月別アーカイブ: 2006年2月

カフェ俺!

嗜好品というのがあります。辞書では「栄養をとるためでなく、その人の好みによって味わい楽しむ飲食物。茶・コーヒー・タバコ・酒など」なんて書いてある。生きていく上で絶対必要なものではないということですが、人間性を表すのは必需品なんかじゃなくこういった趣味性の高いものですよね。それにまったく必要じゃないのかというとそうじゃない。大雪のスキー場でぼろぼろになりながら転がり込んだレストランで飲んだコーヒーなんて本当に生き返った心地がするものですし、僕は吸わなくなりましたがタバコも状況により体がとろける位うまいものであるのはわかっています。せやから止められへんわけだ。そして耽溺する。溺れる。流される。そこから悲劇が始まるのであります。何でもやりすぎはいけませんで、旦那さん。私も覚えがありますが。いえいえ、私は今では酒もタバコも博打もやらないつまらん男でございまして・・・。

でもコーヒーは飲むんだな、これが。かなり中毒かもしれません。出典は忘れましたが10年以上前にアメリカから出た医学論文で、習慣的にコーヒーを飲む人はやめると作業効率が落ちるというのがあり、こりゃますます止められへんなー、ただでさえこの能率だもんと思った記憶があります。で何の気なしに調べ物をしていたらコーヒーに関する文献があったのでちょっとそれを。

「コーヒー及びカフェイン摂取とパーキンソン病との関係」。アメリカ医師会雑誌に2000年に載った文献です。信頼性高し。8004人を30年間にわたって観察したもので、観察期間中102人にパーキンソン病が発症したのですが、コーヒー摂取者の発症率は飲まない人の6分の1で、カフェインがその発症率と関係していた。ナイアシンなど他のコーヒー成分は関係が認められず。ミルクや砂糖も関係なし。パーキンソン病は喫煙者に発症が少ないことが知られていますが、この研究ではコーヒーによる発症率の低下とは無関係でした。

もうひとつ。Diabetes Careというアメリカ糖尿病学会誌に今年載ったばかりの文献。「コーヒー、カフェインと2型糖尿病の危険度」。88259人のアメリカ人女性。2型糖尿病というのは一般的なよく見られる糖尿病ですが、10年にわたっての観察期間中1263人が発症。コーヒー毎日2杯以上飲むと発症率が低下。この傾向はカフェインレスのコーヒーでもインスタントでも同じ。紅茶は影響せず。カフェイン以外の他の因子が発症率低下に関与しているが同定できず。

すごい数の対象者ですね。日本の健康食品でかっこつけてデータを示しているのが時々ありますがほとんど10人以下ですもんね。大嘘というのがよくわかります。なお出典は明らかではありませんが、コーヒーは脂肪酸の分解を促進する(カフェインが脂肪分解酵素リパーゼを活性化させるため)ため、好気性運動(ウォーキングや軽いジョギングなどですね)の30分前に飲むと筋肉のエネルギー源として脂肪酸が使われやすくなり体脂肪が減少するというのもありました。

いいことずくめではないか!糖尿病とパーキンソン病は本当にタフな病気ですが、コーヒーで罹患率が下がるなら飲まない手はない。俺はカフェでいこう!俺カフェ!カフェオレ!・・・失礼しました。こういうのはちょっと疑ったほうがいいよと僕の脳細胞にわずかにこびりついている理性が囁きますが、少なくとも嗜好品としてはタバコやアルコールより益がありそうです。しかしコーヒーをたくさん飲むとなんか歯がコーヒー色に染まってきそうな気がするのですが。そんなことない?誰かいい対策をご存知ないですか?うーむ。

食わず嫌い達よ!

介護予防の講演を聴いてきました。大阪府医師会の主催で4月からの介護保険制度変革に伴い主治医意見書(介護保険の認定のとき必要)の様式が変わるのでその解説と、目玉である介護予防についての解説があり、それをちゃんと聴いて城東区の先生方にお知らせする役割がどういうわけか劣等不良理事である私に課せられたためであります。やらせんなよ!いえいえ、冗談です。インフルエンザが爆発しているため診療が延び、予定より30分近く遅れてひいひい言いながら医師会館に着けば黒山の人だかり。会場の外にモニターが3台ほど設置してあり立ち見の状況です。絶句していたのですが、どうせなら会場に入って聴こうと人波を強行突破して中へ。するとスライド係りの兄ちゃんがあそこが空いているよと目で合図してくれました。奇跡的に空席が真中に!目でありがとうを言い返し、周囲に迷惑がられながら席に着きました。ごめんね!まったく馬には乗ってみよ、人にはそってみよ、会場には入ってみよであります。こんなときに日頃の精進、善行の積み重ねがものを言うね!しかしぎゅうぎゅうでダウンも脱げないぞ。

介護保険では要介護1というのが最も軽いクラス(ここに分類されている人が全体の3分の1強でこれからも増加が予想される)で、その下に要支援というのがあります。今回要介護1に分類されている人の中には予防段階の人が多く含まれているということから要支援を2段階に分けてそれらの人も新要支援の区分に入れ、介護給付でない新予防給付でまかなおう、そしてそれらの人には新しいサービス(運動器の機能向上、栄養改善、口腔機能の向上)を受けていただこうというのが骨子であります。まっとうです。でも実際の運営に際してはうまく機能するとは思えないシステムが多々提示されており、4月の開始時には混乱が予想されます。まぁ普通やったらでけへんで、あんなこと。だいたい厚生労働省の狙いは要支援が増えると介護保険費からの支出が少なくなる(クラスが下なほど使える介護保険料は少なく規定されている)というのが大きいのですが。

運動器の機能向上にはストレッチやバランストレーニングなどとともに筋力向上トレーニングが上げられており、今までその代名詞としてパワーリハビリテーションが上げられていました。しかし今はマシンを使わなくても可と、かなり控えめになっています。それでもいたねー、パワリハ批判派が。毎回マシントレーニングをして事故が起きたらどうするのだ!誰が責任取るのだ!とヒステリックに叫ぶ質問者がいるのですが、バランストレーニングでもひっくり返るぞ。相変わらずパワリハの誤解は解けていないようです。

パワリハは筋力トレーニングではない。この点、厚生労働省も悪いと思いますがマシンを使うために、またパワーという名称から完全にマッチョなトレーニングと間違えられているようです。負荷を定量的に決められること、同一運動を間違いなく反復できることからマシンを使用しているだけで負荷は恐ろしく軽い。老化による姿勢の悪化、移動能力の低下は筋力の低下というよりも使用する筋肉、使用しない筋肉のばらつきが起きてくるためで、それを一様に使用することで明らかに歩行能力の向上が見られます。病気を抱えているお年寄りは危険ではないのかという批判もありますが、研究会では90歳以上の実施例を集めてシンポジウムをしていましたし、我々の経験でもパワリハの規定を守っている限り安全です。しかし負荷の設定、マシンの調節など、講習を受けて免状を持っている指導員が必ずつくことが必要で、むしろ危ないのはマシン経験の少ない介護者が真似事をすること、ドイツの医療器具であるコンパス社製マシンでない適当なジム用のマシンを使うことです。そんなケースで事故の報告があります。パワリハ研究会はデータをちゃんと公表しており、介護保険での運動器機能向上の効果判定のやり方はパワリハ研究会のメソッドそのままです。実施方法も腰砕けにならずパワーリハビリテーション流のみで、その他のマシントレーニング、マシンを使わないトレーニングは不可としたほうが効果も安全性も絶対高かったやろねー。残念。政治的な駆け引きがいろいろあるのでしょうが。

パワリハ批判を聞いていると、言っている人は実際にやったことが無いというのがよくわかります。触ってみて話している人には本当にお目にかかったことが無い。僕はアキレス腱の手術後、もともとあった股関節の痛みが自分の不注意から両側に広がり結構みっともない歩き方を1年以上続けていたのですが、クラプトンを目指す私がこれではいかんぜ!と目覚め、今全力で回復に努めています。で、最終手段がパワリハだったのですが・・・どうだったって?みなまで言わせんなよー、1日あくと不安になるんだぜ、これが。食わず嫌いは止めような、おっさんたち。