(でく)のぼうの時間

 僕にとってのパラダイスの一つは間違いなく本屋さんである。あまり大きすぎてもいけない、程よい大きさで、適当にすいていて、店主の本の好みがかなり僕に近い、そんな本屋さんで過ごす時間は、うるさ型のシェフが好みの市場で過ごすときのように、他に何も考えず物だけに集中できる至福の時なのである。

 といっても最近はネットで買うことが多いな。便利だもーん。でも結構失敗している。他人の書評なんぞ全く当てにできんぜ、まったく。やはり直接手に取って、持った感じ、活字の感じ、文章の肌触りを確かめないといけませんのである。

 この前、ある会の始まる時間つぶしに10年ぶりに入った本屋さんは久し振りの高打率でした。なんといっても小西康陽の新作が見つかったのが大きい。知ってる?ピチカートファイブのリーダーね。前のエッセイ集「これは恋ではない」は僕の宝物の一つですが、10年ぶりの新作は「僕は散歩と雑学が好きだった」。これはかの植草甚一氏の「僕は散歩と雑学が好き」からパロッたものです。この本は僕の10代における航海地図みたいなもので、彼も好きだったのかと嬉しくなりました。

 しかし掘り出し物は「のぼうの城」。これは勘だけで買いましたが、ドンピシャです。戦国時代の武将の話なのですが、一種独特の傑作の匂いがあって、時代物なんかほとんど買わない僕が買ってしまった。帯に「この男たちは、文句なしにかっこいい」とありましたがそのとおり!
映画化必至という感じですが金がかかりすぎるかな。CGで出来るか。キャスティングしたくなるような、現代感覚あふれる物語です。まあ読んでみ。爽やか、いい気分です。

 で、やることがいっぱいあるのに今日も風呂場で1時間。でもまあいいや。ああ面白かった。これが一番だよ。

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やっぱり犬童監督で映画化されるらしい

(でく)のぼうの時間」への2件のフィードバック

  1. Alfista

    前からお聞きしたかったのですが、あまりにも矮小なことで笑われるかも・・・・
    お風呂で本や雑誌を落っことしたりされませんか?ぼくは何回か落っことして涙をのんだことがあります。
    あるいはつい手をお湯の中につけてしまっていて忘れてページをめくって本がずぶぬれになってしまったことがあります。
    オープンカーのようにトノカバーを湯船の上においておられるのでしょうか?

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  2. 着ぐるみ院長

    コメントサンキュー。
    幸いなことに落っことしたことはありませんが、ページがヘロヘロになるのはしょっちゅうです。

    本も消耗品で、大事に飾っていても仕方ないわい!とそこらへん、割り切っています。

    だからあまり手に入りそうも無い本は風呂にはもっていかない。

    かっこいい入浴用特製本置き台とかあったらいいのにね。アルマーニ製とか。

    返信

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