雨が降って気温が下がっている。夏も終わりかけているようだ。皆さん、お盆休みはいかがでしたか?僕はちょっと人里はなれたところで、雨の落ちていく音を聞きながら空と山の境の霞んでいるところを眺めては何時間も過ぎていくという休みでした・・・・。なんか違うなと感じた?以前の俗物ではありませんで。けっけっけっ。男の子は3日会わないと変わるんですよ。心してください。高尚に行きましょう。
アロマセラピーというのがある。聞いたことはあるがこれと説明できる人は少ないんじゃないかな。僕は偶然からアロマセラピーに関わることになり、日本の男性の中ではいわゆるアロママッサージを受けた回数においてかなり上位にランクされると思うが、これでアロマセラピーに詳しいなんていうと恥ずかしいだけだ。でもまぁ少しお話させてください。
花や樹皮から精製した精油(エッセンシャルオイルという)を用い皮膚から吸収(オイルマッサージや入浴時にお湯にたらすなど)、揮発させ鼻から又肺から吸入、まれに飲用して消化器から吸収などのやり方を用い、そのオイルの作用を期待する。リラックス作用が多いが覚醒作用や抗菌、免疫力アップなど様々な作用がある。ちゃんとした学会が日本でもいくつかあり、医学的な応用をいわゆる代替医療として模索中である。レモンオイルを咽頭に塗布することで咽頭痛を癒すなどは単純な方で、癌の鎮痛にも効果があるとされる。
当院でも主として鎮痛作用に応用できないか(お年よりは痛いとこだらけなのよ)、関西医大の心療内科に併設されているアロマセラピー室にお伺いしてお話を聞いたりして創世期の苦闘後アロマールームを3年前に開設。1年で諸事情により閉鎖し今年再開。しぶとくしつこくやっていこうと決意を新たにしている。アロマセラピーは代替医療に分類されるが、今のところ効果が確立されたものではない。化学薬品の代わりに自然の花の成分を用いその薬効(薬理学的に多くが証明されている)を期待するわけだが万人に等しい効果が得られるというところまではいっていない。でもこれは精油の問題やら投与法やら対象の選び方でかなり進化すると思っている。今のところ精油を使うマッサージが一番世間的には浸透しておりそれについて少し。
マッサージといってもいろんなタイプがあるが一般的にアロマは非常にソフトだ。マッサージの揉むという感じではなく触る、息を吹きかける感じというのが近い。それで効果あるのか?あるんだなこれが。皮膚や筋肉は刺激がきつければきついほど効果があるというのは間違いで、刺激の性質に敏感に反応する。ためしにあなたの腕を柔らかく撫ぜてみて、その後グイグイ揉んでごらん。どちらが筋肉がリラックスする?
それにあなたの選んだ心地よい香りが常に漂っている。周りは薄暗く、心地よい音楽か自然の虫や鳥の声がかすかに聞こえる(こういう環境をしつらえているところが多い)。半分以上の確率で寝てしまうことが多いが、ここで大事なのはあなたが何も考えていない、もしくは不快なことは考えていないということだ。煩雑な日常から分離される、完全に。
5感の中で嗅覚は特殊だ。他の4感と違い視床下部を介せずダイレクトに臭球を介して大脳皮質にメッセージを伝える。多分最も古い感覚だからだ。他の4感より圧倒的に多くの遺伝子を必要とする。古代人は自己を守るために匂いに大変敏感だったんだろう。プルーストの「失われた時を求めて」もマドレーヌを紅茶に浸したときの匂いから記憶が喚起され物語が始まる。匂いはあなたの何か深い部分につながっているのだ。
慢性的な痛みはかなりのものが心因性と考えられている。痛みは肉体的なものとは限らない。匂いはそれを癒すし、その種類により分泌される様々なホルモンやオピオイドが精神肉体的に影響を与える。リラックス、安らぎ、そんなものが純粋に手に入る。それがアロママッサージだと思う。出来れば定期的に受けるべきだ。なんでもそうだが1回触れただけでは分からない。繰り返すことで別の世界が広がる。私はそれを伝えたい。アロマエバンジェリスト(伝道師)だからだ。