月別アーカイブ: 2009年2月

朝礼で話したこと

僕が目で見ているこの世界と、あなたが見ているこの世界と、全く同じものだという保証はどこにも無い。僕が赤と感じているこの色と、あなたが赤と認識しているこの色が、全く同じものだという保障は無い。あなたの赤は僕の黄色かもしれない。

 

この世界は極めて主観的なものである。同じ世界が、ある物事の受け取り方を変えるだけで大きく違うものに変化するのは誰でも知っている。この世界を作り上げているのは誰でもない君自身なのである。

 

だからこの世界で起こることは常に君に責任がある。あれが悪いのも、これがうまくいかないのも、あいつやこいつが原因なのではなく君自身が悪いのである。この世界で起こることはすべて自己責任。作り上げている君に問題があるのだ。変えたければ自分自身を変えることである。他人を非難しても何も変わらないのだ。

 

             池岡診療所詭弁論部部長 着ぐるみ院長(でもほんとだよ!)

 

 

 

 

 

 

 

あーあ・・・

レーシック手術で感染症が起こったとニュースにあった。あるクリニックで4ヶ月の間におこなわれたレーシック手術のうち約10分の1の患者さんに角膜感染などが起こっている。手術器具の滅菌などが不十分であったことが原因らしい。

 

すべての報道を知っているわけではないのでいい加減なことは言えないが、全く初歩的且つずさんで、まああきれる。多くの医者が同様の感想を持つだろう。最初の患者さんにトラブルが発生した時に(あってはならないことだけどね)しかるべき手を打つべきだし、それをそのまま3年間も滅菌装置のメインテナンスや点検はしていなかったというのは、院長である彼に何かが欠落していると言わざるを得ない。

 

今後どのように対応されるのか、クリニックはそのまま続けられるようだが、誠意のある行動を期待したいものだ。今後医師会や学会が何かのアクションをすると考えられるが、自主的にレスポンスすべきだと思う。

 

信頼は金よりはるかに大切な、得がたいサムシングなのである。

 

僕も受けようか考えたことあったけどねー

7割は弱気

神経伝達物質のセロトニンは最近いろいろ注目度が高い。

 

欝病では脳内のセロトニン不足が指摘されており、それの再取り込みを抑えてセロトニン濃度を上げることでうつ病を治療するSSRIは治療薬のファーストチョイスとなっている。アメリカではハッピードラッグとかとも言われている。セロトニンは心の平静さとか安寧だとか、そういうのに関係するのだ。また同じ意味で神経質さにも関係するといわれている。

 

セロトニン・トランスポーター遺伝子というのがあって、これはセロトニンの伝達に関係する遺伝情報が書き込まれた遺伝子である。当然、その変化はセロトニンのもたらす精神状態に関係する。この遺伝子は神経質さ、不安に特に関係することがわかっており、別名不安遺伝子ともいうのだ。

 

L型とS型があり、血液型みたいなものであるが、その組み合わせは神経質度に深く関係する。SS型は弱気で臆病、神経質。LL型は楽天的で強気。SL型は中間。

 

アメリカ人はSS型は20%程度だが、なんと!!日本人は70%がSS型らしい・・・うなずけるよなー。欧米の研究者にとって日本人は生まれつき臆病というのが定着しているとある本に書いてあった。いわゆる引きこもりは日本と韓国でしか認められないというのも関係しているのかもしれない。

 

でもね、もともとの遺伝子がどうであろうと環境によりその表現は変化するのだ。その影響の割合は4:6で環境が強いといわれている。遺伝子は参考、本命はやる気であります。だから生きる意味があるのだ。別に無理して強気になる必要はないけどね。

 

 

                こうなっとる(らしい)

                

未来を予測する一番確実な方法

 昨日、抗加齢ドックを受けに宝塚から中年男性がおみえになった。

体調に特に悪いところはない。

 

 「なぜ抗加齢ドックをお受けになろうと思ったのですか?」

 「えー、単純にいうと健康オタクなんです」と、にんまり微笑みながら答える彼は大変勉強熱心な方であった。

 

 血管年齢を測るのに用いるPWVCAVIの違いもご存知であったし、体脂肪率が18%とかなりしぼられており、カロリー・リストリクション(栄養はちゃんととってカロリーのみ制限する最近話題になっている長寿法のことね)の話をしようとすると、「ああ、カロリスね」(最近その長寿法を実践しようとする団体、カロリスジャパンができた。でもカロリスというのはまだ業界用語の域を出ない気がするのですが)と驚くべき反応を示した。この言葉を知っている医者がどれ位いるだろうか?

 

 彼との話は大変楽しかった。抗加齢医学に興味を示されるのは女性の方が多いのだが、彼のようにマニアックなタイプは男性に多い。世間一般でいえば男性の方が健康維持に無頓着なのであるが。

 

 自分の健康に関してはマニアック過ぎるということはないと僕は思う。大体人間、身体と頭が健康であれば大概なんとかなる。そんな大事な健康の事をおろそかにしてなにをしようというのだろう。喫煙、アルコール過飲と自分で健康を損ねるようなことしていて、いったい何を損したといえるのだろうか。

 

 僕が医者になってよかったと思うことの一つは、自分の健康管理に責任が持てるということである。抗加齢医学の専門医は、実は自分に役立てるためになった、というのが多いのだ。僕もそうだけどねー。医者の不養生は避けなくてはならないのです。

 

 未来を予測する一番確実な方法は自分で作り出すことである。健康に年をとることは成り行き任せでなく、計画して実行することで確実になるのです。僕は彼に100歳まで身体も頭も元気で楽しく生きていただくよう頑張ってお手伝いをさせていただくつもりです。そのつもりでいる方にはプロとして応えなくっちゃね。

 

カロリスの権威 Leonard Guarente, Ph.D

淋しいニッポン

中川財務・金融相が辞意を表明した。

 

まあ議論する気も起きないような出来事ではあります。風邪薬である抗ヒスタミン剤は人によりかなり眠くなり、僕もPLという医者が使う風邪薬を飲むと朦朧となることがある。彼が本当に風邪薬を内服したなら少し同情の余地もあるが、だけど多分そんなことは今まで生きてきたのならわかってるよね。アルコールと一緒に飲むと間違いなく眠気は増すのもわかってることだし(大体医者も随行してんじゃないんだろうか?)、G7に参加しているという意識は極めて希薄であったという感じはいなめない。

 

しかし!思うんだけど、何故周りの人たちは止めなかったのだろうか?

 

あの会見の前に2人ほど他の国の閣僚と会っていたそうだが(びっくり!どんな印象を与えたのだろう?)、あのままテレビに映るとどうなるか、どのような反応が起こるか、日本という国がどのように評価されるか、絶対に予想できていたはずである。

 

止めたけど聞かなかった、とか、今まで同じようなことが何度もあったのであきらめていた、とか、いろいろあるでしょう。彼は農林族なので関係が希薄であったとかいう話も・・・でもな。周りの人、官僚の中に彼のことを本当に考えてあげた人、そして日本のことを考えていた人が全然いなかったのは淋しい・・・。自業自得だけとはいえないような問題が・・・。

 

前歴が多いもんなぁ.

わが名はムッシュ

最近気に入っているCDについて。

「わが名はムッシュ」、これに尽きます。

 

少し前に書いたレディメイドのはせべ社長が自信作と言っていたのでアマゾンの中古で購入。7年前のCDかぁ。ムッシュかまやつ氏の自己ベストというか、セルフカバー集。小西康陽氏がプロデュースしているのでただのベストであるわけがない。

 

ムッシュかまやつ氏が好きだったわけではない。むしろイメージとしては、「なんか訳のわかんないおっさん」。一部でもてはやされてるけど歌全然下手だしー、ハンサムでもないしー、ナヨナヨしてるしー、単に遊び人というだけじゃないの、でした。

 

でも少し調べるとスパイダースの中のいい曲は全部彼が書いてるのね。「あの時君は若かった」「バン・バン・バン」「いつまでもどこまでも」「ノー・ノー・ボーイ」「フリフリ」とか(おぉ、このタイトルでわかる人がどれだけいるのだろう!?僕も小学生だったっけ。でもいいや)、すべて今聴いても色あせない名曲ばかり。

 

このCDでは歌の合間にご自身の、またマチャアキとか友人のインタビューがドキュメンタリー番組のようにはさまれている。そこに浮かび上がってくるのは60年代の本当に時代を作った遊び人の横顔である(「飯倉片町に張り付いてました、キャンテイに行くとズズ、加賀まり子さん、コシノジュンコさんがいつも3人でいて・・・」)。みんな決して誉めているわけばかりじゃない、結構実際に困ったこともかなり多い人であろうと想像される。しかし何が許したのか、ともかく好きなことだけをやっていて(好きなことだけをできる強さがあり、常識にとらわれない何かが欠落していて)今に至っておられるようです。幸運。しかし作った歌の中に垣間見える閃光のようにきらめくセンスはなんだ!

 

彼のオリジナルを僕はそんなに知ってる訳じゃないのですが、ここに収められている歌は小西康陽氏のアレンジにより(彼の弦の使い方が僕はすごく好みなのです)、原曲より深みのある、凄みのあるものに仕上がっていると感じます。特にムッシュの代名詞ともいえる「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。これにはまいるよ。一瞬にして周りの世界がブルーグレーの曇り空の古いフランス映画に変質・・・・。

 

是非御一聴。後悔しません。

 

 

若い頃はかっこいいよね。

We are not alone.

昔僕の友人が、「この地球上の空気には今まで亡くなった人の分子がすべて含まれている」と言った。火葬された人の分子は風に混じって循環し、いま吸っているこの空気の中にも含まれている、君のお父さんの身体の一部も、と言った。僕はそれを聞いてちょっと感激したのである。実際どの程度かわかんないよ、でも、本当にごく僅かでも含まれている可能性はあると考える方が科学的じゃないか。

 

で、実際に計算した人がいたのである。

 

国立循環器病センター研究所名誉所長の菅弘之先生である。先生は循環器の領域で数式を駆使して循環生理学において素晴らしい業績をあげられた方である。

 

ひとりの遺体が火葬されると500g前後の遺骨や遺灰を除いてすべての物質が燃焼し大気中に広がる。人体構成物質は分子で見ると65%が水、16%が蛋白、13%が脂肪、5%がミネラル、1%が糖質。それらは酸化分解され水蒸気、炭酸ガスなどになって大気に混ざる。遺体の体重が60kgだとそれらの元素の原子数は一番多い水素が3.5X1027乗、全部合わせると5.7X1027乗になる。地球上の大気の総量は5.3X1021Kg、原子数でいうと合わせて2.2X1045乗。この大気全体の原子数の中に遺体の原子数が均等に混ざると、大気1リットル中に14万個が故人に由来する原子数となる。1回の呼吸で0.5リットルの空気を吸い込むので7万個も含まれていることになる。

 

海水1リットル中に20mlの大気が溶けているが、先ほどの計算をすると200リットル位の浴槽分の海水に故人に由来する原子数は50万個くらい存在し、海水浴をすると遥かに多くの原子が身体をすり抜けていくことになる。

 

人が生きていく上で排泄したり排尿したりして原子は循環し、また取り込まれたりして、いうなれば輪廻転生を繰り返している。僕たちが生きているこの地球上には、今まで人間だけでなく、過去も現在も存在するすべての生物の原子が漂っており、それらみんなと共に僕たちは生きているのである。あぁ、眩暈がする。

 

勇気が出るではないか。We are not aloneなのでござる。

ここからですね。

日曜日にやったこと

 

今日は朝も早よから起きて愛犬を散歩させ、お仕事する。どうした?たまにはね。

 

最近読書欲が高まっており、その後副島隆彦氏の「日本の真実」(びっくりするようなことばかり書いてあるなぁ、でも最近のニュースの見方が変わりました。今までとは少し違う動きがある感じがします)、春日武彦先生の「はじめての精神科」(この先生の意見はいつも非常にまともで安心します)、佐久間馨氏の「ゴルフは突然うまくなる」(トホホなタイトルですが技術論は全然なく、NLP:神経言語プログラミング にのっとったメンタルな解説書。結構有益だった。ゴルフに関係のないところで使えます)を平行して読む。真実とゴルフは途中からだったせいもあり読了。精神科は今必要なところを読む。

 

その後、気が狂ったように部屋を片付ける。といっても積み上げてあった本を別のスペース(これを作るのが大変だったのだ)に移しただけだが。その後CDも整理。捜していたドノバンのベストアルバムTroubadourや、ジミヘンのエレクトリック・レディランド、ピチカートファイブのボサノバ2001、デビッド・サンボーンのUpfrontを見つけ嬉しくなる。極めつけはJohn Trudelljohnny damas and meである。サングラスの詩人がロックバンドをバックに朗読する。カッコよろしい。こういうおっさんになりたい。

 

やり残していた今度のパワーリハ学術大会の抄録を2つチェック。ポジティブライフ君が頑張っている。メールでやりとりする。心臓リハは間に合わず。

 

で、予定していたことの半分くらいしか出来なかったが、こうして日曜日は過ぎる。昔は休みだと外出しないともったいない気がしたが変わったもんだよ。また変わるかもしれない。

 

From the top of mountain in the morning

When I'm 64.

 日経メディカルをパラパラとめくる。結構面白い記事が多いので好きなのだが、先月号は読んだっけ?情けねーと反省し、まずは今月号から。

 

 と思うと気になる広告が。おぉ!パワースーツじゃないか!「ロボットスーツHAL」と書いてある。遂にでたか・・・

 

    HAL(Hybrid Assistive Limb)とは、体に装着することによって、身体機能を拡張した

    り、増幅したりすることができる世界初のサイボーグ型ロボットです。

         人が筋肉を動かそうとしたとき、脳から運動ニューロンを介して筋肉に神経信号が伝わり、筋骨格系が動作しますが、その際に、微弱な生体電位信号が皮膚表面に漏れ出してきます。HALは、装着者の皮膚表面に貼り付けられたセンサでこの信号を読み取り、その信号を基にパワーユニットを制御して、装着者の筋肉の動きと一体的に関節を動かすのです。これによって動作支援が可能になります。

  HALの応用分野は幅広く、福祉・介護分野における身体機能に障害がある方への自立動作支援、介護支援をはじめ、工場などでの重作業支援、災害現場でのレスキュー活動支援、エンタテイメントなど、幅広い分野での適用が期待されています。

 

だそうである。リースできるようだ。でもエンタテイメント?なんに使うの?対戦ゲーム?

 

面白い世界になってきたなーと思う。現実はSFを追う。あと10年経つと世界は今と大きく変化している、多分。進み方に加速がかかっている。僕が64歳になる頃は、ビートルズのように「頭が薄くなっても僕を好きでいてくれるかい?」とはまるで違う歌詞になる。「身体の3分の1が機械でも僕を好きでいてくれるかい?」・・・うーむ。ロマンチックの概念も進化しないといけないな。

 

下手な写真ですまぬ。

レディメイド

 長谷部千彩さんの本を2冊立て続けに読む。「有閑マドモワゼル」「レディメイド*はせべ社長のひみつダイアリー」。2冊とも中古で購入し、大半をバスルームで読破。

 

 誰ですか、それ?という人も多かろう。小西康陽氏(ピチカートファイブだよ)のマネージャーであり現夫人(多分まだ)で、レディメイドエンタテイメント代表取締役。ものすごーく美人そう(顔は知らない)、ものすごくおしゃれだが、日記を読む限りチャンバラ映画を愛し、人付き合いがめんどくさそうなオヤジっぽい女性。PCを自分で組み立ててしまうメカマニアというのもすごい。ミスマッチ。

 

 2冊ともすごく面白かった。僕が個人的には今一番文章がうまいと思っている小西康陽氏と共通するのだが、構えてない。小西氏なんて「僕はこれらの文章を金のために書いた」とか「容貌へのコンプレックスが僕を音楽に向かわせた」なんて平気で書く。でも自然体でセンスがいいのだ。この二人のセンスのよさは間違いなく他人に見せるためではなく(他人なんて意識してない、はなから。わかると思うけど)、自分のしたいことだけにフォーカスをきっちり合わせていることから出てくるように思う。医学論文で実にエレガントな実験で魅力的な結論を導き出しているような、すっと鼻筋の通った感じ。参りましたと僕のような過剰な不純物が多い人間は思う。

 

自分の嗜好をつなぎ合わせていくとこのようになった。なぜかなんてそんな説明は出来ない。こうだからこう。潔い。僕は理屈、理論の世界に生きているので(「ああだから、こうなります。だからそうしましょう」)気持ちがいい。

 

僕はもとよりピチカートマニアだが、彼女の作ったレディメイド・エンターテイメントのCDを聴きたくなった。夏木マリさんとかムッシュかまやつ氏とかあり。だいたいレディメイドって既製服ってことですが、この命名からしてやると思わない?

 

.. 彼女が社員を叱る台詞。「30過ぎたらもうおばちゃんでしょ、評価されることは仕事が出来るかどうかだけでしょ、ちょっとぐらい可愛くたって若い娘にはかなわないんだからさ、もうそういう次元のことはあきらめて本気でやってね」

・・・こういうことは言えません。だいたいうちの職場は30代の女子部がエンジンで動いとります。今日も外来が終わってから遅くまで若い身空で数人が頑張っていました。偉い、有難う・・・

 

うーむ。