2、3日前、ごそごそとCDをしまってある棚をかき回していたら桑田佳祐氏の「孤独の太陽」が出てきた。
おおっ!こんなとこにあったんか!捜してたんだよー、と思わず頬が緩む。これは彼のセカンド・ソロアルバムで、ここから「真夜中のDandy」がヒットした。長渕剛氏をからかった曲も話題になったな。サザンではあまり聞けない、そんなこと考えてたんか、というような歌詞が続く、いわゆる骨太な本音っぽいアルバムです。出た当時から好きで、全然飽きない。
しばらくヘビーローテイションしていたのですが、昨日、彼が食道癌というニュースを聞いて軽くショックを受ける。
ロックミュージシャンは破滅型が典型的だが、実は息の長いミュージシャンはかなりクレバーに計画的に生きている。ストーンズのキース・リチャーズは破滅型だが(例外的に長生きですが)、ミックは絶対あいつはベッドの上で安らかに死ぬと言われている人で、ちゃんとジョギングを続け、ドックも受け、ナイトの称号をもらい、子供をパブリックスクールに入れている。
文学者も破滅型と昔からのイメージがあるが、村上春樹氏はフルマラソンを20回以上走り、ウルトラマラソンやトライアスロンも経験している。彼は文学をやり続けるためには頑強な肉体が絶対に必要であると述べている。
もちろん好き嫌いはあるけどさ、心の底から破滅型でそこからデーモンを生み出す芸術家ばかりとは限らない。むしろ村上氏の言うように、頑強で健全な肉体と精神がバックになければ、破壊的なアートの世界とは長く付き合えないという気がします。
桑田佳祐氏はミック・ジャガー・タイプで、50になってからジョギングを始めたり、すごく健康に気をつけているという話を聞いたことがある。今回、ごく早期で癌が見つかったのも、そういう心がけの賜物だ。それでこそ長くみんなの心に届く歌を作り続けることが出来るのだ。彼はそう思って努力していた。神様もぜひその心がけに応えてほしいものです。桑田佳祐氏の新しい歌が聴けない世界はあまりにも寂しい。そう思わない?
今こそ聴こう。