菊地成孔氏の「野生の思考」を聴く。素晴らしいなー。なんと美しい音楽だろう。
菊地成孔氏はまぎれもなく天才だと思う。一時完全にアディクトとなり、アルバムから著作までかなり集めた。そのどれもが失望することはなかった。
理論派である。東大で講義もしていたが(内容は著書として発売されている。「東京大学のアルバート・アイラー」というタイトルで)、でもね、こいつは絶対変態だぞ。神経症(欝かな)にも一時なっていた。
彼のテナーサックスの音が完全に好み。彼と清水靖明氏(この人も天才肌でバッハの無伴奏チェロ組曲をサックスでやったアルバムを出している。これもすごくいかすのだ。)の音は、僕の中の原初からある音に近い気がする。多分お二人とも僕とは全く違う資質の方だと思うのだが。勿論才能も。しかし確実に触れてくる。
「野生の思考」ではあまりサックスは鳴らず、弦楽が主となっている。そこが当初気に入らなかったのだが、素直に耳を傾けると本当に美しい音楽だ。突如現れる恐ろしいくらい甘い旋律。戦慄!(わかってね)。
DEGUSTATION A JAZZというメジャーデビューのアルバムでは、あらかじめ作った何十曲のオリジナルを、ごくわずかずつだけ切れ目なくつなげる(DEGUSTATION という、少しずつ小皿で何皿も出すレストランの方式を真似ている)という革新的な方法を提示した。次のアルバムのタイトルは「南米のエリザベステイラー」という意味深なものである。内容もこれまた美しい。ともかく曲者です。
夜、一人で自分の心の中に沈潜するとき、彼の音楽が今のところ一番ふさわしい。それは僕にとって大いなる喜びである。
ジャケットにもうるさいよー。
鬼才ですね。先生の記事を参考に「南米のエリザベス・テイラー」を聴いてみました。
ボサノヴァ風??たまにタンゴ??この夏、エロティクなSaxの音色に魅了されて、夜聴き続けてしまいそうです。カヒミ・カリィの歌声もはまりです。
内田也哉子の参加にも意外でびっくりでした。
先生のおかげで、私の音のなかった10年間がどんどん埋まっていきそうです!先生、いつもありがとうございます(^^♪
azumiさま、コメント有難う。イヤー、わかってくれて嬉しいです。結構ある種の人たちには有名ですが、やはり「知る人ぞ知る」だもんね。日本の映画で「停電の夜に」だっけ、一昨年くらいに公開されましたがそれの音楽もつけてます。サントラ、かなりいいです。彼のお兄さんは菊池ナントカっていって、ちょっとエロいSFを書く人で有名です。関係ないけど。