月別アーカイブ: 2008年4月

ダウンタウンに繰りだそー♪

 僕が診察するとき、決まり文句の一つはどれだけ歩いてますか、運動してますか?です。日常的な軽い運動はすべての人にとって、経済的で精神的にもよく、しかも最も良く効く薬である。

 で、昨日もそう話していたのですが、どこを歩くかという話になりました。彼は軽い糖尿病で肥満傾向がなかなかとれない。しかしよく歩いてます。

 「今日も梅田のD百貨店、H百貨店をはしごして、天満のモールにも行きました。」
 「すごいなぁー、歩きすぎると膝とかにトラブルが起きる可能性があるので気をつけてくださいね。」
 「そうやなぁー、体重も減らさなあかんと思いつつ、つい天麩羅屋にふらふらと・・・」
 「誘惑が多いところを歩いてるからじゃない?」
 「うーん、でも運河の脇の道とかよう歩いてはるけど、僕からしたらしょうむない。今何が流行りか、面白いのか、そんなん見ながら歩くのが頭にとってもええんですわ」

 そういえばウインドゥ・ショッピングというのは久しくしてないなぁ。ネットのせいか。

 僕の住んでいる地域に数10年続いているランドマーク的な書店があります。結構大きく目立つので、スケールはぜんぜん違いますが梅田における紀伊国屋的存在という感じ。ちょいちょい覗いているので顔見知りだったのですが、ついこの前、上品な女性店主が・・・

 「実は6月いっぱいで止めることにしたんです。」
 「えー!!(ショックを受ける僕)」
 「ごめんなさいね、うちも介護とかいろいろあって。それに今はネットでしょう。やはりきびしいのよ。」 
 反省するワタシ・・・ 

 僕も購入する本の9割はネットになってました。

 でもな、失敗が多いのだ。誰かの推薦なんぞ全く当てになんないぜ。最近は少し中を見れるシステムが出来ていますが、やはり実際の質感、活字の雰囲気で本は判断したほうが確かだ。店頭でこれ面白そうと思って購入した本は実際面白いです。ネットの確率は満足度から考えると半分くらい?それ以下?

 とりあえず実際に購入するものは街に出て触ろう。人の感性を感じられるようにブラブラしよう(時間あんのか?いや、診察時間をけずってでも。オイオイ)と激しく思ったのであった。

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あーあ。

イケイケ・ホルモン

 今日はいい天気でしたが、朝の早よから抗加齢医学会のセミナーに行ってきました。うー、つらい。といって何をするわけでもないですが。

 場所は千里のライフ・サイエンス・センターですが数百人入る会場は満杯です。一人のスペースが狭いのでかなわんなーと思いつつ聴講。

 大阪で開催されるセミナーは東京と比べまじめでキャッチーさに欠けるところがある気がする。本日も再生医療とか糖化とか、大事な演題ですがやや日常臨床から離れちょっと退屈か。東京は結構「見た目のアンチ・エイジング」とか受け狙いっぽい。トップのキャラクターの違いが出ているような気が。

 しかしながら浜松医大・金山尚裕先生の「産婦人科からみたアンチ・エイジング」はものすごく面白かったです。生理が終わってから2週間くらい、エストロジェン上昇中は大体活動的で調子よく、プロジェストロンがあがってくる生理に向けての2週間は抑うつ的で調子が悪いということなのですが、ホンマですか?生理前になると自殺を繰り返す女性がいて、エストロジェンの補充療法で完全に立ち直った例が報告されていました。

 これは日常の生活サイクルだけでなく一生のサイクルにも当てはまり、エストロジェンの比が高いとイケイケのようです。産褥期とか更年期はそれで危ない。抗うつ剤などの効果も生理のサイクルで変わってくるので女性に投与するときは考えなくてはならないという、内科医には本当に新鮮な話でした。

 女性のことは前から知らんと思っていたがやっぱりね。

 こういう周期って男性ホルモンには無いようですが、詳しくは調べられていないな、多分。とりあえず男の特性というのは女性と比べあまり研究されておらずおざなりであります。そこに興味があるな、個人的には。

積極的快楽

 実は私は感じやすく、脆い人間なんです・・・と公的に常々発表しているのだが、どうも評価は鈍くて乱雑、のーてんき、ということである。悲しいなぁー、見破られたか。

 しかし大雑把で鈍い私でも、なんとなく身体の声が聞こえる時がある。なんともいえない快楽のしるし。なんとなくくすぐったいような、ジーンと少し痺れるような、ともかく気持ちいいのだ。伸びをして、あー、と言う感じね。

 これは間違いなくβエンドルフィンとか、快楽の神経伝達物質が出ているに違いない。そして、やはり多くは運動後なのだ。筋肉が喜んでいる感じね。

 昔ウインドサーフィンをしていた時、セールを洗った後で熱いシャワーを浴びるのだが、1日乗ると結構強い全身運動なので、その時の筋肉がほどけていくような、全身が痺れるような感じ!これが楽しみでやっていたようなとこもあった。大体運動後のシャワーはかなりクルね。

 筋トレをしてサウナにいって、冷水につかっていたりした時も、じわーとクル。1日歩き回って、寝転がって伸びをした時にも電撃的な快楽が…(ちょっとオーバー?)

 こういう快楽経験が生活の中で多いほど若さが甦ってくるに違いない。いろいろ身体にいいといわれているものは沢山あるが、多くは結構賛否両論だったりする。だが、あまり激しくない運動を定期的に行うというのは、まさに全世界的、全人類的に疑う余地のない王道であります。

 やたら苦しいのは駄目、やっている時も割りと楽、でいいのだ。何もしないでボーとしているのも悦楽だけど、積極的な快楽のため動きましょう。こっちの方が後の刺激がキツイです。まっ、好みですが。

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まっ、やり方はいろいろ

フェイドアウト

 今日はまるで夏みたいな天気だった。

 プラプラと往診に行く。終えて建物から出ると古びた公園があった。日が燦々とあたって白茶けて見える。僕の心の基本的なシーンの一つは夏の古びた小学校の鉄棒のある景色である。暑くて暑くて汗まみれになって、水道の蛇口から直接水を飲む。鉄くさい味がする生ぬるい水をいやになるくらい飲む。

 この前知り合いのドクターのお見舞いに行った。もう83歳で手術不能の末期癌である。それほど親しいわけではないが義理があって、もう会えるのは多分最後だろうと思って行った。

 「私も医者の端くれや。あれがこうなって、ああなって、こうなってんやから大体判る。ヘタな気休めは言わんでええで」と優しく言った。

 お別れの時、今まであまり近づいたこともなかったのだが、「どうも有り難う」と1分くらい手を握ってくださった。

 僕は夏が好きだ。

 死ぬんやったら夏がいいな。外がいい。陽だまりの中、どこかでビーチボーイズが微かに鳴っている。しらっ茶けたままフェイドアウト。

 誰もいない公園を見ながらこんなことを考えた。

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スクランブル!

 今日読売テレビ夕方のニュース、「ニュース・スクランブル」の取材がありました。前「テレビドクター」で話したパワーリハビリテーションに興味を持っていただいて、実際に利用者の声を聞きたいとの取材です。

 パワーリハ室で皆さんがやっているところを録画され、利用者さんへのインタビュー、その後僕へのインタビューがありました。

 僕はこの前の「テレビドクター」では、話しの内容はいいがビジュアル面でのクレームが続出し(「どこのおっさんかと思た!」「眼鏡がずれている!」「座り方が悪く服がゆがんでいる!」「髪形が悪い!」「前もっとカッコよくなかった?」「全部悪い!」・・・)、今度はと全面的にプチ美容整形を施し(ウソ)今日に臨んだのですが、インタビューは公園で日差しの中で風に吹かれながら熱い思いを語ってくださいと言われて、なんか恥ずかしくなり結局メロメロでした。恥の上塗りじゃん!

 うまく編集なさってくれることを祈るばかりです。

 ともかく協力してくださった利用者のみなさん、スタッフ、有難う。パワーリハの素晴らしさがうまく伝わりますように。またこれを機会に芸能界へ転出を願っていたP君、全部カットするようお願いしといたからね。

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5月下旬か6月上旬に放送予定らしい

 

ラウド・マジョリティ・イン・ジャパン

 ジョージ・クルーニーの記事を読む。いいなぁ、クルーニー。彼ほど兄貴!という感じを漂わせている人はいませんが、もててるでしょうねーという雰囲気から、最近社会派の映画に出たり監督したりとイメージに硬派な感じが加わってますますよくなってきた。

 彼の父親は社会派のラジオアナウンサーであった。彼自身は下積み生活が長かった。ラッキーだけのスターではない。自分自身をレコードにたとえて、いわゆるスターぞろぞろのハリウッド大作(オーシャンズとかね)をA面、じみな社会派映画(フィクサーとかグッドナイト・アンド・グッドラック)をB面として、個人的にはB面が好きで、B面のためA面の仕事をすると言っている。

 ここ数年、スーダン西部のダルフール紛争に関わってきた。ドキュメンタリーを作ったり議会で証言したりして、今年の1月国連平和大使に着任した。

 「僕のようにある程度みんなが話を聞いてくれるような立場になると、いけないと思うことに対してちゃんと発言するのは義務だ」と言っている。なんと素敵な言葉だ。

 政治的なことについて意見を持つのは難しい。必ずしも情報がすべて手に入るわけではないからいい加減なことは言ってはいけないという気持ちもある。でも間違っているかもしれないがこういったことに関して議論が出来るくらいの知識は持つべきだし、絶対おかしいと思ったことは発言したほうがいいよね。

 自分のことばかりでなく自分の周りの世界に興味を。間違ったことに関してはNOを。サイレント・マジョリティではなくラウド・マイノリティに。そしてラウド・マジョリティに。でないとよくならないなぁ、きっと(少し絶望的なんですけど)。

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軟派だけじゃだめっす。

ブログの余禄

 昨日は基本的に休みの日だったのだけど、大雨降る中で地鎮祭、その後すぐ校医をしている中学での検診(約600人!)と予定はフルで、すぐ夕方になった。

 最近大不振(といっても元が元だからあまり変わらん)をかこっているゴルフの打ちっぱなしでもいこかなーと考えていたら突然不吉な携帯の着信音が・・・

 「発表予定の今度の研究会の抄録がまだ着いてません」
 「えー、あれってまだ締め切りは先だと聞いたんですけど」
 「明日です(と冷たく担当者の声)」

 そりゃないやろー、話が違うでーと担当のポジティブライフ君に連絡を取り、どう考えても話が違うという結論になるが言っていても仕方がない、手分けして作業することにし、PCの前に座る。なんといっても3題だけんね・・・

 火事場の馬鹿力という言葉があるが、そのスケールの小さいやつが舞い降り、数時間の間に何とかカッコがつく。ポジ君と連絡を取りネットで登録する。ダッツ、イット!オゥケィ!!

 しかし、なんと言うか非常に能率よくできた。これは実はブログを書いているおかげだと思ったのだ。わずかでも自分の考えていること、感じていることを文章化することが日常になると、抄録のような制約の多い文章であってもまとめが決めやすいと感じた。

 およそ人生に有益とは思えないこんなブログを読んでくださる方には申し訳ないと思いつつ、書き続けるぞ。スタッフの皆さんも是非やってほしいな。継続は力です。

リ・ロード

 うーっ!トム・ジョーンズ!!

 トム・ジョーンズを知ってるかい?

 僕の世代だと「ラブ・ミー・トゥナイト」の人だ。といっても中学生くらいの時じゃないかな。35,6年くらい前か。すごい声量で朗々と歌う人。マッチョ。胸毛。ラスベガスのナイトクラブが一番似合う。大御所で、でももう古いタイプ。北島三郎みたいなもの?わからん。

 プレスリーの「エルヴィス・オン・ステージ」というヒットした映画があったが、復活したプレスリーにトム・ジョーンズが祝電を送っていて、それを聞いたプレスリーが「トム・ジョーンズ?足を折っちまえ!(笑)」と言うのを妙に覚えている。人気あったんだ。

 もう日本では完全に消え去った過去の人だったのだが(アメリカは結構古い人でも実力があるとちゃんと仕事があるみたいです)、数年前に復活した。なんとプリンスの「キス」をカヴァーしたのだ。

 これがかなり素敵だったからだろうか、どういうわけか僕は「relord」というアルバムを購入している(どうも経緯を覚えていない)。トム・ジョーンズを買うなんて自分でもあまり信じられないのですが。

 これはヨーロッパですごくヒットしたアルバムですが(彼はもともとイギリス人で、なんと!サーの称号もお受けになっているようです)、実は正直あんまり聴いてなかった。この前、なんか元気の出るやつ、ないかなーと思ってなんとなくかけたのですが・・こいつはいい!すごくいいです。

 特にLittle Green Bag (with Barenaked Ladies)!CMにも使われていた気がしますが、こんなにご機嫌な曲はないであろう。このアルバムは多くの人(カーディガンズやヴァン・モリソンだぜー、若い)とディエットしているのですが、すべての人が声、声量で負けています。

 そういえば007の「サンダーボルトのテーマ」も彼が歌っていて、これも素晴らしいのですが(007のテーマ曲はいいのが多いがこれが一番好き。次は「ロシアより愛をこめて」か「2度死ぬ」か?)、最後の異様に声を伸ばすところでキーが高すぎて失神したというのは本当の話らしいです。

 もう孫も2人いるそうですが若い頃と全然変わらぬ迫力。若い奴に負けぬ声量。石坂浩二氏は不妊外来に通っているそうですが(関係ないか)、捜せばすごい人は結構多いぜ。

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敬礼!

ケアをするという生き方

 今日はJONET(城東区ケアマネージャー連絡協議会)と医師会の共催で緩和ケア勉強会があった。緩和ケアとは末期癌等で治癒の見込みがなく痛みが著しく強いとか死を受け入れられないという患者さんを、積極的治療をせず安らかに看取ることを中心にするというケアの形態である。在宅で末期癌の患者さんを診る機会が増え最近注目されている。ホスピスは病院における典型である。

 もともと僕が末期癌の在宅患者さんを持ったことで、緩和ケアに興味を持ったことが始まりだ。某製薬会社さんに、いろいろ教えていただけるような先生知らない?と話していたら、エキスパートの先生がいる、それならみんなで話を聞きましょうということになり、講演をしていただくことになった。

 演者は淀川キリスト教病院のホスピス長、池永昌之先生です。緩和ケアの第一人者で恰幅がありとても落ち着いた感じの先生だが、司会としてお会いしたとき、最初に気がついたのが「眼」だった。

 人間の心の深淵を覗いたことのある、というかずーとそれに付き合ってきた、楽観性を捨てたニュートラルな眼である。表面を見透かし、内面だけを見ているような眼。精神科のドクターに同じような眼を見ることが多い。

 もともと医者向けに実際的な麻薬の処方などを織り込んだスライドを最初用意されていたのだが、聴衆の多くがケアマネージャーや看護師、介護士であることがわかると、死にゆく人とのコミュニケーションのとり方にスライドに変えられた。講演慣れしている方は違う。

 タイトルは「ケアをするという生き方」。僕が普段接している病弱な高齢者の方との付き合い方にも大変ヒントとなることが多くあった。大変有意義な1時間でした。真摯に話を聞くということが基本である。

 最後の「ケアをするという仕事を選んだということは、ケアをするという人生を選んだということなのである」というのが身にしみた。
 どうも有り難う御座いました。

 

どうする?

 今日、紹介患者さんの往診に出かけました。紹介状にはシンプルに病名、処方が記されていました。何故僕が往診行くことになったかは・・・どうも主治医が内科じゃなかったから、かな?よくわからん。

 名前から察するに「中国の人?」「そうみたいです、往診を頼みに来た方もちょっと言葉が不自由そうだったらしいです。」と一緒に行く看護師さん。

 扉を開けると「あれっ」。以前見たことのある笑顔がありました。子供さんをよく連れてきていた患者さんで、確か東大阪市に引っ越されたはずです。「お祖母ちゃんなんです」と少し訛りのある言葉で話されました。そういや彼女は中国の人だったな。

 お祖母ちゃんが転倒し動けなくなった。往診してくれるところがないので困って一緒に暮らしている両親が彼女のところに連絡してきた。で、彼女が僕の名前を出したということのようです。

 お祖母ちゃんは93歳、白内障でほとんど見えない。寝たきり。言葉全く通じず。21年前に日本に来てから日本語は話したことない。なんというか苦労がしのばれます。

 背中を診察していてトントンと叩いていたところ、「●◎X▲♡□…」「えっ?」「有難うと言ってます」と彼女。マッサージと間違われたのであろうか?しかしその時、こりゃ困ったなー、どうするかと考えていた僕の脳裏に、何とかせんなあかんやろ!というフレーズが舞い降りたのです。

 難題をどう解決するか?「出来ません」「これは専門じゃないから」「もう診察時間終わっちゃったから」他に振ることはできます。それをクレバーなやり方と思っている人もいる。つまらねー。

 僕は本来いたってあきらめのいいタイプなのですが、この仕事に関しては割としつこく負けず嫌いである。研修医の頃の本当に怖かった病棟医長A先生の「面白いやないかー、チャレンジングケースやな」という言葉がすぐ浮かんできます。

 この患者さんをどうするか?引き受けたもののなかなか難しそうですが、こういった方を何とかしてこそ医者の本懐。雪かきを誰がするか?オレ、オレがするよ、と絶対言ってやる。まあ気張ることもないか。