感情の処方箋

 「アエラ」を読んでいると興味深い記事があった。『「病は気から」は本当だ-科学的に徹底検証』で、ジョージカプラン(これは確か生存曲線で有名な人だ)の古いデータから、自分が健康だと感じている主観的健康感も持たない人は持つ人と比べて10年間で3.6倍死亡率が高かった、というのを紹介。他の疫学調査からも主観的健康感のあるなしで大きく生存率が違うということで、結論として身体的健康状態以外にも精神的に健康か、人間関係はうまくいっているか、加齢を前向きにとらえているか、などのファクターが大切としている。

 これは別に画期的な結論ではない。これらのデータも原著に当たってみないと比較している対象が同条件かなどの疑問がないわけではないが、概ねほとんどの医者は結論にうなずくと思われる。「気持ち」が総てではないが、健康に与える影響はおそらく想像以上に大きく、免疫や内分泌に与える客観的な指標の変化も最近はとらえられている。

 感情を病気の予防や治療に積極的に取り入れることはこれから盛んになっていくだろう。笑うと免疫能が上がるということで癌患者さんを寄席に連れて行ったりすることは数年前から話題になっていたが、誰も馬鹿な試みだとは思わない。

 強い感情は人生を破壊することさえある。これをポジティブに使うこと、その方法論が出来ればサプリメントなんか目じゃないくらい効力を発揮するだろう。ただ感情は非常に個人的なもので一律に考えることは難しい。自分自身が主治医になって感情の処方を書くのが近道だ。前回書いた「触媒を捜せ」である。

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