Mさん

 今日、Mさんが診療所を訪ねてくれた。彼とはもう20年くらい会っていなかっただろうか。僕が大学病院勤務をしていた時代、彼は日本を代表する製薬会社のMRだったのだが、かなり長きに渡って仕事は勿論、遊びもよく付き合ってくれた。今では本社の人事部長であり出世頭である。

 死ぬ間際に神様が人生をリピートさせてくれるとしたらどの時代、10年を選ぶか?僕にとって25歳から35歳の研修医から助手の時代が2番目だ、間違いなく。1番目は明日からの10年だよ、なんてね。

 その輝かしきもやんちゃな2番目のDecadeを一緒に付き合ってくれたのがMさんで、開業して会う機会がなくなってからも賀状交換やメールを戴いたりしていた。そういった時代を一緒に遊んだ人というのは今でも付き合いが多い。彼も久しぶりに会ったのだが全然流れた月日を感じなかった。

 「Mさん、かわってないねぇ!」と僕は言ったのだが、勿論20年前と外観は同じではない。でもその頃と変わらない上品でお茶目な感じ、性格の素直でまっすぐなところはまんまで、バックボーンが変わらないと外観も同じに見える。仕事で磨かれたある種の落ち着きが風格である。

 昔くれた葉書に彼のスカイ・ダイビング中の写真が貼ってあって、元気でやってんだなーと思ったりしたものだが、彼によればその頃仕事のストレス満載で、どうしても仕事を続けられなくなり休暇をとって1人でグアムに行ってピストルを撃ったりしたその時のものですとのこと。かように彼は苦労を見せない。今も仕事は大変だろうと思うのだが楽しく遊びの約束をして去って行った。仕事の話もちゃんとして。

 古い友達と会うとしばらくは元気でいられる。また会おうね。趣味は散歩なんて枯れたことは言わず、お互い往生際の悪いジジイでいましょうよ、Mさん。

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ハッハッハッ!

 
 

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