心のステッカー

最近のグッドニュース。

アマゾン創始者のジェフ・ベゾス氏が設立した民間宇宙開発企業ブルーオリジンが今月行う同社初の有人宇宙飛行に、ベゾス氏とともに女性パイロットの草分けウォリー・ファンクさん82歳が搭乗することになった。

ファンクさんは1960年に女性として宇宙飛行士の訓練を受けた13人の一人。ベゾス氏とともに喜ぶ写真を見よ。元気だ。素敵である。

宇宙飛行士を目指そうという人だからもともとのパーツは優秀にしても、日本人男性の平均寿命(81.4歳)で宇宙に出ようという気概、そして十分な準備ができる体力気力はどこから来るのだろう。

彼女はたぶん自分の暦年齢は無視しているに違いない。自分で感じている年齢で判断しているのだ。

社会心理学の有名な実験にエレン・ランガー博士が1979年に行った「時間を巻き戻す」というものがある。75歳の男性グループに1週間合宿を行ったのだが、20年前の服を着てもらい、生活様式をそのまま実行できるように宿舎の中はその時代のものだけで装飾され、テレビ、ラジオもそのころの番組だけ、新聞も同様で、配られた身分証明書もそのころの写真が入っていた。合宿生活の間20年前の話題しか話さないように促され、過去に戻った自分、55歳の自分として1週間暮らしたのである。

体力、認知能力などのテストを事前に受けていたのだが、1週間の合宿後、予想通りすべてが改善していた。なんと視力さえも良くなり外観も平均3歳ほど若返った。

人が自分自身をどうとらえるかが、老化の肉体的プロセスに直接影響するという素晴らしい結果だ。心の状態が現実に及ぼす力がいかに大きいかわかる。暦年齢より人が自分自身を何歳ぐらいと感じているかが実際の健康状態を反映するという別の学術報告もある。

マインドセット、心の状態が肉体に影響すること、「病は気から」は科学的に認識されつつあり、精神神経内分泌免疫学として日々新たな発見がなされている。個人的に大変興味ある分野である。マインドフルネスの有効性もこの方面から研究されている。

村上春樹氏のトライアスロンに使用する自転車には「18 till I die(死ぬまで18)」とステッカーが貼ってあるというのを彼のエッセイで読んだ。

みんな好きな数字をいれて、心にステッカーを張っておこう。

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