月別アーカイブ: 2010年7月

孤独の太陽

2、3日前、ごそごそとCDをしまってある棚をかき回していたら桑田佳祐氏の「孤独の太陽」が出てきた。

おおっ!こんなとこにあったんか!捜してたんだよー、と思わず頬が緩む。これは彼のセカンド・ソロアルバムで、ここから「真夜中のDandy」がヒットした。長渕剛氏をからかった曲も話題になったな。サザンではあまり聞けない、そんなこと考えてたんか、というような歌詞が続く、いわゆる骨太な本音っぽいアルバムです。出た当時から好きで、全然飽きない。

しばらくヘビーローテイションしていたのですが、昨日、彼が食道癌というニュースを聞いて軽くショックを受ける。

ロックミュージシャンは破滅型が典型的だが、実は息の長いミュージシャンはかなりクレバーに計画的に生きている。ストーンズのキース・リチャーズは破滅型だが(例外的に長生きですが)、ミックは絶対あいつはベッドの上で安らかに死ぬと言われている人で、ちゃんとジョギングを続け、ドックも受け、ナイトの称号をもらい、子供をパブリックスクールに入れている。

文学者も破滅型と昔からのイメージがあるが、村上春樹氏はフルマラソンを20回以上走り、ウルトラマラソンやトライアスロンも経験している。彼は文学をやり続けるためには頑強な肉体が絶対に必要であると述べている。

もちろん好き嫌いはあるけどさ、心の底から破滅型でそこからデーモンを生み出す芸術家ばかりとは限らない。むしろ村上氏の言うように、頑強で健全な肉体と精神がバックになければ、破壊的なアートの世界とは長く付き合えないという気がします。

桑田佳祐氏はミック・ジャガー・タイプで、50になってからジョギングを始めたり、すごく健康に気をつけているという話を聞いたことがある。今回、ごく早期で癌が見つかったのも、そういう心がけの賜物だ。それでこそ長くみんなの心に届く歌を作り続けることが出来るのだ。彼はそう思って努力していた。神様もぜひその心がけに応えてほしいものです。桑田佳祐氏の新しい歌が聴けない世界はあまりにも寂しい。そう思わない?

今こそ聴こう。


楽しい合宿

暑いなぁー、いやぁー熱い!「真夏の講義・死のロード4連戦」の3戦目、最も手強いと思われた箱根・抗加齢医学会勉強会が終わりました。

全国で23しかない学会認定施設のうち4つの施設から専門医が集まり、それ以外にも同レベルかそれ以上のドクターが3人、ゲストに東京農大の教授で生命科学振興会理事長の渡邉昌先生というゴージャスなメンバーで、昼の1時からから夜の11時まで、2日目も朝9時から11時まで、全くだれない熱い濃厚な時間が過ごせました。内容は素晴らしくとても満足しています。

僕はうちのクリニックでやっている「低負荷スロー・レジスタンス・トレーニングの糖尿病患者さんへの効果と、運動を持続するために何が必要か」「鍼灸の抗加齢医学効果」の2つを1時間で喋りました。

書くと長くなるのですが、皆さん僕と同じ悩みを持ちながら、ただの臨床から1歩超えた何かをつかもうと努力されているのがよくわかり、大いにやる気が出ました。皆さんと仲良くなれたのが本当に嬉しいな。

昨日の晩、アドレナル・ファティグ(副腎疲労)の話題で盛り上がり、1つの治療法としてメラトニンが有効ということで、一番いいのではという米国の某社の製品が紹介されました。それをためしに戴き3mgほど内服してみたのですが、どうも僕にはうまくフィットしないようで今も眠くてたまらん。

まぁ単に疲れただけかもしれませんけど。毎週末仕事で出かけるのは一休みで、駆け足のように過ぎ去る夏を楽しまないとね。

ミーハーです。でもオーラありました、確かに。

学会の連休

 あーあ、連休も終わっちまったよ。

 土曜日から鹿児島へ「第16回日本心臓リハビリテーション学会」に行っていました。うちの事務長が「クリニックの運動療法指導における動機づけの有効性」を発表しました。300以上の演題は殆どが大学か総合病院からの発表で、クリニックの発表はほとんど無く、選考で口述発表に選ばれたのは本当に素晴らしいことだと思います。

 反応もよく、次のセッションの座長から質問していただいて「素晴らしいチームだ。大阪に行くことがあったらぜひ見学に行きたい」と身に余るお言葉も戴きました。感激です。忙しい中で演題を出した甲斐がありました。事務長、本当にお疲れ様。

 その前日はパワーリハビリテーションでも抗加齢医学でも僕の盟友といえる鹿児島のK先生と宴会しました。いつになく饒舌で本音をバンバン言ってくれたK先生、どうも有り難う。勉強になりました。お勧めの磯公園にも行ってきましたぜ。

 鹿児島はいいなぁ。桜島の雄大さが気持ちの核になっている気がします。

 今週は静岡でクローズドながらベリー・ハイレベルの抗加齢医学研究会がありますが、北海道から富山、川崎、鹿児島からと日本中から来られます。気持ちを同じくする人々がいろいろなところにいると思うと心が安らかになる。

 狭いところでウジウジしていてはいけません。気持ちは全国区、前向きに頑張りましょう。

桜島はダイアモンド・ヘッドよりカッケー

 

 

知性もいいけど身体性もね

 ある医者の友人と話をする。

 昔、頭より肉体が大事とされた(1次産業の時代だ)。身体を使って汗水流して働く時代。やがてそれは情報産業の時代となり、いかに早く大量の情報を得、それを使うかが重視された。頭の時代。

 現代も勿論そうであるのだが、PCの発達は情報を得るということが誰でも出来る簡単なことになってしまった。それとともに知的情報社会で有用とされる能力も変化していく。むかし体力を誇った人があまり必要でなくなったように、コンピューターで出来ること以上のことが出来ないと仕事がなくなる時代が来る可能性が高い。

 どういう人間が必要か?

 これからはむしろ身体性の時代。体力、身体能力の優秀さが再び必要となるのではないか。体力あってこその知力。知力を伴う体力。2つは相乗効果を持つ。しかもコミュニケーション能力が伴う場合が多い。こういうやつでないと乗り切れない時代ではないか。それに加えて大事なのは精神性の高さだ・・・という話をする。

 僕が最近読んだ数冊の本も揃って同じようなことを言っているのに驚く。身体性の復権。外来で時々診る最近の若い人は驚異的に体力の無いときがある。日本史はじまって以来の虚弱さという説もある。みんな優しいけどね。

 病気にならないというより積極的に体力つくりをする。そのために時間をとること。このことはもっと真剣に考えないといかんのでは?とそぼ降る雨の日、湿気立ち込める部屋でボンヤリ考える。

若い写真

 昼休みに以前製作したパワーポイントをPCのファイルの中で捜していたら、昔の写真が何枚か出てきた。

 昔も、そして今も付き合いが続いている友人たちの写真。いろいろな場でいろんな時間に。彼、彼女たちはすでに十分大人だったのだが、まるで子供のように無邪気に見える。細胞が、表情が若い、邪気が無い。やだなー、切なくなる。

 勿論僕自身も写っているのだが、自分自身より他人に表われた時間の落差に胸をつかれる。これは僕自身を客観的に眺める時間というのはそんなに無いので、今の自分の外観をちゃんと認識していないせいだろう。現時点で写真をとって較べたりするとそのまま失神するに違いないと思われる。

 しかしな、つまんなくないか?

 年をとることは何かをどんどん失っていくことであろうか?それは寂しいじゃないの。

 外観は認めよう、しかしそれに変わるサムシングを身につけてないと年取った甲斐ないじゃないか。単に古びたのではなく、アンティックや古いワインや洋館のような、歴史の長い時間でしか作れない貴重なもの。それは知恵? ハート?・・・ううむ。

 ぼんやりしていると、いつのまにか外は真夏の陽が射している。

 何も考えず「夏やなぁ」とつぶやくと、「そうですよ。先生も急いで遊びに行かないと」とスイートなNナースの声が聞こえた。笑っている。

 そのとおり。その貴重なものは何かわからないが、夏の陽が射せば外に遊びにいっちゃうような自由な気持ち、自由な時間がないとそんなものは出来てこないぞと思った。時間はあまり無いのである。

真ん中のおじいさんはビル・ワイマン、じゃなくてマーティン・スコセッシ。

シャイン・ザ・ライト!ね。

最近気に入っている話

 明治国際医療大学(以前の明治鍼灸大学)の鍼灸学の博士号を持つY先生にクリニックに来ていただいてお話を伺う。

 予防鍼灸学教室の博士研究員である彼は、当院の鍼灸院院長であるキュートK先生の同級生であり、美容鍼灸の研究も専門である。恐るべき博識の人で、こちらが何か言ったらすぐ学問的根拠のある答えが返ってくる。気鋭の勉強家で世間がワールドカップで大騒ぎしている時なのに「サッカー見てないんです」とスルーでした。

 鍼灸により顔のしわが減る、もしくは浅くなるかという研究を某化粧品会社とやっておられるのだが、顔の写真ばかり何千枚も見たとのこと。しわの深さをどのように客観的に評価するかという興味ある話の後に僕は「何か嬉しいことがあったときには本当にその人の顔が輝くように見えるのですが、それは本当に何か皮膚に変化が生じているのでしょうか」という小学生並みの質問をする。

 しかし彼は間髪を入れず「先生、それは目ですよ」と言った。

 「目?」

 「目です。眼裂の大きさです。嬉しい時は目が大きくなるのです。眼裂が大きいと明るい印象を与えます。今まで普通だった目が少し大きくなると、本当に輝くように見えるのです。落差がポイントです。表情に一番大きい印象を与えるのは目だと思います。」と彼は目を大きく見開いて言った。

 それ以降、みんなが目を大きく見開いて話すようになったのは言うまでもない。

 僕は普段の死んだ魚のような目を意識してキープして、意見を言う時は突然目をビー玉のように見開いて話すという岡田ジャパンのような落差攻撃もしたのだが、あまり印象を与えなかったようである。見開いたつもりでもまるで小さかったのかも知れぬ。

 いずれにしろ諸君、目だよ、目!

僕の目はどれでしょう?

パワーリハビリテーション近畿支部

今日は「第1回パワーリハビリテーション近畿支部実践者研修会基礎コース」という長い名前の研修会がありました。

今まで大阪支部として2回、同じ研修会を開催したのですが、今度は近畿全部を統括して初めての研修会で運営委員の意気込みは並々ならぬものがありました。絶対成功させねばならぬ!僕は支部長として血気盛んな皆様の気を抜くヘロヘロとした役をしています。

日本中で開かれているのですが大体30人位の規模が多い。しかし今までの大阪支部の時もそうでしたが今回も100名を大きく越す申し込みがあり、113名で決行、それでもキャンセル待ちがでるという盛況振りでした。皆さんが頑張ってくれたおかげで内容も非常によかったと思います。

運営委員はみんなパワーリハのことを熟知している本当のプロで、惜しげもなくノウハウを公開してくれました。当院からも介護、外来から計8名のスタッフが参加、明日から早速学んだことを生かしてくれると期待しています。1日本当にお疲れ様でした。

パワーリハビリテーションは正確な方法で行えば必ず結果の出るメソッドです。しかしマシーンというだけでいまだ筋トレとして間違った使い方をしている施設が多いのです。近畿支部はその誤解を正し、多くの皆様の生活能力を少しでもアップさせて楽しい生活をしていただく努力を続けていきたいと思っています。

休みがつぶれるのは悲しいですが、いい結果だと気持ちも軽い。パワリハ以外にもやらなくてはならない宿題山積みですが、まっ、なんとかなるっしょ(しかし明日になると予定を見て青ざめるのは間違いない)。

初の試み:なんでも相談        修了書授与