病院勤めの時、一番いやだったのが外来の日だった。これは実は勤務医がみんな思っていることじゃないかと思う。なぜかと言うと疲れるからだ。
あまりご機嫌とはいえない人が次から次へと現れる。しかもその内何パーセントかは確実に難題を持ってくる。何であろうとともかく一応の解決策を示さなければならない。しかも円満なコミュニケーションを図りながら。自分の能力に時にうんざりしながらも。
開業して10年、週に5日は外来をしているからさすがに習熟が見られるが、それでもね、あるよ。特に午睡も取れなかった午後診のポテンシャルは低下が著しい。頭の回転は16回転のLP(絶対分からんな、この比喩は)さながらで、苦労して回すから疲労困憊である。
今日の外来は冬モードでやたら混み、午後2時に終わって往診、来客がありそのまま午後診へ。8時に終わって業務連絡をし、9時過ぎに本部を出るとシャワーを浴びて寝たいという気持ちだけだが、勿論そういうわけにはいかない。
そんな時、僕は「タオ」を読む。この加島祥造氏が大胆に口語訳された老子全81章は、引越し数回の洗礼を受けても生き残った数冊の本の中の1冊である。
「まっ、そう肩に力入れんなよ、気楽に気楽に」2500年前の賢者が僕にそう語りかける。僕は何も言えず眠りにつこうと横たわるのだ。