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不快と快

「高齢者には筋トレと音楽が必要だ!」とおっちゃんは言った。

彼は70歳代前半でありながらトライアスロンとギターが趣味というなかなかいけてる高齢者です。このチョイスは悪くない、というかとてもいいんじゃない。

高齢者にとって認知症と骨粗鬆症とがんの予防が最優先(by 白澤卓二先生)なのだが、筋トレはこのすべてにとって有効なポテンシャルがある。筋肉と血糖値を制する者がエイジングを制す(by 池岡清光)のですが、筋トレには単に筋肉量を増やす、筋力を増す、骨を強くするといった整形外科的優越性だけでなくメンタルに効くというあまりない特性があるのです。弱ったときには筋トレよー。ぐっと前向きに顔が上がるでー。

加えて、筋トレはつらい。楽しいから毎日やろっ!というものではなく、始めるまで結構自分を鼓舞しないとあかんと思うのですが、このちょっと辛い、少しイヤねーということをやり続けることこそ若さの秘訣と私は思うのです。

「ホルミシス効果」というのがあって、もとは極少量の放射線は健康に有益な作用があるということから注目されたのですが、頑張れば克服可能なストレスは能力を上げる!楽過ぎは能力を落とす、きつ過ぎはやめちゃうということで、これぞアンチエイジングのキモと多くの先生も言ってますね。毎日が日曜日だとボケるわけで、通勤とか仕事とか、そういうのもやる意味があるわけです。運動の効果も一部はホルミシスだとされている。

で音楽ですが、3年前に認知機能が低下すると和音が心に引き起こす感情の変化が分かりにくくなるというのを日本抗加齢医学会総会で発表しました。認知症の方を診ていると、心の喜びとか快楽とかがほとんど感じられていないように思われる。つらいことです。ロックミュージックを聴くとワクワクできるうちは自分でも大丈夫(前衛ジャズを聴いてワクワクできているうちは特に!)と思うけど、音楽を愛し続けること、これも若さの秘訣だと思います。演奏できればもっといい。

でおっちゃんの言葉のポイントは、このちょこっと辛いこと、快楽の組み合わせです。どっちか一つだけではだめで、不快と快を繰り返す。この変化が老化を防ぐ。ワンパターンはよろしくない。

筋トレと音楽以外の組み合わせもオッケーですが、今のところ個人的にはこれがベスト。でも皆さんも考えてみてね。野菜とステーキってのはだめよ(ってそうでもないか)。