月別アーカイブ: 2012年3月

2年連続ゲット!

 デイサービスの管理者、マラソンマンK君から連絡がきた。

 「大阪府から事業所評価加算を 算定できるとの通知が来ました!」・・・事業所評価加算とは何か?

 

下記の3つを満たす事業所に介護保険上の請求に加算が認められる。

①利用実人員数が10人以上であること。

②評価対象期間内に選択的サービスを利用した者の数/評価対象期間内に介護予防通所介護又は介護予防通所リハビリテーションをそれぞれ利用した者の数≧0.6。

③要支援度の維持者数+(1ランク改善者数+2ランク改善者数)×2/評価対象期間内に選択的サービスを3月以上利用し、その後に更新・変更認定を受けた者の数≧0.7であること。

 

 ややこしいが、デイサービスに行くことでその方の介護度が軽減されたという客観的証拠があるということを示す。パワーリハビリなどの効果がちゃんと上がっているという確固たる証拠。

 大阪府でデイサービス、デイケアなどの通所サービス事業所は1400くらいある。その中でこの加算が認められたのは100程度である。僕たちの地域である城東区では2か所だけであり、しかも昨年からこの加算が始まったのだが、2年連続なのはうちだけ!なんだなぁ。

 昨今僕たちと同様マシントレーニングを取り入れているデイサービス、デイケアが増えている。だけど高齢者におけるマシントレーニングは若い奴と同じでは絶対にいけない。危険なだけ。歩行能力は筋力ではない。関節のポジションであり、そのための有効な筋肉の使い方なのである。

 少し筋力が上がればそれなりの改善が見られるかもしれないが根本的な解決策ではない。そういったちゃんとしたセオリーがあるのだが、果たしてどれだけの事業者がそれを理解してやっているのだろうか?びっくりするくらいお粗末とはっきり言ってしまおう。

 利用者さんにとってもスタッフにとってもグッニューース!でした。3年連続を目指し工夫していこうね。

 

P.S.

 ドクターデヴィアスという化粧品会社の広報誌 orga world  にインタビューされたのが載りました。今の抗加齢医学のごくさわりをお話ししたのですが、うまくまとめて下さっています。カメラマンの方も来てバシャバシャ撮って行かれたのですが、載っている僕の写真を見ると、ベストの顔がこれかと・・・・ガクッ。現実を見よ。

 

カム、カム、エブリボディ!

 昔から早食いであった。

 考えてみれば小学校の時、隣の席の上農君(今は兵庫医大の麻酔科教授である)とどちらが早く給食を食べるかいつも競争し、常にどちらかがクラスで1番だったような記憶がある。勝ったら喜んで椅子に座ったまま後ろに倒れこんでバタバタいわしたり、ばかだったなぁ。小学校5年生くらいだったと思うけど今でもあまり変わっていないのかもしれぬ。公的には僕は自称小学5年生である。

 医者になってからは早食いに拍車がかかった。循環器の医者の特長は「腰が軽い」ところである。「あっ!」と言われれば「うん!」と答えて走っていかなければならない。お昼ご飯なんざ平均所要時間は5分である。今でもカレーライスは(どんなやつでも)1分で食べる自信がある。・・・自慢にならんなぁ。

 早食いはみっともない。合コンっぽい食事会で、「あまり早く食べてるように見えないのに、とても食べるのはやいですね」と言われた記憶がある。1回量が多いのである。しかしいったい何をしていたのだろう。目的が全く分かっていない。

 噛まずに呑んでいるのですね、これは。実は極めて健康に悪い。で最近は意識して念入りにゆっくり噛むようにしている。出来れば30回。早食いの人の特徴で、あまり噛んでいると食べた気がせえへんわ、というのがあるのだが(ビールじゃないのに喉ごしで味わっているのですね)、やってみるとなかなかこれはよろしい。ちゃんと食事をしている、ものを食べているという気がしてくるし、味もよく判るのである。

 それにも増して、①食べるスピードが遅くなると満腹中枢が反応するまでの時間、食べる量が少なくて済む。つまり肥えにくくなる ②消化によろしい ③唾液分泌が増し、唾液に含まれる免疫機能、抗がん作用の増強が期待できる ④唾液分泌により口腔内が清潔、虫歯の予防になる ⑤咬筋が鍛えられ表情が豊かになる ⑥噛むという行動は脳機能を活性化すると証明されている。歯が悪くなるとボケやすいというのは証明されているのだ。

 と、いいことずくめですね。なにより上品でよろしい。食べるのがゆっくりだと他の行動もおっとりとして来るようで、大人になった気がします。

 というわけで、皆さん、よく噛むように。30回って案外早いです。しかし僕の場合、噛むスピードがだんだんはやくなって余計せわしなくなったりするかもね。気をつけよう。

 

イスタンブール、 インカム ハズ カム、 DCPRG

 1週間ほど日本を離れていた。おもにイスタンブールにいたのですが、いいところでした。交通事情はすごいですけど。2車線道路は完全に3車線の感覚で、街中をタクシー、100㎞は出してたね。大阪人もびっくり!

 国よりも国民性。トルコの人は親日的というのが一般的ですが、そういった事をのけてもビジネスライクでない人が多い印象をうけた。そして外国に行った方が必ず持つであろう「日本てええ国やなぁ」という気持ちも。海外に行くのはpleasureだけでなく軽いストレスを受けて精神的に少し変わるのが一番の効用という気がする。国内旅行だとそうはいかない。

 でお休みの間スタッフは着々と仕事をしてくれていて、外来もかなり模様替えした。新規導入の一つがこれです。              

                 

 インカムといってコンサートなんかでスタッフが付けて相互に連絡取るやつ、ハンディタイプのトランシーバーね。インフルエンザが今も流行っていますが、感染した患者さんを別の階の待合室へ誘導したりとかスタッフは院内をいつも動いている。そうした時ちょっとした連絡が取りにくい時が結構多く、それで時間を取られたりするのが無駄なので導入することにした。

 なかなかカッコよろしい。何よりもスタッフ同士各々の連絡が早くなったのでミスも減るだろう(どうしたって小さなことは起こる)。これもアイデアはスタッフからで、いいと思うことはどんどんやってくれたまえ。あらかん(還暦近し)の院長は新しい刺激を受けて老けないように気をつけるよ。

 で最近はDCPRGを聴いている。さいこーです。天才(そして変態)菊池成孔選手の昔からやっているユニットだが、Date Course Pentagon Royal Garden (なんのこっちゃ)の略。今の自分にはこれほどマッチした音はなく、毎日聴かずにはおられない。おおざっぱに言うと「これ昔のエレクトリック・マイルス?」と言う人は言うだろうが、ぜーんぜん違う。もっと優しいです。今度菊池選手はジャズの名門レーベル「インパルス!」の50年の歴史の中で初めてアジア人として専属になりDCPRGのアルバムを出した。もうすぐ新しいアルバムが出る。わくわくだー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

究極の通貨

 友人に貸していた「HAPPIER」という本が帰ってきた。「より幸福に」という意味である。ハーバード大学で「肯定心理学(ポジティブサイコロジー)」を教える心理学博士であるタル・ベン・シャハー氏が著者。2006年度のハーバードで受講者数ナンバー1という人気講座のエッセンスをまとめたものである。

 ポジティブサイコロジーは幸福に関する学問で、シンプルに言うとどうすれば幸福になれるかということを研究するもの。いい加減な精神論でなく、実験的なものや統計など学問的エビデンスからそれを考察する。人気講座にもなるわな、と思う。以前読んだ時もなかなか感銘を受けたのだが、再読して一層腑に落ちました。

 「幸福とは、喜び(pleasure)と意義(meaning)の同時体験である」と言い切る。今の楽しい悦楽と、未来に生きる意義や意味のある行動、その二つが伴わないと幸福になりにくい。どちらか一つだと不幸に陥りやすい。

 そして幸福こそ人生で最も追求すべきものである。金や名声ではない。ビジネスの分野において資産が現金に換算されて初めて価値を持つように、人生という分野においては、富みや名声は幸せに換算されて初めて価値を持つ。どうすれば金が儲かるかでなく、どうすれば私が幸福になるか、それを価値の基準にすること。

 この2つがキモですが、その考え方をを習慣にすること。そのための方法が説得力のある文章で書いてある。やることを多くし過ぎない、自分の心を振り返るやり方など…。後書きで「訳しながらつくづく感じたのは、この人ってなんといい人なんだろう」と書かれていますが、確かに僕もそう思う。だけど素晴らしいことじゃないか。

 あぁそうだねーと心にしみた。幸福は最終最強通貨です。お金よりもこいつを貯めましょう。結構僕は影響受けそうです。外来をしていると不幸になりたがっている、幸福を拒否しているかのような方に多々会うのですが、勧めても読んでくれるかなぁ・・・。

損はしないよ!