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裸足で仕事

この前5本指シューズのことを書いた。仕事場にも履いていくと言ってたんだが、これがだねー、実際にやってみるとすごく快適なのである。ヤバい。もうほかの靴を履くと違和感を感じるようになってきた。

何が違うか?

 

今年オリンピックの前だったかな、NHKでケニアのマラソンランナーの走り方を日本のランナーと比較したドキュメンタリーがあった。普通マラソンの走行では前足は踵着地になる。ところがなんとケニアのランナーはつま先、親指の内側位から前半分を全部使って柔らかく着地していたのだ。この方が膝への負担が少なく蹴りだしも早くなる。

なぜこうなるのか?それは彼らが小さいころから裸足で走っているためだ。

僕たちも裸足でいると踵着地はしない。裸足で走ったことはあまりないが、家で裸足でいると歩き方は明らかに踵着地ではない。靴を履いてウォーキングする時踵着地が推奨されているが、あれが膝を痛めるもとではないだろうか。

手足は脳の一部である。認知症の予防に足指じゃんけんが推奨されているが、足指の動きを妨げないこと、指で踏ん張ることは間違いなく頭にいいに違いない。大体気持ちいいのだ。

で5本指シューズは僕の日常の靴となった。診察室でも履いているが、患者さんはかなり目ざとく反応する。最近は以前のアディダスじゃなくビブラムのやつが気に入っている。アディダスより一層裸足に近い。見かけは悪いが値段は高い。やれやれ。でも生理的に快適なものは間違いなく善だ。

 

スタッフに勧める。「なんならプレゼントしようか?」   

「・・・いいです」と言われるのは傷つくなぁ。

 

まっ、カッコはよくないねー、確かに。

ハッピーピープル・リブ・ロンガー!

 第12回日本抗加齢医学会総会@横浜に行ってきた。その用意でブログも久しく更新できず。ホラーK嬢が2題発表してきました。一般オーラルと、抗加齢指導士向けのシンポジウムと。ほとんどが大学や総合病院が発表している中でなかなか健闘したと言えよう。まぁまぁ評判も良かったみたいだし。

 学会自体は前回と比べかなり面白かった。旬のネタ、旬の先生が多く発表され、7000人以上いる会員数ですが、3500人が参加したというのもその一つの証明じゃなかろうか。また医学会は勿論患者さんを治すためというのがベースにあるのだが、抗加齢医学会は自分のために、という要素が結構あるからじゃないかなという気もする。

 旬(でももう遅いか、一般化しつつある)の一つは「カロリーリストリクション」です。摂取カロリーを3割がた減らすと哺乳類も含め多くの種で本当に寿命が伸びるというのはここ数年のトピックでメカニズムも解明されつつある。今回そのやり方を間歇的断食と比較したりとかいろいろ話題があったらしい(僕は別のシンポジウムに行っていた)。スタッフが聴いていたのだが、

「でもこの中でカロリーリストリクションやってられる方はどれくらいおられますかと司会者が尋ねたら7割くらいが手を挙げたのでびっくりした!」 「ほんとー?みんな痩せてた?」 「・・・それほどでも」 「それってちょっとダイエットしてるだけじゃないの」 「確かに。でも老人性難聴の予防とか、本当にいい効果があるんだなぁ」

 素晴らしい!カロリーリストリクションは!と言いながら中華街に行ってたらふく食ってしまう我々であった。シンポジウム意味なし!聴いていたスタッフが今まとめを作っているから出来たらここでアップしたい。是非皆様実行を。

 特別講演は101歳の日野原重明先生であった。もう後光が差している。僕も外来をしていて100歳以上の方をいままで4,5人拝見しているが、全員車いすで、ご家族が丁寧に介護されている方々であった。日野原先生は30分以上立ったままで、しかも結構動きながらお話しされた。本当にすごい。登場された時はハリウッドスターなみの、スマホカメラ、フラッシュの嵐であった。僕も載せとこう。

 招待講演ではミシガン大学のクリストファー・ピーターソン先生がポジティブサイコロジーについてお話しされた。これも旬の話で、精神がいかに健康に影響を及ぼすかという話題である。フロー状態も非常にいいようである。そしてハッピーな精神状態でいることががいかに大事か。

 前日行われた立錐の余地もない学会全体の懇親会で、ピーターソン先生を招聘された慶應大学眼科の坪田教授(ポジティブが服を着て手術をしているような方)が乾杯の音頭をされた。

 「かんぱーーい!」

 じゃなく、「ハッピーピープル・リブ・(皆さんご一緒に)ロンガーーーー!」だったのであった。

 

 

肉体は神殿

 連休もあと1日である。「あと1日しかない」と思うか「まだ1日もある」と思うかであなたの人生は違ってくるよ、というのはポジティブシンキングの定番だが、そういうのとは関係なく気持ちはフラットである。「休みもいいが仕事もね!」というとこか。

 何をしたわけでもないが結構退屈もせず楽しかった。抗加齢医学の講習会や、友人やそのご家族と会ったのも楽しかったしゴルフもまぁまぁだったしな。本も10冊近く読んだが、なんといっても「1Q84」book 1,2 が印象的でした。あんまり気に入ったのでいろいろ書評も検索して読んだのだが、まっいろいろな感じ方があるもんだ。意味づけ以前に、全く退屈させないサスペンス映画を見ているような気持ちにさせるだけでも凡百の本は全く及ばない。Never a dull morment.

 あとは抗加齢医学的な介入方法についてまとめを作る。「運動、栄養、参加(慶應の坪田教授によればここが”ゴキゲン”になる。つまり社会的関係を切らさないメンタルのことだ)」がキーワードというのは決まっているが、その具体策について、個々の問題に対して学問的なエビデンスを検証しながら細かく調べる。面白い。

 

 そこで出てきた記事。5月3日に欧州心臓病学会で発表。「ジョギングは寿命を延ばす」。

研究を行ったのは、デンマークの心臓病学者Peter Schnohr博士らのグループ。定期的にジョギングをする人と、まったくしない人を対象に20歳から93歳まで2万人に35年にわたる追跡調査を行った。期間中に、ジョギングする人では122人が死亡、ジョギングしない人では1万158人が亡くなった。ジョギングによって死亡率が44%も減少。寿命についても、男性で6.2年、女性では5.6年ののびが見られた。
この健康効果を得るには、必死に走る必要はない。少し息が切れる、あるいは息切れしない、と感じる程度のゆっくりとしたペースで、週に1~2時間半程度ジョギングするのがもっとも効果的だった。
こういったジョギングによって、酸素摂取量、インスリン感受性、コレステロール値、心臓機能、骨密度、免疫機能心理学的な機能などが改善する。

 

 当たり前といえば当たり前だが、すごい死亡率の違いである。ポイントは「しんどくない程度の運動」であるということ。1日大体20分くらいの、かるーく息切れするくらい、誰かと一緒に走れば話ができるくらいのペースで、出来れば毎日。嫌にならない、終われば爽快感を覚える程度。大事なのは持続。強度ではない。毎日歯を磨かないと気持ちが悪い。同じように習慣化すること。それがコツであるが、まっ、簡単に出来れば苦労はしない。

 と書きながら、グレン・グールド氏のピアノでバッハを聴いている。この連休でバッハに目覚めたのである。本当に美しい。この変化は「1Q84]の影響かと考えればあまりにも軽薄か。

 「1Q84]では”肉体こそが人間にとっての神殿である”という言葉も出てくる。うむむむ・・・。何を祀るにしろきれいに丈夫にしておくのが基本ですが言うは易し行うは難し。どうすれば夢中でやめられなくなるか、その工夫を残りの時間で考えよう。

僕の神殿はかなり古びて痛んでるなぁ・・・

 

 

コールド!

 爆発してます。何が?カンバッジ、じゃなかったインフルエンザ。カンバッジはおかげさまで完売しました。サンキュウ!

 ここ2週間ばかりインフルエンザ大爆発で、風邪らしき症状で来る人の7割はインフルエンザ(9割はA型)です。高い熱、関節痛、強度の倦怠感という典型的なやつでなく、何となく微熱が続くとか、ちょっと鼻風邪っぽい、とかいう人に検査するとバンバンA型がでる。お気をつけあそばせ。

 インフルエンザも含むけど、いわゆる風邪について少し勉強(ありふれた風邪についての学術的なペーパーはほとんど無いのだ。大概勝手に治るから)。

①予防法は手洗いに尽きる。感染はいたるところにいる風邪ウイルスが手について、顔を触ることで鼻や目から感染する。人は1時間で約16回顔を触る。ウイルスはプラスチックやステンレスのような硬いツルツルした表面でかなり長く(数日から2週間ほど)生き長らえる。今君の周りはウイルスだらけだよ。

②洗うのは石鹸で十分。殺菌作用はないが手から剥がれやすくなる。しつこいほど擦るほうがいいが傷をつけてはいけない。アルコール消毒もいい。アルコールは風邪で多いライノウイルスより、インフルエンザの方により有効。

③うがいはすでに手遅れだが、塩水でうがいすると浸透圧の関係で扁桃の浮腫が取れて痛みがましになるそうである。高血圧の人はだめね。

④くしゃみや咳をすると、風邪ウイルスはその周り1m内に落ち、その後接触感染となるわけだ。インフルエンザは1mは飛ぶ。飛沫感染ね。

⑤風邪の主たる感染源は「子供」!である。子供のいるところから始まる。

⑥風邪にひきやすい人は確かにいて、遺伝子多型の問題も指摘されているようだ。ある種のウイルスに感染しやすいタイプというわけである。インフルエンザ脳症の発症も遺伝子の関連が指摘されている。

⑦加湿すると鼻粘膜が傷つきにくく、ウイルスにやられにくい。寒い所に住む人はそのため乾燥しないように鼻が高く鼻の穴が下を向いているが、暑いところの住民はあまり問題じゃないので鼻が低く上を向いている(風があたって乾燥しやすいわけだ)という説がある。面白いけど本当かどうかわからない。

 もし僕があなたに向かって「風邪をひきやすいタイプでしょう?」と言ったとしたら、それはあなたの鼻が・・・・

 

ディスクガイド ガイド

この前、書評やCD評なんぞあてにならないと書いた。と、その舌の根も乾かぬうちに、CD評の本を2冊も読んでいるのである。あきれたものだ。でもよかったぞー。

その本は「マーシャル・マクルハーン広告代理店。ディスクガイド200枚。小西康陽。」と「200CDロックンロール」(こっちの監修はシーナ・アンド・ロケッツの長身メガネのカッコよすぎる鮎川誠氏)。ロックンロールの方は小西氏の本の後書きに褒めてあったので読んだ。

小西康陽氏は解散したピチカートファイブ(こんなにセンスのいいバンドがあったであろうか…空前絶後だと思う)のリーダー、というよりプロディーサー、音楽おたくとして有名だが、文章家としても僕の最も好きな人。彼の「これは恋ではない」「ぼくは散歩と雑学が好きだった」「東京の合唱」は僕の宝物である。で、このディスクガイドもハイセンスである。大体この本のタイトルの意味は何かね?

いろいろなセクションに分けてCDを紹介してあるのだが、その章のタイトルも「こういう声に生まれたかった」「ブラックコーヒー」「印税生活者たち。ドル・ユーロ編」「昨日、エレヴェイターの中で聴いた」「1974年以降の音楽に聴くべき価値などない」とくる。嬉しくなってくるなー。当然CD評もすごくいい。セロニアス・モンクはソロピアノを選んであるのだが「とても美しい顔をした少年が微笑むと、前歯が2本欠けている。セロニアス・モンクのことを考えるとき、いつも思い浮かべるのはこんなイメージ。」とか、マッカートニーのRAM「無神経さと繊細さがこれほど見事につづれ織りとなった作品も珍しい。「ラム・オン」の導入部や「アンクル・アルバート」の間奏の詩的な瞬間。確かに鼻持ちならないほど嫌な男だったのかもしれない」とか、フィフス・アベニューバンド「大学に入ったらこんなバンドを作ろうと思った。この年齢になっても、今度バンドを組むなら、と考える。現代の若いリスナーにもこの作品はいまだ力を持つのだろうか。就職なんかしないで生きよう、と思わせる説得力を」。・・・というわけでゾクゾクしながら楽しんで読めた。

「200CDロックンロール」は感じが違うけど、同じく名文満載。「パンクというのは瞬間最大風速なのだ」とか「ロックはアティテュードや。構え方とかさ。それが全部入るんよ。趣味も入るし面構えも入るし、本気ちゅうことも入る。本気じゃないといかんけんね、アティテュードゆうのは。これはその全部に満ちとるんやなあ」と鮎川氏の博多弁そのままで元気が良くて非常に気分がいい。

ディスクガイドだけど2冊ともいつも以上に著者のパーソナリティがとっても強く出ていて、そこが魅力だ。好きなものを言えばその人がどういう人か判るね。そして好きな人が好きなものを一生懸命解説してくれる。それを読んで気に入らないわけないな、考えてみると。だからこのお二人を好きじゃない人は読んでもつまらないかもね。

小西氏推薦の中からオルガン、ベース、ドラムという編成で時にストリングスが入りスタンダードを歌うというイギリスのロックバンド(モッズですね)、ザ・ペドラーズを購入。ハズレかと思いきや、あまりの僕の趣味とドンピシャに感動したのであった。よかった。

置いてあると、ついパラパラと読んでしまう。

また800

 待望の残暑が続いているが皆さんお元気かな?夏はまだ終わってほしくない、できれば3か月くらい続いて12月になったら「ハイ、これから冬!」の掛け声とともにバンッ!と寒くなってほしい。メリハリがあってほしい、と自称小学5年生の僕は思う。中途半端はいいです。

 日曜日に時間があったのでDVD、「800-Two lap runners」を見る。聞いたことないでしょ?「800」は川嶋誠氏の素晴らしい、もう一回言おう、素晴らしい小説です。文庫本の解説で江國香織氏が大絶賛していたが、波長の合う人にはどうしようもない傑作。優等生広瀬君と野生児中沢君の二人の高校生800m走のランナーを中心に気が付けば実は複雑なラブストーリーが展開する。つまんないスポ根ものじゃないよ。それが1994年に映画化されて結構いろんな賞を取っている。DVDに記載されているのでは文化庁優秀映画作品賞(全く似合ってない)だとか日本映画批評家賞監督賞だとか。監督の廣木隆一氏はもともとピンク映画の出身で、安西水丸氏がとても自分の口に合う監督だと雑誌に書いていた。しかし好きな本ほど映画化されても失望することが多いので見なかったのだが、魔が差したわけだ。

 が、結論を言うと見てよかった。わざとやってんのか!と思うほど型通りの演出があり(ピンク映画っぽい)、ここで挫折する人もいるかもしれないが、これが逆に青春映画っぽい。そして「プリンセス・トヨトミ」もそうだったのだが、原作より作者の意図せんとすることがはっきり表現されている。高校生がこんなことしていいのか!という変化球のラブストーリーも、「治ったの」という言葉でなるほどと思えてきます。

 女の子達が主演2人のナイスガイぶりに較べて全然見かけ可愛くなくてちょっとがっかりですが、まぁ高校1年生かそれ以下という設定だもんね。むしろリアルか。そして映画一杯に「夏」が溢れている。これはかなりのものです。ステレオタイプでなくリアリティのある日本の夏。君も僕も感じているありきたりの日本の夏の盛りがギューと詰まって入っている。気持ちよかった。

 ほんとに走りたくなってきた。影響力大でした。つまんないこと言ってないで身体を動かせ!そういうことね。

新人賞もとっているこの二人はどこに行ったのであろうか?

初仕事

 台風一過、爽やかな秋空が朝の散歩の時に広がっていた。今日は本来休みだが某医療専門学校の講師にこの秋からなることになり、今日が第1日目である。

 前途を約束するような、というほどカッコいいものではないが今日はうまくいきそうな気がする。講義とか講演というのは準備の段階から成否が大体予想できるのである、僕の場合。1コマ90分、今日はそれが2コマで3時間しゃべりっ放しとなる。パワーポイントで100枚以上になったのだが、気分は非常にフラットで冷静。あがるわけもなくこんな時はうまくいくのだ。

 ・・・で予想通り大変うまく出来た。 聴衆を前に喋っていると、眠そうな人、注意力が切れてる方は一目瞭然である。そこで挫けずどうするか。全く気にせず熱心な人に照準を合わせ心を込めて話を盛り上げていくことにしているが、今日は部屋が狭いこともあったけどスリーピィな人もあまりいず満足であった。

 実際ネタとしてもこれで寝られちゃ切ないよ、お客さん!というくらい抗加齢のアップトゥーデイトな話てんこ盛りだったからな。次回のことは考えない。宵越しの銭はもたねぇよ!こちとら江戸っ子でぃ、なわけない。

 3時間もしゃべった割には疲れてない。しかし腹が減った。今週末には小さな勉強会の座長もある。夏は過ぎる・・・これでいいのか?3か月くらい残暑が続いてほしい。迷惑でしょうけど。秋はちょっと待ってね。

 

ランチトーク

 昼飯はいかなる状態で皆さんお食べになっているのかな?

 僕はクリニックの上にあるスタッフルームで、鍼灸院のサイコK嬢、治験を手伝ってくれているベビーフェイスY君、もうすぐ妻帯者K君と一緒に食べることが多い。デイサービスで利用者さんに出しているものと同じものを食べる。

 この30分から1時間の食事時間は僕にとって一番の気分転換である。この時間は出来るだけ仕事の話はしない、出来るだけバカ話をするというのがみんなの暗黙の共通認識となっているようで、いろんな人も話に入って、出来のいいバラエティのようでかなり笑える。

 しばらく前はY君の女性認識がいかに甘いか(男には媚態を見せ女性には態度を変えるというかわいこちゃんタイプが見破れないのである。またそうと分かっても好きなんだそうだ。その通り!愚か者である)というのがホットな話題だった。今日の話題は・・・

 「男の人は禿げって嫌がりますけどそんなことないですよ」 「うそー、俺、絶対いやだ」 「なんで?ブルース・ウィルスとかかっこいいじゃない」 「それはブルース・ウィルスがかっこいいので禿げがカッコいいわけではない。外人は似合うんだ」 「日本人でも竹中直人なんかいいなぁ」 「うん、十分許せる」 「なんで?わからん」 

 「男の禿げと女性の太ったってのは、自分が思ってるほど他人が気にしてないという点では双璧だな」 「うそー!」 「そうだよ、男って案外ちょっと太ってても可愛いと思うよな」 「思う、思う。ガリガリより絶対いい」 「うそだ」 「絶対嘘!ありえない!」 「・・・なんでそうなるかなー。わかんねぇ」

 ということで、男の禿、女性の肥満、というかぽっちゃりは、異性はむしろ好ましいと思っていることも多いのだが、「信じれん、自分だと嫌だ」という共通点が明らかとなった。で、僕は男の観点から考察するのだが、女性が禿げに寛大なのは、それが不可抗力のもの、個人の努力ではどうしようもないから寛大なのではないかな。

 対して肥満は個人の努力でどうにもなる。肥満ということは美的観点から許せないというのもあるが、努力してない、怠慢のシンボルだから許せないのではなかろうか? 女性はそういう点、シビアな気がするのですが誤解でしょうか。

 男は大体寛大である。特に外観に関しては。禿げもこれは女性に人気がないという思い込みがあるからイヤなだけで、そうでもないというのが認識されるとコロッと変わる可能性が高いな。

 僕も禿げても気にならなくなってきた。つるつるに剃ってサングラスをかけたい。こわいぞー。大体変に気にしないで堂々としていれば何でもカッコいいのだ。外観より中身よ、それそれ。とすると内面の怠慢が外に出る肥満はやっぱりシビアに対処した方がいいな、とこれまた趣旨替えをする。主体性がないのであった。

二つ合わせちゃえ!

みんなのデューク

 次の患者さんを診ようとして前回の電子カルテを眺めると「17年飼っていた愛犬が死んで落ち込んでいる」と書いてあった。そうだった。Nさんは1ヶ月前それで元気がなかったのである。

 「少し元気になりました?」 「あきませんわー、今でも思い出して」と、もう少し涙ぐんでいる。火葬しお骨を仏壇に飾り、気持ちの上では納得していても他の犬が元気に走っているのを見ると、心がじんわりと重くなってくる。

 「しかたないよなー、17年もいると」 「そうですわ。でもね、私いつか生まれ変わってくると信じてるんです。」 「・・・?」 「いつかよう似た顔で、かわいい男の子が近くに来たら、ああ、あの子や、と判る気がするんです。それを楽しみにしようと思って」

 江國香織氏の作品に「デューク」という有名な話がある。亡くなった犬が少年に生まれ変わり、飼い主の少女に会いにくるという話である。こう書くとふーんって程度の感じだけど、これはねー、泣くよ。すごく素敵である。 短編集の中の話だが、これだけ独立して素敵な挿絵をつけて1冊の本として出版されたくらいである。 犬を飼った人なら誰でも泣く。 Nさんは多分「デューク」のことは知らないと思う。でも犬好きの人なら同じようなことを考えるのだと思った。

 僕の愛犬も11歳だ。中型犬だし後何10年も生きる訳ではない。前ほど走らなくなってきたし。

 亡くなったりしたら絶対いやだなと思っているが、生まれ変わるとしたら少し心が休まる。ある時街で憂い顔の美少女を見つける。横顔が誰かに似ている。思い出せない。向こうから嬉しそうに寄ってくる。何故?知り合いらしいが記憶がない。失礼のないように、思い出そうとして少し一緒に歩く。誰かがアイスクリームを食べているのを見ると急に彼女はやたら反応する。近寄っていこうとする。おいおい、ちょっとみっともない。犬顔の人とすれ違うと寄っていこうとしたり、極端に避けたり。道端の花を見ると匂いを嗅いでいたかと思うと急にかぶりつく。 「えー・・・・、あっ!」

 ということになると人生は楽しい。 そして僕も何かに生まれ変わる。あなたの飼っている猫がゴルフ番組の時だけテレビに興味を示したり、70年代のロックミュージックがラジオから流れた時だけ楽しそうな顔をしたら・・・あやしい。

 

副腎疲労慰労会

 第11回日本抗加齢医学会総会に行ってきた。

 雨の京都。今回は総会自体より、ある大きな目的があったのである。

 以前adrenal fatigue(副腎疲労症候群)という概念、そしてそれらしき患者さんを診たことをこのブログでも書いたことがある。この概念の提唱者であるDr.James L. Wilson のシンポジウムが、敬愛している静岡の田中先生帯広の満岡先生の企画で開催され、ウィルソン先生の本を今回翻訳して「医者も知らないアドレナル・ファティーグ」という本を出した、前から仲良くしていただいている川崎のスクエアクリニックの本間夫妻がウィルソン先生とともに演者となったのである。

 シンポジウムは大成功であり、その晩、お疲れさん会が祇園で開かれた。僕は一緒に学会に来ていた当院の鍼灸師で抗加齢医学指導士でもあるサイコK嬢(以前はキュートK嬢だったのだが、サイコスリラーの結構コアなマニアということが判明したため改名)と参加した。

 気心の知れたメンバーばかりであり大変楽しかった。田中先生も重圧から解放され大いにリラックスされておられて、こちらまで楽しくなる。気心の知れたメンバーで学問の世界に何かを打ち立てていくこと、そういうなかなか出来ないことを実際に軽やかにやってのける先生には心より脱帽です。

 ドクター・ウイルソンは本の写真より老けて見える。しかし大変実直そうな方で、本間先生が治療を受けに通ったということもうなずける。これからも関係が続くと思うが、是非今まで以上の御活躍を。

 副腎疲労は病気というよりも、ある状態である。このような方は実際はかなり多い。苦しんでおられる方の少しでも助けとなるように、私も勉強いたしましょうと酔った頭で考えたのであった。

 ウイルソン先生   いただいたサイン入りの本