月別アーカイブ: 2014年10月

10月の最後の海

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今年最後かもしれないなと思い、晴れた木曜日にシーカヤックに行ってきた。今回は遂に!念願の女子部員も参加である。もう思い残すことはない(泣)。行く度に人数が増えてくるが、そろそろイッシー社長にリッチでゴージャスな新艇の購入と我々カヤック部への寄贈を真剣に考えてもらわなくてはならぬ。

カヤックの組み立てもどんどん速くなり、15分程度で組み上がる。チャッチャと着替えて海に出る。暖かい。風も異常なくらい爽やかである。やばい。このままいつまでもどこまでも漕いでいたくなる。

なんで海がいいんだろうなぁ。人には犬派、猫派のように、海派、山派があるようだが、僕は何の疑いもなく海派である。20代、ディンギーやウインドサーフィンで遊んでいた頃、4級船舶の免許を取りに行った。講習のグループで僕以外の3人はみんな釣りが目的であったのだが、そのうちの1人のおじさんは小ぶりのクルーザーを持っていた。どういうわけか可愛がっていただいて、免許を取り終わってからもちょいちょいクルージングに誘っていただいた。

ある時、クルーザーに遊びにおいでと言われ、西宮のヨットハーバーに停泊しているクルーザーの上で1,2時間、真っ暗な海と対岸の明かりを見ながら話をした。

「俺は船を出さなくてもよく一人でここに来るんや、なんでか判るか?」

「海に出なくても風に吹かれて乗ってるだけでも気持ちいいですもんね」

「まぁそうや。でもなによりな、この広さ、大きさがええんや。普段せせっこましい生活してるやろ―、人も場所も窮屈や。そんなとき、ここに来て何もせんでボーと揺られてみ。やっとそれでまたやろかという気になる。」

そんなものかと正直思った。若いね。切実さが身に迫らなかったのだが今は分かるね。海に出ると広さのエネルギーを受け取るのだ。自分の周りの枠を意識しなくなり、自分が拡散して自意識がなくなるのだ。自然の一部と化す。それを求めているのである。

カヤックは河川法により「流木」扱いであり、水があればどこに浮かしてもかまわない。クリニックの近くの狭い川でもオッケーなのだが、やはり決定的に広さがない。どこでも浮いてりゃいいというものではないのだ。そうなるとこれが今年最後ではなくてやはり寒くなっても海に来なくちゃなと、暖かい風呂に入りながら決心した。

セミナー連発

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10月に入って日曜、休日を利用したセミナーが東京で2週続いてあった。・・・許してほしいです。

最初のやつは「唾液ホルモン検査と評価、総合内分泌学マスタークラス」というやつで、トップクラスの専門家、Vanita Dahia先生の内分泌の講義が朝の9時から午後5時まで2日間にわたって休みなく続く。通訳付き(これは良し悪しという感じあり)。唾液でホルモンを測定することの利点は簡単ということ以外に、血清では多くのホルモンが蛋白と結合していて実際に活性があるホルモン値を測定出来ていない場合があるのと違い、ダイレクトに活性分画を反映するということがある。それの推移も測定しやすい。話を聞いているうちにいろんなアイデアが浮かぶが、実際にやるとなると保険が効かないという最大の問題に直面する。これは自費でOKという抗加齢関係の患者さんのみに適応するか、クリニックの予算から研究費を捻出するか、であるね。

抗加齢臨床データ報告会の仲間で、僕が開業しながらでもリサーチはできるし楽しいよとポロっと漏らした戯言をきちんと受け止めて着実に成果を上げておられる中嶋孝哉先生がゲストスピーカーで喋られる。彼のペーパー「テストステロン補充療法ーテストステロンエナント酸エステル注射における唾液中男性ホルモンの変動について」は本年度の日本性機能学会・学会賞で、僕とは出来が違うのだ。晩御飯を二人で食べようとしていたら主催者さんの好意でDahia 先生御一行と一緒に食べることになった。オーストラリア人3人、カナダ人1人、日本人3人は当然和食の店に向かい今日のセミナーの反省会となる。みんな大変真面目でした。

翌日は台風19号が東京に向かっているのでセミナーを最後まで受けられるかしらんと考えていたら、大阪で仕事中のケアスタッフから大阪は午後4時にJRがすべて止まりますという連絡が入る。残念だが2つばかり単元を残して帰阪する。非常に有益なセミナーでした。何らかの形でこれからの仕事につなげよう。

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翌週は土曜日に以前某メーカーのアイデアで他のクリニックと共同でしたリサーチをペーパーにすることについての打ち合わせ。初めてお会いした新潟の水野先生は非常にアクティブな方でした。

翌日は東大で「第1回サルコペニア・フレイル研究会」に出席する。かなり前に告知があったのだけど、これからの開業医の主戦場は認知症とサルコペニア・フレイルと思っている僕はすぐ出席を申し込んだのであった。立ち見が出、抄録が足りなくなるという白熱し盛り上がった研究会。ほとんどが大学の研究者で成因から介入方法まで、up to date が一望できたけどまだまだ途上という感じあり。個人的にはエコーで筋肉厚測定というノウハウが分かったのが収穫。これは僕とこでも出来るな。会長の京都大学、荒井教授が「構想した時期はまだフレイルという言葉が出来ておらず、サルコペニア・虚弱研究会でしたが、これではすぐつぶれてしまいそうで・・・」と笑いを取る挨拶をされました。その日は最終1本前の新幹線で帰阪する。

疲れ知らず、というわけにはいかないがなかなか楽しかった。まあ忙しいうちが花でござる。