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抗衰老

この前、済生会野江病院が主催する大阪市東部地域医療連携学術講演会で「老化と薬」のタイトルで講演をした。薬は特定の病気を治療するために設計されるわけだが、治験の最中で違う良い効果があることが分かり適応を変更する(男性型脱毛症AGAの薬ミノキシジルは最初血圧を下げる薬として開発されていたが、治験中髪の毛が生えてくる事例が続出し方針転向)ことや、現在ある薬を用いて違う効果を期待する使い方をする(Old wine in new bottle と言う) ことはそれほど稀ではない。

で、僕の専門の一つである抗加齢ーこの言葉より上の写真にあるアンチエイジングの中国語である「抗衰老」の方が思ってる感じに近いーに効果のある薬はないかと探したところ、これがあるんだなぁ、いくつか。その中でもハイレベルで有名なCellという学術誌に掲載された7つの抗衰老の方法の中にあるメトホルミンという薬を取り上げることにした。

メトホルミンは昔からある糖尿病の薬だが、老化に密接に関係するインスリンに関係なく血糖を下げる。ある時、糖尿病患者の死因分析の研究で、メトホルミンを内服していた人は有意に癌死が少ないという結果が出た。減少した癌の種類は多種多様で、それ以後の研究でも膵臓癌や大腸癌などの消化器癌から乳癌や子宮癌、脳腫瘍など多岐にわたる発生率の抑制がみられたのである。

そのメカニズムだが、メトホルミンは細胞内でmTORC1というたんぱく質キナーゼの活性を阻害する。mTORC1は細胞の状態によって細胞を癌化もしくは老化に促進的に働くので結果として癌の発生率をおさえ、老化も抑制することになる。それ以外にも細胞内、ミトコンドリア内でメトホルミンは色々な作用を持つことが最近多く報告されており、臨床的にも心血管疾患を予防するとか認知症にも有望、なんと大腸ポリープの発生率も40%抑えるというデータも出ているのだ。いいじゃないか、メトホルミン。

抗衰老の方法は明確である。①運動 ②栄養 ③睡眠 ④社会参加 ⑤ご機嫌でいること、といったところかねー。各々何をどの程度というのは個人差もあり確実に数値化できないけどこれらのファクターは間違いなく健康に影響する。でも良いとわかってるけどできない、というのが一般的な感覚かな。だとすれば効く薬があれば嬉しいということで糖尿病の人はメトホルミンを試すのも手です。

でも一番大事なのはオレは「抗衰老」でいくぜ!という強い決意だと思うけどね。

B.C./A.C.

ブログの名前を変えた。「ゴキゲンジャーナル」。バナーも変えました。熱帯雨林の写真に浮かび上がる幼稚な文字と、サルと並ぶ着ぐるみ院長の写真。とてもちゃんとした人が書いているとは思えません。そう、 正解です。

でもこれから2週間に一度で更新します。よろしくっ!

でB.C./A.C.の話。これはビフォー・クライストではなく(紀元前後はB.C. A.D.ね)ビフォー・アンド・アフター・カーボハイドレイト・リストリクション。糖質制限前・後の話です。実は2か月ほど前から糖質制限をやっていてその力に驚いた。前後で自分が大きく変わった。

白米、パンはほとんど食べてないし、甘いものなんぞ毒としか思えないようになった。それでも食べているおかずには結構糖分が含まれていたりするので厳密に1日糖質何gでやっているかは不明ですが、100gはいってないと思います。制限程度は日によるというゆるいやつですけど。

①体重が3kg減少してそのまま維持。②お腹周りの脂肪が減少(ベルト穴にして2つ分くらい。古いズボンがなんなくはける)。③食後や勤務後に眠くならない。④疲れない(本当に!)上に安眠できる。⑤記憶力がよくなった(スタッフは認めてないけど)。などの変化がありました。同じようなことは糖質制限の本を書かれている先生方が述べられていますが、僕としては③④⑤あたりが実感できるのでぜひ続けたいと思います。

あまり厳格なのは健康によくないとか今だ評価が必ずしも医学的に確立はしていないですが、少なくとも短期的な効果に関しては間違いのないところです。僕のようなちょっとルーズなやり方でも血糖を持続的に2週間継続モニターしたところ(器械はアマゾンでも買える)、血糖値は140~70 mg/dl の間を出ることはなくケトン体が出ているか測定はしていないがインスリンのピーキーな分泌は起こっていないようである。これはいいんじゃない。血糖の著しい変動は諸悪の根源です。

白米を食べないとおかずの味がよくわかるようになり、食べる内容もちゃんと考えるようになり、いいことずくめで今のところ全く苦も無く制限ができています。少なくとも1年は継続して変化を見たい。糖化の抑制から老化を制御する、これは抗加齢医学的アプローチの現在のところのファイナルアンサーではなかろかね。