一昨日、突然幕がスルスルと上がって夏が始まった。全然違うやん、と朝、車に乗り込むときに思う。陽光が違うし蝉の声もダンチにうるさい。おお、麗しの夏よ、せっかく来てくれたのに後せいぜい2週間程度のお付き合い。仕事なんかしてる暇はない。
「夏とは単なる季節ではない。それは心の状態なのだ」 片岡義男氏の至言をかみしめながら。
退院してから沢山やること、やりたいことがあって手術前よりグッと時間が凝縮している。幸いにして世界の輝度は上がったまま。今までもったいないことしたな。でもそんなこと言ったってしょうがない。
先週、第7回抗加齢医学臨床サマーミーティングが東京トータルライフクリニックの馬渕先生担当幹事で浅草であった。これでシーズン1が終わり来年から心機一転、創立者田中先生の地元静岡からシーズン2が始まる。70人以上参加し幕切れにふさわしい充実した会で、発表内容もグレード高く、抗加齢医学会理事の先生方も「学会と変わらないね」と感想を述べられるくらいだった。当院も一見正常に見える外来定期通院患者さんの中から認知症を拾い上げる、スタッフの手間がかからない自己記入式のテストの成果を発表した。発表側が自信満々に較べその便利さがこちらの発表テクニックの未熟さでうまく伝わらなかった感あり、若干残念。しかし今度の抗加齢医学会までに症例数を増やしてまとめる予定で、何よりもスタッフが熱意を燃やしているのできっとうまくいくと確信している。
このミーティングは実際に抗加齢医学を臨床で行っているドクター、コメディカルが参加しているのだが、みんなの明るさが特徴だと思う。日常の外来で結構手一杯のはずなのに臨床研究をやるという人達のバイタリティと好奇心と自負は、日常の詰まらないことなんて気にしないという健康な明るさにあふれている。愚痴、なし。いいね。
運転しながら会であったことを思いだしていると、カーステレオから「高気圧ガール」が流れている。空気感がこの朝にぴったりだ。「夏だ、海だ、達郎だ!」という古臭いコピーを思い出し、この短い夏を楽しく過ごす策略に思いをはせ、そして高気圧ジジイじゃなくっちゃね、と思い至ったのである。