月別アーカイブ: 2008年1月

雨に濡れても

 ワオー、今日も雨だよー。今日は在宅診療の日です。いつも雨だよなー(そうでもないか)と思いながらいつもどおり自転車で行くか車で行くか、数秒考えたが駐車の不便を考え自転車で行くことにした。

 雨が降っているから傘をさしつつ片手乗りをしなくてはいけない。自慢ではないがこういうことをしだしたのは開業してからである。下手である。不安定である。我がプジョーはサドルが高いうえに往診鞄を持っているから余計危ない。肩にかけるがずってくる。小さいリュックにしようといつも思うがすぐ忘れてしまう。

 しかしこういう状態で自転車に乗っていると、いかに日本の道が不親切か!(外国で乗ったことないからわからないけど)身にしみる。段差やたら多い、穴ぼこ多い、滑りやすいスチールの板みたいなのもやたら多い。車が寄ってきそうなところはやたら狭く木がはえていたりする。あぶねー。

 僕はアキレス腱を切って車椅子を使っていたことがあるが、本当に外に出れたものではない。まったくやたら元気な人間のみ対象にして日本の道路は作ってあるのである。テレビに出てくる訳知り顔の政治家、役人には想像できないだろう。彼らは全員、一度は足の骨を折ったほうがいい。

 僕は怪我をして今も結構苦労しているが得たものは大きい。人間順調なだけでは駄目よー、挫折しないと。人より劣ったものがあって理解できることは沢山あるのだ。

 まあ怪我してよかった。こういうのは転んでもただでは起きない、ともいうのかな。まあ、どっちでもいいや。

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眼鏡をすかしてみる情景(ウソ)

雨は夜更け過ぎに・・・♪

 おおー、寒い!僕は寒さには結構強いのですがここ2,3日はかなりきてます。で、基本的に夏も冬も着ているものの枚数はプラスマイナス1枚な私もマフラー、手袋を装着することにしました。

 あ、あったかい・・・

 雪にまみれ、濡れた頭のままのスキーで飲む1杯のコーヒーのようだ。こういうのは心に沁みる。これを文明、文化というのだろうなぁと情けなくも再認識。

 あまり寒いと心も寒々する。やせ我慢せずに最適な状況を自分で演出しましょう。快適な状況を作り出すことができるというのは素敵な才能であります。やせ我慢は実は怠慢かもね。

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私のところでは雨は雪に変わっていた

遊びは真剣に

 私、バカよねー、おバカさんよねー、と思わず口に出るような・・・。厳寒の中、久し振りのゴルフに出かけたのです。遅いスタートだったので段々暖かくなるに違いないという目論見は完全に外れ、時間がたつとともに気温は下がり雪がちらつき時に吹雪・・・。身体は固く、バンカーも固くコンクリートのようです。池も凍ってます。いったいここはどこでしょうか?昨日スノーボードに行ったというパーティの一人は「昨日のスキー場のほうが暖かでした・・・」というぐらいです。

 まあスコアも全くたいしたことはなかったのですが、この悪コンディションにしてはまあまあか。でも楽しかったです。なんなんでしょうね、こういうの。

 前にブログで、子供が日が暮れてもやめるのが惜しくて真っ暗の中でもやり続けているような遊び、そんな趣味を持ちたいなと書いたことがありますが、目下のところやはりゴルフになるのかな、どうもこの感じだと。

 僕は4,5年前までゴルフを馬鹿にしていたのですが(運動というより芝生の上でするマージャンではないか!)、今はこの奥深いスポーツを90歳まで続けたいと本当に思っています。まあいろいろ批判はあるでしょうが、体力、身体能力がある人間が勝つとは限らない、メンタル、1歩引くゲームの組み立てが要など、世間一般のスポーツとは違う大人だなと。

 しかしスタンスとしては寒いから冬の間はしないなんていうのはやっぱり認めたくないですね。雨でも猛暑でも、槍が降ろうが猿が降ろうがやるときはやる!というのはずっと続けたいと思います。たかが遊びでしょう?と言うことなかれ。遊びだからこそ真剣に。これは面白く人生を過ごす大事なキーワードだと思うんだけど。

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もっと寒々してたのですがもう写真を撮る気にはなれず

アンチエイジング・ドック

 アンチエイジング・ドックをお受けになる方がだんだん増えてきた。で、思うのだが、これが本来の医者の仕事なのではないのかなぁということだ。

 今の内科の医者の仕事をシンプルに言うと、調子の悪い方がやって来られて診察、検査し、病気を見つけて投薬し経過を見ていくというものである。多くの検査は病気を見つけるもので、正常範囲内においての状態を評価するものではない。

 アンチエイジング・ドックでは体内の酸化度や抗酸化物質の量を測定し、動脈硬化度を判定し(人は血管とともに老いる:オスラー先生)、運動や食事のライフスタイルや遺伝子も検索して、その方がいかにして今以上に健康であることが出来るか提案するのである。

 本質的に予防医学である。投薬することは少なく、ライフスタイルの改善やサプリメントの提案が多くなる。単に長生きをするのではなく、健康で人生を楽しみながら、今の若さを出来るだけ保ちつつ長生きすることを目指す。

 今の生活のままだとこの方の寿命はどれくらいだろうとだいたい予想できる。それは本当に変えることが出来るのである。すごくない?僕はすごいと思うんだけどなぁ。そしてこういう仕事が本来の内科医の、かかりつけ医の役割ではないかと思うのだ。

 長生きなんてしたくない、ゾッとするという人も結構おられるようで残念な気がする。そういう人を変えることは難しい。しかし、もしあなたがそう思わない、残りの人生を面白おかしく生きたいなと思ってられるとしたら、水や安全に投資するのと同じように健康に投資するのは価値のあることだと思うよ。

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これは学会誌ですが一般週刊誌並みに面白いです

 

仏壇がやってきた

 引越しに伴い父親が祀られている仏壇が院長室に来た。しばらくの仮住まいであるがともかく仏様と一緒の部屋にいることになる。初めてである。僕は全くあきれるくらい宗教心のない人間であるが、なんとなく不埒なことはやめよっと!決めた(まあ前からしていませんが)。

 しかしあまり違和感のないものであるな。院長室に入っても全く気にならない。というか、むしろなんとなく安心感がある。妙なものだ。こういったものは自分が思っている以上に心の中に大きな存在としてあるのかもしれない。

 人間はひとりでは生きていけない。俺はローンウルフだよ、と思っているやつは誤解しているだけでなんだかの形で他人に支えられているのを気がついていないだけなのである。感謝だよ感謝。

 仏壇を見ているとそんな感慨が浮かんだ。

 仏壇がある間に性格が変わるかもしれないな。おお、人間はいつからでも生まれ変われるのである。素晴らしいことだ。

 君もまだ諦めんでいいで、きっと。

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巨大ソファー事件

 昨日の出来事。僕にソファー(イギリス製の巨大なもの)を下さるという奇特な方がおられたので、新しい診療所に利用できるかもしれないと思い、送り主の方にお願いして業者に運んでいただいた。

 40代、50代のおっさんふたりが担当で持ってきたのだが、予定していたところに入らないと大騒ぎすることとなった。確かに大きいのではあるが、僕の印象だと無理じゃないのだがなぁ。いくつか他の場所も考えたのだが、いずれも「これはあきません」「無理。持って帰りまひょか」。僕が対応に出るまでは事務のものが対応していたのだが、彼らがやけに怒りっぽいので僕に応援を頼んできたのだ。

 彼らは一応プロであり、メジャーも出して無理というのだから無理なのかなぁ。運送賃も払ってるし何とか考えようと一時的に駐車場に置いていただいて引き取ってもらった。ちゃんとサイズを確認しなかった僕がバカであると本当に後悔していたのだが、スタッフの何人かと相談し、小さな庭の塀を一部解体して植木を強行突破し窓から入れれば入るかも、と思いついた。結構大変だけど。

 同じ日に引越し業者に、ある建物の大量の荷物をちょうどソファーを置こうとしている建物に移動するよう頼んでいたので彼らに手伝いをお願いする。20代と思しき若者達は非常に快く引き受けてくれた。

 で、なんやかんややっていてソファー搬入は夜の9時頃になった。「悪いねー」「いや、全然かまわないっすよ!これ庭から入れるの大変みたいだし、ドアからいけるんじゃないっすか?」「でも運んできた人は無理だといってたよ、専門家みたいだっけけど」「・・・うーん、まあ、やってみますわ。これをこうすると・・・」

 ・・・入った。

 彼らは非常に気持ちのいい2人であった。丁寧、親切、いつもニコニコ。ソファーの件だけじゃなく結構難題があったのだが、何よりも無理と考えず工夫を楽しんでやっていた。

 僕はどうも感じのいい若者達、どうしようもないおっさん達というシチュエーションに遭遇することが多く、「最近の若いもんは・・・」という台詞に強く違和感を覚えるものである。

 また頼むよー、徳田君、大塚君。

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僕は結構引越ししてるのでわかるのだが、彼らはbest ever seenです。

シェイクよりキスね!

インフルエンザがどうもそろそろ大流行!となりそうな雰囲気になってきました。どう見てもこれはインフルエンザじゃないな、って人が検査してみると実は、というのが昨日も数人。皆さん、手洗いを!

手洗いといえば昨日面白いニュースを見つけた。

病気が感染する確率はキスより握手のほうが高いので、挨拶は握手より頬にキスを。
上記は、イギリスの「DAILYTELEGRAPH」誌が13日付けの報道で伝えたもの。今回の研究に関わったロンドンの衛生学専門家、サリー・ブルームフィールド氏は次のように話している。「人の手は、病気などの感染経路としては特筆すべきもの。握手とは相手の皮膚と自分の皮膚が接触するという行為だが、握手する前、その相手が何を触っていたかわからないわけだ。風邪をひくとキスはしないほうがよいとはよく言われるが、実際には、握手のほうが病気感染の確率は高い」。
また同国の別の伝染病専門家、ジョン・オックスフォード氏も、「ほほへのキスは握手ほど病気感染の確率は高くない」と話している。
2人の専門家は、「フランス人のほほとほほを合わせる挨拶のやり方は、握手よりも衛生的な行為」だとしている。

これを口実に悪用しそうな人を数人知っていますが皆さん、真似しないようにね!

P.S. 昨日抗加齢医学会認定施設の少なさをブログで書きましたが、今年新たに認可されたのは3施設だけで、今年の申請数はどれくらいだったのだろうと考えていました。ところが、あるところから却下されたのでいろいろ参考意見を欲しいと連絡をいただきました。結構な施設数が却下されたようであった。頑張った甲斐があったなー。

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リスト・アップ

 昨日毎日新聞にアンチエイジングの記事が載り、その中に抗加齢医学会認定の医療施設のリストが掲載されていました。僕の診療所も当然載っていたのですが、日本全国で17しかないというのは不覚にも知りませんでした。

 びっくり。

 ほとんどが関東(というか東京)で関西圏は5つしかありません。大阪は僕のところだけ。巷にアンチエイジングをうたう医療施設は結構関西にもあるのですが、ほとんどが認定されていないのはどういうことだろう。認定をクリアーするためには、専門医、専門指導士の存在、アンチエイジング検査をしてその結果どう介入したかという症例報告をかなり出さないといけないなど結構大変ではあるのですが、正直意外な結果でした。

 アンチエイジングというのは抗加齢ということですが、加齢に抗することはどんな人間でも出来ません。でも不健康な加齢に抗することは可能です。アンチ・アンヘルシー・エイジングというのが本義だと思います。そのためには外観、見かけを重視するのではなく身体の中から、精神から、人間を総合的に診ることが出来なくてはなりません。そしてその対策を講じる。

 世の中に蔓延るアンチエイジングは外観に重きを置いていることが多いので、それがこの結果なのかなと思いました。

 いずれにしろちゃんと認めていただいたのは仕事をするうえで大変嬉しいことです。掲載日から問い合わせの電話が多くあり、受診していただくことにもなりました。期待を裏切らないように頑張りたいと思います。

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拡大して見てね

都市伝説その1

都市伝説というのがありますね。口裂け女とか東京の地下には巨大な地下通路が建設されているとか、ありえないようでも、でもひょとしたらと思わせるような、明らかな目撃者もしくは関係者は同定できないんだけど確実にいるような感じ。ちょっと街の暗闇が深くなるような。うー。まっ、結構好きですこういうの。

医学界に都市伝説はあるか?

あるんだなぁ、これが。British Medical Journal 2007;335:1288-1289はMedical Myths・・・医学的伝説?として7つのサブジェクトを取り上げ検証しています。BMJのような、ちゃんとした医学雑誌にこのような話が載るというのが、なかなかイギリス人、大人やねー、さすが、という気がします。

で、その7つとは、①健康のため1日に少なくともグラス8杯の水を飲まなくてはならない ②人間は脳全体の10%しか使っていない ③髪の毛と爪は死んでからものびる ④髪の毛を剃るとかえって濃くなる ⑤暗いところで本を読むと目が悪くなる ⑥7面鳥を食べると反応が悪くなる ⑧病院での携帯電話の使用は問題となる電磁的干渉作用を起こす
・・・であります。

⑥はあまり日本でなじみがありませんが、他の項目は結構世界共通なんだなーと思いますね。①⑧なんかは、えっ、これ違うのか、という気さえしますが、これらはいずれも正しいという明らかなエビデンス(証明する確かな論文)は無いのですね。これを書いたVreeman先生とCarroll先生は、間違いであるという証拠を探すのは難しく、まずこれらをサポートする証拠が見つけられなかったということであると書かれています

正直なところ短いペーパーであり、簡略すぎてもうちょっと調べりゃ別の話が展開する感じもするのですが、ちょっとサマライズすると・・・

① は1940年代に1日2.5リットルの水分を取るといいと書いた論文があるのですが何分昔ことで根拠もない。以後水だけでなくすべての飲料水(ジュースやコーヒーなども含んで)あわせてそれぐらい飲んだほうがいいというのはあるがいずれも確かな証拠は無い。水分の取りすぎは水中毒、低ナトリウム血症、死を招くという論文はある。飲んだ人、飲まなかった人で比較したペーパーなんて不可能だろうし確かにエビデンスは無いか、と思います。経験則ですかね。多く飲むと過量な分は尿として出て行くのですが、体内にある不純物というか有毒物質がウォッシュアウトされるので水分は多く取れと推奨するドクターも多く(それも多分エビデンスは無いな)、今のところ血液が濃縮する程度まで水分を取らないのはいけない、血管が詰まる可能性があるから、という位しか言えないと思います。しかし実証していないだけで経験則は侮れないとも思います。

② は最近の脳科学の進歩よりあらゆる方面からみて10%以上は使っている。むしろ脳のあらゆるエリアで使っていないところは無いというのが実情のようです。天才に対する凡人のやっかみが幻想を生んだか?むしろ使えば使うほど良くなるという(これは事実)ことを言いたいのでしょうね。

③ こんなことはありえない。死後脱水のため皮膚が萎縮しそう見えるのだそうです。だけど向こうでは一般的な話と捉えられているのでしょうね。ジョニー・カースンが「死後3日の間、髪も爪も段々と増える。でもかかってくる電話は段々と減る」というジョークを言っていたそうです。

④ これも見た目だけの問題で、皮膚科的には剃ることの刺激で毛根が活性化することはありえない。剃った後はえてくる場合、もともとの毛より周辺部の輪郭がシャープに見える、また日光で脱色していないため濃く見えるなどが原因では、とのこと。

後の3つの検証はまた長くなるので次回に。
しかしどの世界にもある都市伝説。なんとなく信じているが全く事実と違うことというのも日常生活で頻繁に実はある。疑って調べることの重要性を教えてくれたのが、実はこのペーパーの一番いいところかもしれん、と思います。

スーツケース3個

 全身が痛い。スゲー痛い。今日一日肉体労働をした。まっ、ブルーカラーだから当然であるが(医者がブルーカラーというのは医者の世界においては誰も疑うことのない一般常識である)。

 診療所が移転するのであるが、移転先が僕の実家であり母親が現在居住しているところである。立て替えるため解体しなくてはならないのだが、そのためには荷物整理をしなくてはならない。母が50年住んだその生活の灰汁というか、いるもの(5%)いらないもの(95%)本当に山のようにある物品を今週末までに整理しなくてはならぬ。

 仕分けし、ゴミをつくり、いるものを箱に詰め、よいしょと運ぶ。その繰り返しである。スタッフを含め数人がほとんど休みなく働く。それでもあとからあとから出てくるのである。

 物はいらないなーというのをしみじみ思う。本当に必要なものというのは驚くぐらい少ないのである。物はすぐ処分、もしくは使い倒す。これはいつか要るかも、というのは永遠に使わないのである。

 引っ越すとなったら荷物はせいぜい大型のスーツケース3個。これぐらいでいいだろう。僕の場合本とCDが嵩張るかも知れないが、音楽はiPodに、本も生涯を通じて読み返したいのは30冊もないか、となるとそんなもんだ。あとは思い出だけで十分である。

 身軽になって街に出よう。なんでも肥満は罪なのだ。

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1個がすごくでかかったりして・・・