月別アーカイブ: 2006年7月

樹医志望

 昨日パールスにも書いたのですが、友達の植木君ともっと仲良くしたいなーと考えています。何にも知らんからもっと勉強せなあかんね。樹医(呪医じゃないよ)というのもあるし、通信教育でいけるみたいだから受けてみたい気も・・・しかし山積みのMUST DO書類を見るとあぁと思い、結局ふんぎりがつかん。

 問題:サボテンはどのようにして背が伸びるか?

 答え:これを見よ!法人本部にあるサボテンですが、頭の先からソーセージのようなのが生えてきてこれが太くなるのじゃ!

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右にチラッと見えるのがダースベーダーさんです

植木君は友達

この前のパールス以来、どうも植物が気になっています。ペットはいまや完全に人間のコンパニオンとしての地位が確立され、今の日本では12歳以下の人口よりペット数のほうが多いという、信じられないことになっています。飼い主に擬人化され、また特に犬は犬同士より人間に関してよりシンパシーを感じているような半人間が多い気がします。今君が飼っているのは犬じゃないよ、犬の着ぐるみを被ったちっちゃい男だ、よく見てみ。

犬が歩いている部屋で観葉植物が静かにたたずんでいる。昔サボテンが喋るというのがあったなぁ。優しい言葉、励ましの言葉を植物に話しかけていると葉がつやつやしてくるというのもよく聞く話だけど本当のところどうなんだろう。

「樹功」というのがあります。気功の一種ですが、近年リバイバル著しいらしい。木に向かって立ち、木から気を貰いつつ自分の気を練ってゆく。木と対話しながら自らも樹木となって同一化する感覚を磨いていき、自分の人間としてのあり方を相対化していく総合的な感性トレーニング。自分の気のタイプに応じて好適な樹種も異なり、自分にあったパートナー的な“私の木”を見つけることも重要なポイントとなるようです。

アロマテラピーとかフラワーレメディとか、香りや飲用することで体調を整えることも最近では普及してきていますが、もともと薬は薬草というか植物から得られたものが多いのです。そこで大事なのは単に物質としてある要素を摂取すればいいというものではなくて、樹功や園芸療法(園芸に参加することで認知症や欝などが改善することが報告されている)のように植物との関係性からその植物に「治癒」されるという可能性があることです。その関係性から、伝統的な薬草医は人間のためだけに際限なく採取することはせず、1部は他の生物のため、一部はその植物のために残しつつ(1番勢いの強い葉を!)残り物だけをいただくという植物と付き合う作法を持っていました。人と植物は共生していくのです。

恐竜の絶滅には60以上の説がありますが花によって滅ぼされたという説があります。草食恐竜の食料は羊歯だったのですが、胞子は水の仲立ちがいるため羊歯は水辺に繁殖していました。しかし花は花粉による風媒という画期的なシステム、ついで蜜を利用した昆虫との共同作業を開発したため繁殖力が大きく、羊歯はだんだん北方に追いやられ、恐竜も北方に移動せざる得なくなりました。その時期に隕石の落下が起こり決定的に恐竜は絶滅したのです。

花はその時期再び画期的なシステムを生み出しました。果物です。そしてパートナーとして哺乳類を選び、果物を食べた哺乳類が移動した先で種を排出することにより勢力を広げて行ったのです。哺乳類である人間は植物によって選ばれたことで今があるというわけですね。

どうも周りにある植物が静かに僕たちをじっと見つめている気がしませんか?あんなこともこんなこともみんな見られているぞ。悪いことは出来ません。人間だけがこの世界を支配しているという考えはとっても傲慢ですね。「プラントロン」という機械は植物の葉に電極を取り付けて電位を測定し、それを音声信号化するものなのですが、これが面白いくらい植物の環境に対する反応を反映するそうです。そして大事なのは、そこで聞き取れるのは植物とそこにいる人間との関係性を表現しているようだということです。あぁ、枯れちゃったのはもうあきれたからに違いないですね。ショック死かな。明日からちゃんと挨拶してあげよう。いいですか、みなさん。

ゴルフ!僕はだめでした・・・

 今日は久しぶりにゴルフに行ってきました。あつー!!死ぬー!!顔、火照って痛いです。日焼け止め無効。

 僕はたまにしか100を切れないへぼゴルファーですが、今日一緒に行った人達は元同僚ですがうまいです。しかしハーフ、最終ホールまで34できてた奴が(ちゃんと仕事してんのか!)、僕のちょっとしたプレッシャーの言葉で馬鹿叩きし(エチケットとしては問題ですがそういう仲なので)なんと44というのは、それが普段の実力とはいえゴルフは本当にメンタルなゲームです。だから僕は下手なのね。

 患者さんに80歳でありながら週に2,3回ラウンドしてるご婦人がいます。前向き、若いです。この前筋肉トレーニングはしているのかという僕の問いに「先生、これ見て」とハンドバックの中からゴムチューブを取り出してきました。「暇があったら引っ張ってんの」。まいった!!これよ!

 ゴルフのGはグリーン、緑ね。Oはオゾン、酸素。Lはライト、日の光。Fはフット、足ね、歩くこと。環境破壊して農薬撒いた緑なんかだめだよ、というのも理解しています。しかしご年配でもかなりいい成績が出る、健康にいいスポーツとしては認めたいです。

 しかしもうちょっとうまなりたいよなー(スコアは秘密ね)。

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No Time !

 うーむ、時間がない。やらなあかんことがあると必ず他のことがしたくなる性癖を放置した罰です。と書きながらブログを書いているが、ここがあかんのね。

 早く僕の愛犬みたいにボーとしたいです。

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僕とジーンズと my honey ララ

ロックなロシア男

 日本の平均寿命が0.1歳減少した。インフルエンザの影響が考えられている。少し仕事があって世界の平均寿命を調べた。

 クイズ。次のうち、男性の平均寿命が最も短い国は?①アイスランド②バングラディッシュ③香港④ロシア⑤タイ

 答え。なんとロシアです。2002年の統計で58歳(女性は72歳)。

 驚かない?全然知らなかった。次に書くのはロシアの地域発展振興省のウラジーミル・ヤーコヴレフ大臣の話。

 2000万の労働可能男性のうち100万人は刑務所におり、400万人は軍役についており、500万人が失業中であり、400万人がアル中であり、100万人が麻薬常習犯である。男性の平均寿命は世界で122番目で、過去15年間で5年短くなった。ロシア人の60%までが老人、子供、身障者であり、このままでは半世紀後にはロシアの人口は30%少なくなる。

 ロシアの男性はたくさん酒を飲み、タバコをたくさん吸い、頻繁にストレスを受け、まれにしか医者に行かない。エイズ感染者もロシアは南アフリカと同程度。彼らには健康に配慮するという習慣がない。彼らは素敵な車と美しい女性が自分たちを救ってくれると思っているがそれは思い違いだ。

 ロックだなぁ…。知らなかったよ、やるなロシア。

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プーチン…

  

ロックな人

 朝日新聞の土曜日版にフロントランナーという連載があって先週はスマッシュ社長の日高正博氏だった。高校を1週間で中退、放浪生活の後音楽興行会社スマッシュを起こし今では年間500本の公演を主催する。日本におけるロックフェスのパイオニアで外国のミュージシャンとのつながりも深く、2年前には英国名誉大英勲章OBEの叙勲をうけている。

 しかしそんな成功譚のことを言いたいのではない。何も無いところからのし上がってきて、何も変わらずロックの精神そのままなのだ。

 57歳、家庭:持たない。猫が自宅に7匹、会社に2匹。一緒に通勤する犬1匹。 家:持たない、テントとジープがあればいい。 課題:安定を考えたらだめ。過去の成功例だけで物事を判断するようになると自分たちの首を絞める。自分の感性を使って判断し、好きなことだけやって、分相応に飯が食えればいい。  

 人が安定を求めるのは死が怖いから。でも死ねばみんな同じ。仕方ないと思うしかない。

 無理だ、だめだって言われると、俺、顔がニヤーッとする。何しろ天邪鬼でわがまま。

 工員のようなスタイルで(お洒落なのかな…)不敵に笑う彼の写真を見ているとこうじゃなくっちゃねと思う。誤解しちゃいかんが外観かっこいいこと全然ないぞ。ありゃーという感じだがそこがよけいに凄みがあるなー。君がどんな仕事をしていようがこのようなスピリットは絶対なくしちゃいかんと思うぞ。

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僕の中でロックといえばこいつ

 

最近の若いもん:続編

 昨日臨床実習中のH医大5年生に若干の講義をした。僕は非常勤講師で時々この仕事がある。たまに大学病院に行くと懐かしい。若い医者が肩で風を切っているのは微笑ましいなぁ。そうそうこの世界は君のものだ、今のとこはな。すぐ変わるかもしれんが。

 大学を離れ難かった1つの理由は、若い医者や学生との交流がなくなるからだ。何というか未来とか可能性とかと話している感じがある。今でも手間だけど大学病院に行って学生さんと話していると気分がいい(むこうはどうか知らん)。エネルギーは高いほうから低いほうに流れる。普段ご高齢の患者さんと話す機会が多いので、吸い取られているエネルギーを今をチャンスとチャージしているのかもしれん。悪いね!

 僕が学生の頃と比べると教科書の分厚さは2倍となり、世の中も複雑となり、医者になることはなかなか大変なことだ。しかし天職とするにたる素晴らしい仕事と信じている。できうるならば母校に残り医学の発展のために尽くせよ!君たちの中から教授が出ても僕は驚かないよ、と最後の10分間熱弁するが、「先生、さっきの薬の相互作用の話ですが…」とあっさりかわされる。聞けよー。しかし期待しているよ。

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魅力的なK崎さん、K村さん。クールなA木君、S田君、S郷君。フォースが君たちとともにありますように。

最近の若いもん

今日K医大の5年生が二人、公衆衛生学実習の一環として訪問診療、通所介護の見学に来ました。何年か前から医師会の事業の一つとして学生さんを受け入れており、金髪(日本人だよ)がよく来ていたのですが、最近髪は黒です。金髪の時もそうでしたが大変まとも。医者を志しているのですからそうでなくては困るのですが、いい若者たちです。

 よく言われる最近の若いやつ…という言葉に僕は組しません。学力が下がろうが教養が無くなろうが(大体誰のせいなんだよ?)、僕は日本の最近の若いやつには期待してるのです。日本の10代の殺人率は世界で最低です。素晴らしいでしょう。活力がないからだという乱暴な意見がありますが、僕はやはりこれは日本の若者の自制心だと思います。ちなみに日本で一番殺人率が高いのは50代男性です。俺だよ俺、まっ、気持ちはわかる。

 今の若いやつは日本の伝統的な「和をもって尊しとなす」を胸に抱いて海外に飛び出していってほしいし、十分できると思います。何年も前ですがサッカー日本代表の小笠原選手がユースの時、英国の巨大な犀のような選手を相手に全くクールな顔をしてボールを奪っている写真を見たことがあって、その時日本も変わるなーと確信に近い感情を抱いた記憶があります。自信を持ってみんな世界を相手に仕事をしてください。ワクワクするなー。

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お疲れさんでした。Aさん、K君。

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感情の処方箋

 「アエラ」を読んでいると興味深い記事があった。『「病は気から」は本当だ-科学的に徹底検証』で、ジョージカプラン(これは確か生存曲線で有名な人だ)の古いデータから、自分が健康だと感じている主観的健康感も持たない人は持つ人と比べて10年間で3.6倍死亡率が高かった、というのを紹介。他の疫学調査からも主観的健康感のあるなしで大きく生存率が違うということで、結論として身体的健康状態以外にも精神的に健康か、人間関係はうまくいっているか、加齢を前向きにとらえているか、などのファクターが大切としている。

 これは別に画期的な結論ではない。これらのデータも原著に当たってみないと比較している対象が同条件かなどの疑問がないわけではないが、概ねほとんどの医者は結論にうなずくと思われる。「気持ち」が総てではないが、健康に与える影響はおそらく想像以上に大きく、免疫や内分泌に与える客観的な指標の変化も最近はとらえられている。

 感情を病気の予防や治療に積極的に取り入れることはこれから盛んになっていくだろう。笑うと免疫能が上がるということで癌患者さんを寄席に連れて行ったりすることは数年前から話題になっていたが、誰も馬鹿な試みだとは思わない。

 強い感情は人生を破壊することさえある。これをポジティブに使うこと、その方法論が出来ればサプリメントなんか目じゃないくらい効力を発揮するだろう。ただ感情は非常に個人的なもので一律に考えることは難しい。自分自身が主治医になって感情の処方を書くのが近道だ。前回書いた「触媒を捜せ」である。

「レオン」を目指せ!

大学院の時、毎日実験ばかりしていた。当時は循環器の生理学的実験では犬を使うのが一般的で、ビーグル犬で揃える事もあったが多くは保健所から払い下げの捨て犬だった。いろいろな犬がいた。多くは雑種だったがシェパードやコリー、チャウチャウとかもいた。何でこんなかわいい犬を捨てるんだろうとチラッと思った。

慢性的な実験ではなく急性実験では、1日でデータを取った後、犬は処分される。犬は麻酔をかけて挿管、人工呼吸器下で開胸され、心臓に処置をして様々なプロトコールで実験、データをとる。最後は塩化カリウムを静脈注射して心停止を起こす。

僕は実験が面白くてたまらない時期で、自分でデザインして学会で発表し、それなりの評価を得ることが生きがいだった。実験がうまくいかないときは2匹、3匹と成功するまで続けることもあった。真夜中になった。実験だけをする建物(動物舎)があり、そこで多くの科の先生が実験をしていた。100匹以上犬を使うと「名犬会」入りといわれ(もちろん冗談だが)尊敬を受けたが(もちろん冗談だが)、僕は最速で名犬会入りした部類で、独身だったから動物舎に住んでいたような時期もあった。動物舎の技師の人たちとよく遊びに行き、医局には行かずに入浴も洗濯もそこでしていた。なんというか狂ってたのかなぁ。

大学院の後輩を指導していたが、ある時どうしても犬を殺すのがいやで実験ができませんというやつが現れた。僕はあきれ、激怒した。何のために大学院に入ったのか。いったいどうするんだい?「でも出来ません。」彼はしばらく実験をしていたが、こんな残酷なことは出来ないと決心したのだ。彼の決心は固かった。別の形の実験をすることになり、ある日、彼は動物舎で実験に使えない雑種を、飼いたいからと貰って帰った。

それから20年たって今でもあの時の実験グループはボスを囲んで年に3,4回集まり飯を食う。昔話も出る。「あの時もって帰った犬はどうなったの?」「長生きしたんです。14歳ぐらいかなぁ、老衰みたいで割と弱ってたんです。ある時庭で花火をしたらその音に驚いて外に飛び出していって、それきり帰ってきませんでした。」「そうかぁ…」

僕は今では彼の気持ちがよくわかる。今実験をしろといわれても、犬を使う気持ちにはなれない。彼には犬の声が聞こえていたんだ。僕には聞こえなかった。でも聞こえるようになったと思う。なぜか? 前は区別していたんだ。人とそれ以外。人種差別みたいなもので、自分と違うものと思っていると声は聞こえない。今は人も犬も蚊も同じだと思っている。どの人種も同じだと思っている。それは犬を飼ってからのことだ。そうでないと僕にはわからなかった。

動物を飼おう。殺生は出来なくなる。本当です。そして次の目標は植物の声が聞こえることです。目指せ「レオン」!。診察室が火事になれば、植物の鉢を持って僕は外に駆け出す。スタッフはおいといて(ウソだぴょん)。