車の中でFMを聴いていたら古い井上陽水がかかった。一気に記憶は過去へ遡る。20年近く前、アメリカの大学で実験ばかりしていた。1日の終わり、結果が出た日も出なくても、フラスコやらビーカーやら一杯明日のために洗浄する。そんな時、僕はひとりでよくウォークマン(今ならiPodね)で日本から持ってきたカセットテープを聴いていた。井上陽水初期のベストアルバムがどういうわけか入っていて(あまり聴いたことなかった)、何度も聴くうちにどんどん心に染み入ってきた。
なんといってもべたべた日本的。曲名は忘れたが、はかなげな女の人から滑り落ちたハンドバッグから口紅が転げ出たとか、暗い雪の降る海岸べりとか、なんというかじっとりと裏日本的ロマンチシズムなのである。これはねー、はまるよ。「Hi,kiyo! How are you doing?」の実世界とこれで僕はバランスをとっていたのである。
最近のアルバムを聴く。奥田民生と一緒の「ダブルドライブ」。あっかるいなー。夏の歌が多いせいもあるが、じめじめした暗い、いかさない昔の大学生が、就職して小金も出来て、似合わない異常に派手ないでたちで南の島のバカンスを満喫しているかのようである。でも過去のトラウマがあるから単純じゃないぞ。過去ある大人が総て了解してはしゃいでいますという雰囲気です。ま、僕の今の気分ではやはりこちらのほうがいいかなー。奥田民生もちょっと屈折してるし。ナイスアルバムで、ちょっともう古いけど現在ヘビーローテーション中です。これで僕は何とバランスをとっているのかな?決まり切った生活とでしょうか?
こういう感じ、ええなぁー