本当にチョコレートを毎食後食べたほうがいいものか、コーヒーはバケツ一杯飲んだほうがいいんじゃないの、というのはよく分からない。
しかし何かちょっと欲しくなった時、生クリームよりもチョコにしよかな、という感じの規制はかかる、私の場合。
健康を考えるならカカオ含有量が多く甘味の含まれないブラック、硬派が望ましいが、当クリニックに多いチョコ評論家の諸嬢によれば、あれはまずい、チョコじゃない、ということになるらしい。彼女らは砂糖をなめていればいいのである。
僕はコーヒーはいつ頃からかブラックで、砂糖があると甘ったるくて全然飲めんようになってしまった。チョコに関してはブラックを口に入れると、2個目はやっぱり食べないなというレベルだが(チョコ評論嬢と変わらん)、これも慣れだね。ブラックでないと食えん、という風にいつかはなるかもしれん。
だいたい音楽も、甘ったるい情緒綿々たるやつよりちょっと無機的な、クールな音の方が好きなのでブラック嗜好なんだな。これは内面が甘ちゃんなので中和せんとする自然の防御機構なのではないかしらんと愚考するのである。