「僕は抗加齢医学会の専門医だよーん、やーい、羨ましいか」と医者仲間に言ったとき、よく見られる反応の一つとして「お前そんなに長生きしたいの?俺は長生きなんざしたくねーよ、まっぴら」というのがあります。
本当にそうなのかな?患者さんでも70歳位の方に検査をして、「素晴らしい、あと30年は十分生きられますよ」と言った時、90%の方は「エー、早くお迎えが来て欲しいのに、待ってるのに」です。今まで、「まあ嬉しい」と言った方は記憶にはっきりしていますが2人だけです。
長生きは望まれていない?何でも額面どおりに受け取るわけにはいきませんが、どーも僕が思ってるよりみんな太く短く生きたいらしい。というか、高齢になることは楽しくなさそうだという感覚ですね。
抗加齢医学の目標は単なる長生きではなく、「その年代における最高の健康状態を維持する」ことで、結果としての長寿です。標的は未来でなく今を向いている。
そして、ここがポイントですが、目的がいる。これをしていると楽しい、止めたくない、ずーとしていたい、そのためにずーと健康でいたいのだ、という目的です。中谷彰宏氏は「100歳まで女の人とエッチが出来る体でいたい」という目標を立ててられます。立派です。男です。こういう目的があることで抗加齢医学が生きてくるのです。目的がないと確かに必要ないけどね。でもみんなそんなものも無くて生きていけるのかな?考えよう、きっとあるはずだよ。
ギネスブックに載る長寿を目指すことが(今認定されている世界最高齢は男女とも日本人だよ)目的ではない。欲望を持続すること、太く長く生きるための身体、精神を作ることが抗加齢医学の目的なのである。わかるかな?で、僕は専門医なのだ。やーい、羨ましいか。
94才でフルマラソンを完走したランナー