月別アーカイブ: 2008年8月

不屈の精神

入院した患者さんのお見舞いで淀川キリスト教病院に行く。ホスピスである。最上階で日曜日の朝ということもありシーンとしている。患者さんの子供さんが僕を見つけ駆け寄ってくれる。ご家族は別室で主治医と話しており淋しいのだ。一緒に、小さく作られてあるテラスの池の鯉を見る。

患者さんは眠られており、主治医と面会するまで少しソファーに座って待つ。

僕が癌になったらどうするか?緩和医療が必要なくらい痛みが強い場合どうするか考える。僕が医者であるメリットは自分である程度治療の選択権があるということだ。痛みを極力とる、そして世界中へ出かける。未知に会いに出かけるのだ。秘境がいいな。

日常を今までどおりこなし、何事も無かったかのように息を引き取るというほど人間が出来ていない。また治癒の見込みの無い治療は願い下げだ。

しかしそこに到達するまでは結構しんどいかなとも思う。気、弱いしなー。
そうなった場合に自立できる精神を作っておくことが課題か。精神が肉体もすべてドライブする。そのセオリーは確かだ。

不屈の精神!断固たる決意(スラムダンクにもあったな)!こいつが金よりも何よりも大事なのだよ。

そう思いホスピスを後にする。

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写りのせいか現実離れしてるな

雨の日はブログでも書こう。

雨が降っている。今日は診察は無いが、いつもどおり起きてシコシコとたまっていたデスクワークをする。

ねむてー。

最近バランスボールに乗って診察をしているが、実はここ2日寝ているときに足がつる(泣)。それで眼が覚めるのである(泣)。情けないのである(泣)。まあいいや、効いている証拠、あと2週間もすればそれなりに筋肉が安定するに違いない・・・

と言いながら頭がすっきりせず、結構頭の冴えがいるパートもあるので渋滞する。
PCを使っているのでそのままYou Tubeのお気に入りを見る。
「いったいマットのやつはどこにいっちゃんたんだい!?」という有名なやつを再見。
http://jp.youtube.com/watch?v=bNF_P281Uu4&feature=user
いいなー、これは大好きである。この踊りは簡単そうで結構難しい。映っている場所で2ヶ所は行ったことある。もっと行きたい。
2008年バージョンもあるぞ。
http://jp.youtube.com/watch?v=zlfKdbWwruY&feature=user
最初見たとき予想できる展開だなと思ったのだが、もう一度見るとこれもいいな。こっちのほうがいろいろ見所が多いかもしれない。

勢いで「Free Hugs」も見る。
http://jp.youtube.com/watch?v=vr3x_RRJdd4
これはメチャクチャ有名なやつで、世界中で同じコンセプトでやっていて沢山投稿されている。日本もあるのだが、正直、なんかなーと言う印象でした、前は。やはりオリジナルでやらなくちゃだめよ、もう少しひねりなさい、と思ったのだが、なんとなく疲れたときに見るとミスチルがバックに流れていたりして結構グッとくる。

養老孟司氏が「相手を信用しないということの社会的コストは非常に高くつくのだ」と書かれている。どんどんそっちのほうに行ってますけど、こういうのを見るとやはり信じなくちゃダメよ、と思います。信じてね、損したって結局は一緒、どうってことない。信じることの心の安らぎが一番大切だと思います。

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はやく仕事したら?

今はまだ人生を語らず

 午後9時前に法人本部を出る。まだ仕事をしているスタッフもいる。雨が降っている。暗い。よく降るよなぁー、僕の好きな夏も終わっちまったらしい。

 車の中でなんとなく音楽を聴く気になれず、テレビのニュースを聴く。走行中は映像が映らない。でも日常的な人の声が聴きたいのだ。少し疲れとんなー。

 オリンピックの総括的なことをやっている。感動、勇気をくれた、有難う、そのオンパレードである。

 僕もいくつか見た競技では心が熱くなった。でもそればっかり押し出すなよ。もう少し多面体だ、現実は、と思う。作ってる方は判っているんだろうけど、こうやっときゃいいでしょうみたいなイージーな思惑が透けて見える気がする。

 「…感動しました。スポーツって人生を教えてくれるでしょう。このオリンピックは僕に勝つことだけが人生じゃない、負けることの美しさを教えてくれました!!」と誰かがけたたましく言う。

 勝つことだけが総てじゃない。これは心から同感。でも総てを人生になぞらえるなよ。こんな時思い出す言葉がある。あるナイス・ゴルファーの台詞だ。

 「ゴルフを人生にたとえる人がいる。彼は間違っている。もっと複雑だ。」

 いいなぁ、こういう感じ。僕ってひねくれてますかね。

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でも東京にはちょっと来て欲しい気も

 

 

 

玉乗り男の告白

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これは何か?

診察室に形となって現れた僕のエコ精神?ミニチュアの診察室とビリヤードの玉?
どっちも違う。 
これはバランスボールである。

これを利用していろいろなエクセサイズが出来るが、ごく単純に上に座っているだけでも自然とバランスをとるために腹筋と背筋が鍛えられることになる。
スウェーデンの小学校で椅子の替わりにバランスボールに座るようにしたところ、成績が向上したとの報告がある。常に感覚器、運動器を刺激していると脳機能が向上するのである。

これを利用しない手は無いではないか!

前から考えていたのだがちょっと実行するにはためらうものがあった。
体調のすぐれない患者さんが来られるのに、医者がサーカスの玉乗りみたいな格好で出迎えては申し訳ないのではないか。
しかし、これは言ってみれば実験である。僕に効果があれば(どのように判定するかはさておき)これを皆さんにお勧めすることが出来る。つまり皆さんの幸福に結びつくことになる。

で、勇気を出してやってみたのですが、案外皆さん、気にされないのですね。前に足に怪我をしたとき半ズボンを穿いて診察したことがあったのだが、皆さん何事も無かったようにフツーに診察を受けて帰られた。言うと悪いと思われるのかな?

バランスボールも結構同様で、反応を示されたのは3分の1くらい。皆さんバランスボールのことをご存知の方ばかりであった。おじさんがたは眼に入っているのだろうがほとんど無視。僕自身が乗っかっていることを忘れてしまうくらいであった。

ま、しかしこれでやっていく決心がつきました。

効果のほうですが、トータル8時間くらいボールの上に乗っていたわけで、正直怪我をしている右足が痛いです、かなり。筋肉痛。やはりエクセサイズになっていると考えていいな。頭のほうはわかりません。かなり手遅れっぽいので。長い眼でみましょう。変化があればまたご報告します。

海の広さを知るために

 旅はバーチャルに限る。これがなんとなく最近の結論になっていたのですが(実際に行ってみるとあんまり快適じゃないことも多く、行くまでいろいろ想像しているのが一番楽しいのでは、ということね)、実はここ2日ばかり休みで久し振りに海を見ていると、やっぱり実際に行かなくては話にならんな、という気にしみじみなってきました。

 海はいいなぁー(お前は加山雄三か!)。僕は魚座なのですが、どうも昔から水と相性がいいような気がします。

 もう何十年も前ですが、4級船舶免許を取りに行きました。一緒に受講したのは釣り雑誌のライターが必要にかられてとか、とにかく釣りがらみの人が多かったのですが、一人洋装品店を経営しているおっちゃんがいて、彼は小さなクルーザーを持っていました。

 どういうわけか可愛がってくれて、免許を取った後もよくクルーザーに乗りに誘ってくれました。僕はクルーザーもですが、彼のなんとなく色気のある娘さんに惹かれてホイホイ行っていたのですが(まっ、何も無かったけどさぁ)、ある時二人きりになったときに彼がしみじみ言いました。

 「あんなぁ、池岡君。俺はなぁ、時々夜一人でクルーザーに乗りに来るんや。海に出るわけちゃうで。係留してプカプカ浮いているこれや。せやけどな、こうやって海を見ていると心がほっとするんや。何というか、毎日生きているとせせこましくて息が詰まるような気になってくるやろ。せやからな、絶対に広さがいるんや。広いものを見ているとほっとするんや。君にはまだ分からんかもしれんけどな」

 わかるって。
 しかし今のほうがよく分かる。
 で、思ったのですが、広さというのは想像では分からないのですね。
 実際に触れないと広さというのは納得できないのです。海の大きさはバーチャルでは分からない。

 海の広さを感じるために旅にでる必要があるな。

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月に1度は海を処方する必要あり

アメリカの夜

 後悔の 固まり重し 夜の熱風(着ぐるみ院長)。

 お晩です。

 今日はお盆で外はなにかひっそりとしていましたが、僕の診療所は来週お休みで、午前中はかなり忙しい外来でした。でも来られる患者さんは服装とかムードが何か休暇モードで、何とはなしに穏やかに過ぎていく。

 夕方は定刻の7時に終わり往診に出かけました。まだ空は明るく、明るい群青色というか、きれいなガラスにブルーが透けたような空に暗くなりかけた入道雲が浮かんでいました。

 白い雲が暗いフィルターをかけようになって夜空に浮かんでいるのを見ると、「アメリカの夜」という言葉をいつも思い出す。このトリュフォーの映画を僕は見たこと無いのですが、昔の映画が夜のシーンを撮るとき、暗いフィルターをかけて日中に撮影し、それを「アメリカの夜」というのだという映画雑誌の解説が印象的で、暗い夕方になるとワンパターンで思い出すのです。

 「アメリカの夜」はなんとなくエキゾティックである。

 そんな時間に外を自転車で走ることはあまり無い。美しい空気の中をなんとなくブラブラとペダルをこぎ、いろんなことを思い出して最初の句です。

 言いたくないが、年はとりたくねえなぁー。

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夏・・・南・・・

 ため息も 蒸発するかや 夏日照り(着ぐるみ院長)と言ったところでお晩でございます。誰がなんと言っても夏、暦の上では秋とはいいましても、そんなもん誰が決めた!と言いたい今日この頃ですが、皆さん、何を聴かれていますかな?

 夏といえばこれ!という音楽はいくつもありますが、ギラギラ太陽、でっかい入道雲、高いところから見下ろせば都会のビルが蒸気に揺れてうだってる、というシティボーイ感覚満載は、僕の場合、南佳孝選手の「ジャングルジム・ランド」であります。

 これは「忘れられた夏」というアルバムに収められた曲で、「ビールとタバコで時は過ぎ・・・」とか、禁欲的な今の僕とは縁の無さそうな歌詞ではありますが、確実に存在した若い時の僕とばっちりシンクロしていました。一人暮らしの僕は、日曜日、アパートの屋上に上がってトランクスの水着だけになり、音楽を聴きながらビールと本で半日過ごしていました。翌週も行くともう同じことをしている先客が・・・とか、まあ、気楽な時代ではあります。

 もう手に入らないアルバムですが、1曲目は桑名正博御大の「これで準備OK」とか、南佳孝氏がスーツのままプールに浮かんでいるジャケットとか、なんというか若い幸福な香りが漂ってきます。

 南佳孝氏は桑名御大と並ぶ僕の心のアイドルで、自分に近いという点で言えば、つまり僕がもしミュージシャンだとするとこういう音楽をするという感じですが、最短距離の人です。この前も一緒に飯を食った後輩のalfesta君と一緒に何年か前ブルーノートへ聴きにいき、印象そのままの人であったというのも確認しました。思ったよりデカイ、若い、でもわがままそう。サインもしてもらったなぁ。

 彼は最近もアルバムを出していますが、これが全然いいのです。昔の名前で出ています、というミュージシャンでは絶対無い。なんて素敵なことだろう。個性は保ちながら表現がフレッシュです。見習いたい。やはり僕の永遠のアイドルです。

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ジャケットを見てると、なんかため息が出るなぁ

男前っ!

 タモリ氏が赤塚不二夫さんのお葬式でよんだ弔辞のことが話題になっている。結構ワイドショーなんかでももちきりだったらしいのだが、僕は別のルートで知った。

 弔辞自体は本当に素敵な内容だった。というか、僕の知っている弔辞で最もいやみなく感動的なものの一つだったといえる。ところがその弔辞にはもうひとつ、大きな裏技が隠されていたのである。

 > 会場のどこか片隅のちょっと高いところから、私に「おまえもお笑いやってるなら、弔辞で笑わしてみろ」と言ってるに違いありません。

 と、彼は言った。で、そのまま素晴らしい言葉が続き、

 >私もあなたの数多くの作品の一つです。

 という決め台詞で弔辞は終わる。弔辞では笑わさなかったんだと誰もが思う。タモリ氏はこの7分以上に及ぶ弔辞が書かれた紙を、丁寧にはっきりと読んでいった。

 しかし、実はその紙は白紙だったのである。

 会場のどこか片隅のちょっと高いところにいる赤塚氏からは白紙であることが判る。彼だけにわかる密室芸。ちゃんと彼だけを笑わせていたのである。「タモリ、やるねぇ」と。

 ろくでもない最近のニュースの中では出色。しびれました。男だねぇ。

 しかしこの白紙事件、絶対誰も分からないまま終わるとは思ってなかっただろうな、タモリは。あれだけテレビで写ってんだから。それも見越してのことだと、それもまた立派。

 これと並ぶ男前は2大会連続一本勝ちの谷本選手と、スウェーデン戦のなでしこジャパンくらいか・・・あれっ。

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最近はつまらない感じがしてたけどねー

しつこい男

 考えてみれば僕の足の障害というのは結構歴史が古い。20年位前に左足のアキレス腱不完全断裂。その3年後くらいに右股関節の捻挫。これが全部対側の関節に負担をかけていたのだろう、15年後くらいに全く対称的に右足のアキレス腱完全断裂、そしてリハビリ中に左股関節の捻挫と、まあ踏んだりけったりですわ。

 もう何のかんの言っても歩くのはかなわんなーと思って3年も経つのか。

 ちょっとした移動は自転車を使い、うっとおしいなと思いながらも日常生活は適当にこなしていた。というかゴルフもやっているし旅行で山歩きもしていた(どうして出来たのだろう?)し、まあなんとなく十分ではないながらも普通以上の行動範囲はキープしてきたわけだ。
  
 しかしこれではいかーん、と考えを変えた。やりたいことがいくつかあるが、そのためにはしっかり走れる足腰が不可欠なのである。パワーリハも何とか時間を作り鍼灸、マッサージを受け、歩行のメカニズムに関して勉強しているうちにある変化がでてきた。特に最近新しいトレーニングを加えてからの変化が大きかったように思う。

 8月に入ってから自分の感じとしてかなり自然に歩行が出来るようになってきたのである。ここ何年かの間で最も大きな変化である。痛みもマシになってきている。

 なんというかこんな長い時間あまり変化しない状態の足でも、刺激を与えていくとやはり変化していくのだなと身をもって知る。

 あきらめてはいけません。運命の女神はめげないでしつこく続けるものに微笑むのである。

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勝手に考えてくれたまえ

マイ・サマー・ミュージック

 いやー、暑い。僕はクーラーがあまり好きでなく、車に乗るときもどちらか言うと窓を開けてしまう人間なのですが今年はちょっと無理ねー。といっても寝付くときに1時間ほど使用する位ですが。でも夏はいいです。空気の中に日常的に蝉の声が紛れ込んでいるこの季節が1年中続けばいいのに。

 夏の音といえば、必ず一度は聴いてしまうゴンチチです。僕がこの素晴らしいギターディオを知ったのはかなり古く27歳の時だから、えっー!もう26年前ですね。人生の半分は結構濃密な時期も含めて付き合ったことになります。

 なんではっきり記憶しているかというと、その当時独身だった僕は、仕事が終わって飯を食った後に当時出来始めていたレンタルレコード屋(大手は無かった)の気に入りの店に時々行っていて、そこで初めて彼らのデビューレコード「アナザムード」を見つけたのです。やはり夏でした。蒸し蒸ししてあまり人も歩いてなかった夜の8時頃の記憶がある。苦楽園の駅前です。どこかで立ち読みしたレコード評で覚えていたので(日本の夏にふさわしい音とかなんか書いてあったような気がする)ぱっとしないジャケットを持って帰ってレコードに針を落としたのであった(陳腐な表現だなぁ)。

 その時からですね.腐れ縁が始まったのは。夏を表現するのにこれほどぴったりした音があるのだろうか。「アナザムード」に入っていたのは僕にとっては当時行った八重山諸島の空気を強烈に喚起する音でした。で、その年、早速コンサートに行っています。めっちゃマイナーで、チチ松村氏が「次は僕らの曲で初めてコマーシャルに使われたやつです(パチパチ)。眠りの島といいます。嬉しかったです。でもねー、葬儀屋さんのコマーシャルなんですよ。でもそれがねー、ぴったりなんですよ。」と言っていたのも思い出しました。

 チチ松村氏は大阪の人で(今でも住んでるんだっけ、本当にかなりの奇人で面白い人のようです)、僕の診療所のすぐ近くで結構長く居られたようです。もともとは額縁屋さん。脅威のテクニシャン、ゴンザレス三上氏はドイツ銀行にお勤めでした。今は本拠も東京に移っていますが、大阪の生んだグレート・ミュージシャンです。今はギターディオもゴンチチみたいな音楽も結構ありますが、彼らは少なくとも日本においてはまぎれもなくパイオニアで、本当に美しい音楽だと素直に感動します。僕の音楽の殿堂の中では、ベスト・ギター・ディオ、ベストお笑いMC部門に入ってます。

 「修学旅行夜行列車南国音楽」「南方郵便船」などが流れると、心はどこか南の海の、月が大きくやたら明るい、椰子のはえている砂浜に行ってしまいます(あまりにもステレオタイプですが、でもそうなってしまうのである)。彼らの本領はもっと別にありますが、でも僕はデビューアルバム、僕の夏の季節のバックミュージックに戻っていってしまうのである。

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