月別アーカイブ: 2014年8月

人生は彼女の腹筋

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人にも影響を受けるが、僕の場合、読書により嗜好が形成されることが多い気がする。10代の頃、植草甚一氏と伊丹十三氏の本を何度読み返したかわからない。20代の一時期、片岡義男氏の著作は僕の生活の指針であった。今、ミュージシャンである中西康晴氏、菊池成孔氏の文章がすごくぴったりくるのだが、まぁひねくれちゃったね。

で片岡義男氏の著作の中に「人生は野菜スープ」というのがあった。彼のタイトルはどれもなかなか素敵だけど、これはよく意味が分からない。何かの比喩じゃなく、ラストの方に野菜スープが出てくるのだが印象ははっきりしない。大体どんなストーリーだったか覚えてない。魅力的な女の子が出てくるのは確かだが。

「人生はなんとかかんとか・・・」というのはよくあるフレーズではあるが、何がいいかな。「誰だ、人生はマラソンって言ったのは?」というなかなかかっこいいリクルートのコマーシャルがちょっと前にあったけど、この前ある書評を見ていて衝撃的なタイトルを発見。

「人生は彼女の腹筋」

うーーむ。最近の私の性向から腹筋に激しく反応する。駒沢敏器氏の短編集であるが、彼の最後の作品集でもあり、しかも彼はミステリアスな死を遂げているのだ・・・。

ちらっと書評を読み瞬間に購買を決意。アマゾンでなんとその日のうちに手に入った。予想通り私の好みである。100%じゃないけどね。いろいろな土地が出てくるがとってもリアルだ。人より場所がいい。村上春樹氏の「女のいない男たち」のように心にズーーーンと重く残らないのは作家としての力量差か。

タイトル作はなかなか魅力的。毎日300回腹筋をやっている女性には会ってみたいものだ。彼女が人生を変えるのである・・・ で、そういう意味なのかと気づく。

とすると、僕にとって「人生は?」  まぁ考え甲斐があるね。

 

流木Ⅰ世号漂流記

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「私を海辺に連れてって」と、可愛くおねだりしても誰も連れて行ってくれないので自分で行くことにした。しかも!カヤックを購入して進水式を兼ねてである。ざまーみろ。

カヤックは前から興味があった。カヤック体験が出来るところなら大概乗っていて、実のところ簡単じゃない?と思っていたのである(後に間違いと判明する)。トレーナーのTちゃんと偶然カヤックの話しとなり、彼もどういうわけか購入を考えていてとんとん拍子に話がまとまり、彼は主として渓流下りを目標としてインフレイタブルタイプの2人乗り、僕はクリニックの保養所が目の前が海という絶好のロケーションで白浜にあるので2人乗りシーカヤックを購入した。藤田カヌーというメイドイン京都の組み立て式で、全部で14kg。リュックのような入れ物に入れて担ぐことができる。すごい。

購入先のATCにあるカヤックコウノトリの河野さんは大変親切でとてもお世話になりました。サンキュウ!!

お盆休みの初日、渋滞を恐れて早く大阪を出た男爵と僕は、予想をはるかに上回る車の量に悪態をつきながらも昼前には到着。DVDで予習をしていた通りに組み立てを始めた。河野さんは店で実際に15分で完成されたのだが初心者の我々は40分くらいかかる。しかし全く経験なしのど素人にしてはまあままじゃないのと甘い自己採点をし、ライフジャケットとiPhone、イオン水だけを持って勇者たちは海原に漕ぎ出したのである。

名前は「流木Ⅰ世号」である。河川法によればカヤックは流木扱いでどこに浮かべてもいいことから、我々の運命を象徴するような単語「流木」と名付けたのである。行く先は風に訊いてくれである。

結構調子いい。面白くてどんどん漕いでいるうちに、白浜の象徴、円月島らしきものが見えてきたので(方向的にぴったりだったのだ)あそこまでいこうと調子に乗る。1時間ぶっ通しで漕いで近づいたところが似ているけど違う島ということが分かる。脱力。海図が無いと駄目ね。

引き返すことにし漕いでいると、なんというか直進しないのである。僕は前に乗っていて、後ろの男爵の漕ぎがパワフルすぎるのかと思っていたがどうも違う。島に近づく前からその兆候があったのだが、風が出てくると本当にすごく流されるのである。今までのカヤック体験て、考えてみたら全然無風だったよなー、体験版だから当たり前か。

かなりの疲労感が押し寄せる。休むとどんどん流されるのでひたすら漕ぎ続ける。一艇、同じ二人乗りのカヤックとすれ違う。嬉しいもんだ。女性二人、パワフルそうな外国人女性と、ベテランらしいオール捌きの日本人女性のカップル。全然違うな。カヤックスクールでちょっと習おうと決心する。

何とか言っているうちにパワーだけはある漕ぎ手2人の流木Ⅰ世は港に戻ってきた。凪の入り江に入るとホッとする。浅瀬に乗り上げ艇を引っ張り上げようとするが腰と上半身が痛くて動かん。大体2時間以上漕ぎっぱなしである。どうかしてるぜ。考えような、おじさん。

なんとか部屋にたどり着き、頭の中は冷えたビールしかなく、そのまま風呂にも入らず1時間ばかり初航海の感想と、どういうわけか我々男の子の生きにくい世の中をいかに乗り切っていくかという話で盛り上がる。ふと目が覚め、酔っぱらったまま流木Ⅰ世を片付け、待望の温泉に入る。

いや、充実していた。わが法人としては陸上部に次いで第2の運動部、カヤック倶楽部が誕生したのも嬉しい。部員募集!しかし男性はカヤックを背負うシェルパ要員、および組み立て工員としての募集のみ。乗れるのは女性だけである。なにか?