ピンチとチャンス

 高校野球はあんまり興味がない。そもそもあまり野球に興味がなくて、大学病院時代から僕の患者さんで、今でも通院されている元阪神タイガースのピッチャーUさん(江夏投手の時代に阪神の看板サイドスローピッチャーだった。完全試合を長嶋選手に阻止される)は、僕があんまりチケットをねだったりしないので、「先生、野球嫌いなんですか?」と訊いてきたくらいである。

 高校野球の思い出と言えば、昔甲子園準決勝の日に芦屋の浜を散歩していたら(なぜかは不明)、高校球児が10人ほどユニホームで砂浜にたむろしていて「あー、負けてもうたなー、これからどうする?」と楽しそうに談笑しているのに遭遇したことがあって(準決勝で負けたチームでした)、あんまり深刻そうじゃなくていいなと思った記憶があります。
 
 が、しかし基本的に高校野球でどこが優勝しようがどうでもいいのである。だけど佐賀北高校の優勝シーンはなかなか劇的だったのでスポーツニュースを何度か見た。その中、ある番組が佐賀北高校野球部の部室を取材していて、窓に掲示してある文章を紹介していた(誰が書いたかは不明)。

 「神様は我々にピンチだけを与えられることはない。ピンチの裏側には必ずチャンスを潜ませてくださるのだ。ピンチだけを見て萎縮しているものにはそれは分からない。誠実に練習を重ね、臆せずじっと見るものだけにチャンスがあることが分かるのだ。」

 正確ではないが、大体こんな内容だった。うーむ。ぼんやりと見ていた野球に興味のないおっさんの心にもそれは響いてきたのである。世の中で総てに当てはまる原則というのはそんなに無いが(実力のある人ほど謙虚、というのはその一つ)、これもそのプリンシプルの一つだな。すぐ忘れそうになるが。

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人生にこれほど気持ちのいい瞬間ってあんまり無いでしょうね

 

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