朝日新聞の連載「ドキュメント・医療危機」を見ると「日本は医者を大事にしない」とタイトル。おっ、医者を目の敵にしてきた朝日新聞の中にもまともなやつが、と読んでみる。が、内容はいかに医者の経済基盤が弱いかということであった。大学教授でも定年後は働かざるを得ない、どうみても銀行家のほうが羽振りがいい、病院の経営母体が変わると年金も途切れ生涯賃金でもかなりの損である・・・
まぁ真実だけどね。医者が経済的に恵まれていたのは我々の父親の世代までであろう。今は3K(きつい、きけん、きたない)の典型で自分の子供を積極的に医者にしようと思っている人間は世間の人間が思っているより遥かに少ない。欧米と比較するまでもなく日本の医者のコストパフォーマンスの悪さはすごいと思う。勤務医の激務は知られるようになったが開業医にしたって朝の8時半から夜の9時まで1時間の昼飯以外は全くフルに診察、往診、検診だった私の今日を考えると、このお年で…と涙が出る。
しかし、言うのも恥ずかしいが「やりがい」というのがあるんだな。その意味で僕は医者はいい職業である、天職であると思っている。
僕の患者さんにある会社の専務さんがいる。70台だがとてもそうは思えぬバイタリティを誇る。彼は僕にいつも言う。「借金があるから頑張って働こうと思えるんです。先生、借金つくらな!」・・・言われなくてもいっぱいあるって。まぁ、それだから働くというわけではないが、何に追われるものもなく悠々自適で海外旅行が趣味といういやみなおっさんになるつもりは全然ない。だいたい何のリスクもない趣味に生きたところで何が楽しいのか全然わからん、私には。
こうやって貧乏性よろしく死ぬまでくるくるくるくる働くんだろうなと思う。しかし実はそれこそ最高の生き方。そう思うのは僕だけ?
3K3K* 頭文字がラテン文字でKとなる語が3つ続いたもの 仕事が「きつい(kitsui)」「汚い(kitanai)」「危険(kiken)」の意。後述。 トイレが「汚い」「暗い」「臭い」の意。 群馬県の名物「空っ風」「雷」「カカア天下」。 日本の競馬|競馬(keiba・特に地方競馬)・競輪(keir