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家庭血圧測定の際の注意点と逆白衣性高血圧

高血圧に診断、治療には家庭血圧の測定が大事です。その際に知っておいたほうがいい知識を東北大学教授の今井潤先生の文献を参考にまとめてみました。血圧値に一喜一憂しないよう以下の事を覚えておきましょう。

1. 血圧は1心拍ごとに変動するし、わずかな内的外的刺激(腹が立っていること、寒い、痛いなど)により簡単に上昇する。
2. 1度に数回測定すれば一般に最初の血圧値が高く、だんだん低くなる。どの値をとるかは諸説あり、すべて記録しておく。計時的変化を見るには1回目に統一しておく。
3. 測定開始の最初の数日はその後の血圧より高い。
4. 一般に朝寝床から起きて動き出した直後の血圧は夜の血圧にくらべ高い。起き上がらず寝床の中でぼんやりしている状態で測った血圧は基礎血圧といい、この血圧が高い場合は注意。
5. 冬季には夏季に較べ血圧が上昇する。

病院でお医者さんや看護婦さんに測定してもらうと緊張して血圧が上がるのを「白衣性高血圧」といいます。逆に家庭内で自己測定時に神経質になって高い血圧値がでると下がるまで何度も測定を続ける人がおり、病院で測るほうが安心して低くなる人もいます。そういう人を「逆白衣性高血圧」といいます。

血圧に神経質になって自分で高血圧を作り出さないようにしましょうね。

高血圧の人(特に70歳以上)の血圧はいくらまで下がればいい?

高血圧と診断され薬を飲んでいただいている場合、当院では家庭血圧測定器をどこかで購入していただいて、できるだけ家庭内でも血圧を測定していただくようにしています。診察に来られた場合と家庭内ではほとんどの場合家庭内の方が低く出ますが(これは白衣性高血圧といって医療機関での緊張が反映していると考えられるます)、時により下がりすぎではないですかと心配される場合があります。血圧の下がりすぎは御高齢の場合かえって脳梗塞や心筋梗塞を発症する危険性があるということを良くご存知なのです。

ご高齢の場合、いくらぐらいの血圧が適当なのでしょうか?

米国やWHOなどでは年齢に関係なく140/90mmHg以下が目標とされています。日本でも若年、中年者や糖尿病合併例では同様に考えられていますが、高齢者(70歳以上)に関しては少し異論があるようです。同様の降圧をめざすべきという意見とともに、脳や心臓の循環障害の発生を考え、もう少し緩めの目標が良いとする意見があります。色々なデータの解釈の問題がありますが、日本人を対象にした決定的な高血圧の介入試験がないのが混乱の元と思われます。

しかしながら目下のところの妥当な考え方は、基本的に140/90mmHg以下に下げる、しかし拡張期血圧(低いほうの血圧)は70mmHg以下に下げない というところと思われます。

高齢者は高血圧の人でも拡張期血圧はあまり高くならない傾向があります(血管が硬くなっているとその傾向が出てくる)。高い方の血圧だけに注目して降圧をはかると下がりすぎて、拡張期血圧に依存している心臓の冠動脈の流れが妨げられ心筋梗塞などが発症しやすくなります。

拡張期血圧は70mmHg以下にならないように。ゆっくりと最低3ヶ月ぐらい時間をかけて。めまいなどの症状に注意して、症状があれば 測定値が低くなくても 下がりすぎを疑うというのが注意すべきところではないかと考えます。

ボケたくなけりゃ肉を食え!

なんてタイトルだ。だけどこれ嘘じゃないかも。高齢者がどんどん増えてきて大騒ぎしている割には、実のところ高齢者の方のデータというのはあまり無くてわかってないことも多い。その中で東京都老人総合研究所は多くの高齢者のデータを発表しているが、その中で長寿と栄養について面白い発表があるのでいくつかを書き出してみよう。

1. 1970年代における100歳以上の方100人のデータでは、食事における蛋白質の割合は当時の日本人の平均を大きく上回っていた。
2. 東京の高齢者の中で20%ほどは、量は多くないものの毎日肉を摂取していた。沖縄の高齢者はもっと多くの肉を摂取していたが脳卒中の発生率は全国最低だ。
3. 牛乳をよく飲む高齢者ほど魚、肉、卵などの動物性食品を積極的に取っており、高学歴で運動習慣があり、歯が多く残っていて朝食を取る習慣があるという共通点があった。
4. これらの方は栄養状態の指標である血中アルブミン値が高く、その値と長寿とは相関関係がある。
5. 肉に多く含まれるセロトニンは脳内神経伝達物質であり、鬱やボケの予防につながる可能性がある。

どうよ、皆さん。他にもあるぞ。神奈川県立保健福祉大学の杉山みち子教授は、高齢者の最大の栄養問題はたんぱく質、エネルギー低栄養状態であると看破している(日本医事新報4141:1,2003)。70歳以上では体力と筋力をつけるためエネルギー、たんぱく質をちゃんと食べることを目標とした栄養教育が必要とまで言っているのだ。肉を食べるな、粗食こそ長寿のもと、というのが一般論だが、それは成人病になりやすい70歳台までにいえることで、その激戦区を勝ち抜いてきた高齢者の方はむしろ栄養をつける必要があるのであった。

イメージが変わるなぁ。後期高齢者は絵や音楽をたしなみ(芸術はボケ予防に最適だ!)、マシーンを使ってパワリハをし、赤ワイン(含まれるポリフェノールは老化やボケ予防に効果ありとされている)でステーキを食うのが望ましい生活なのである。店の方も考えないといけない。焼肉屋は年齢によって値段を変える。成人病予備軍の30歳から70歳までは高めの設定で、それ以上は半額。今日は金が無いから焼肉にしようぜと、高齢者はスポーツで汗を流した後相談する。こういう人が増えると暗い日本も少しは変わるんじゃないかなぁ。