悪いやつほどよく眠る

悪いやつほどよく眠る・・・そうだろうか?知り合いに悪人だけど不眠症のやつがいる。何事にも例外はあるのだ。だけれど一般論としていい人が不眠症というのは正しい気がする。外来をしてふと気がつくと、睡眠導入剤を出しているケースがとても多いのに驚く。まずい・・・。いやー、まだ止められないんですよと言いながら、それだけを受け取りに外来に来る人がいる。みんな気にしているんだけれどやめるのは不安なのだ。そこで案外知られていない、睡眠薬の止め方について。

まずあなたの飲んでいる睡眠薬のタイプを知っておく必要がある。それにより止め方が違うから。睡眠薬は作用時間により超短時間作用型(半減期が4時間位まで。ハルシオン、アモバン、マイスリーというのが有名)、短時間作用型(10時間位まで。レンドルミン、リスミーなど)、中間作用型(28時間位まで。ロヒプノール、サイレース、ユーロジン、ベンザリンなど)、長時間作用型(それ以上、3日以上のやつもある。ベノジール、ドラールなど)の4つがある。寝つきが悪い場合、超短時間作用型。それに加えて途中ですぐ目がさめるという方は短時間型を用いているはずである。真夜中や早朝に目がさめる方は中間型以上を使用しているはずだ。

減量で一番一般的なのは薬の量を2〜4週間ごとに4分の1ずつ減らしていくやり方だ。これはどのタイプの睡眠薬にも応用できるがある用量以下では不眠が生じる可能性がある。そうなるとこのやり方では先に進めない。

中間から長期作用型では隔日法といって、始めは1日おき、それでも眠れたら2日おきとだんだん間隔を開けていく。ただ内服していた期間と同じくらいの期間をかけて中止しないと反動で不眠が悪化する場合があるのでゆっくりと。このやり方は短時間作用型以下のやつには適さない。離脱症状(不眠、不安、イライラなど)が出やすいためだ。中ではマイスリーが比較的出にくいともいわれている。 だとしたら短時間、超短時間作用型はどのようにすればいいかというと、中間型以上のものに徐々に変えていく方法がある。2週間ほど半量ずつ併用したりする。それで置換出来たら、隔日法で止めていくのだ。逆に中間型以上のものを短時間以下のものに置き換えると中止しにくくなるのでこれはよくない。

もうやめたいな、と思った時がやめ時で、毒薬じゃないんだからすぐ止めなくっちゃとあせる必要は無い。薬としては安全性の高いものだ。ただ服薬期間が長くなればなるほど止めにくくなるのは事実である。不眠が恐怖というのはよくわかる。ただ、逃げていると相手は増長する。反撃すべきだと思う、個人的には。つまり寝ないのだ。恐怖の元を直視する。幽霊の正体見たり枯れ尾花。寝なくてもどうってこと無いです。全ての人に勧められる訳じゃないけどね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です