アルツハイマー征服

今日の景色。なんと早咲きの桜が。桜咲く。

 

7か月ぶりのブログ更新である。なにしてたん?

コロナっすよ。

未曾有の事態にどう立ち向かうか、なんやかんや気持ちも急いて、全く失念しておりました。情報発信が大事だとは思うけど、このブログはきわめて個人的、時流、世間に関係なく自分の関心だけを書くという方針を決めていたので(コロナのことなんかあらゆる情報が溢れている)、ちょっとここまで行きつかなかったということだ。

というと再開は少し落ち着いたからかな?

そう、COVID-19の全体像、対処法が見えてきたから。気持ちの上で以前の生活が自然に戻ってきつつあるのかもしれん。もちろん緊急事態宣言中であり、本当に大変な状況の真っただ中という方も多数おられるのも承知してます。

で最近読了した本のこと。

この頃一気読みというのはあまり無くなってきたのだが、こいつは3時間ほどで一気読みしてしまった。その本は「アルツハイマー征服」。あまりいけてないタイトルやなー。下山進さんというノンフィクションライターが2002年からアルツハイマー病のノンフィクションを書こうと資料を集められたのだが、治療法を含め全く先の見えない状況のため断念。しかし2018年になって様々な変化があり、今までの経緯をまとめると興味深い本になるかもしれないと再開されて日の目を見たもの。医学的検証には東大の岩坪威先生が当たられ、似非医学本でなくきちんとしているのが読んでいてわかる。僕も存じ上げている諸先生も実名で登場され、こんなことをされてたんやーと感銘を受ける。

アリセプトというアルツハイマー病の進行を遅らせるメジャーな薬の開発話から始まるが、その経緯は何というか波乱万丈、半沢直樹のよう。リアリー?と言いたくなるが実話のようです。そしてこの本のテーマであるモノクローナル抗体を使った治療薬アデュカヌマブについて。これは今4種ある、進行を遅らせるというタイプの薬でなく根本を治療する、つまりアルツハイマー病の病因と考えられているアミロイドβを減少させ認知機能を回復させる可能性のある薬剤。アメリカの臨床試験で有効な結果となりFDA(アメリカ食品医薬本局)の承認待ちという状況だが、今までのアルツハイマー病治療を大きく転換させるポテンシャルをもつ。日本でもすでに承認申請が出されている。薬剤開発や治験までの経緯、日本のかかわり方(ちょっとなんでも遅すぎるで!)など興味深い話が満載で、本当に目からうろこであった。

いまオリンピックの森さん辞任の件がきっかけで、ジェンダーについての話題が多くなっているが(ちなみに3月7日に抗加齢医学会主催で僕が提案して司会をさせていただく医学的見地からのジェンダー、性差についての講演会が遠隔であります)、抗認知症薬の開発、承認に至るまでの女性の活躍ぶりは素晴らしい。アリセプトはエーザイアメリカのシャロンロジャースさんがいなければ世に出なかった。仕事がすべて終わり、資料を全部トラックに積み終わって仲間5人でトラックの前で撮った写真なんか泣ける。男性も個性的な人物が多々登場して、この人物模様が何といってもこの本の最大の魅力!ヒューマンドラマです。

認知症にたいして僕はコウノメソッドを軸として治療をしているが、一時コウノメソッドはアリセプトに対してアンチの姿勢をとっている時期があり、僕自身もあまり使用していなかった。しかし開発話を読んでいると、薬に対しての印象も少し変わった。外側の人の意見だけでなく内側からの意見も聞かなくてはならない。

この本のエピローグのタイトルは「今は希望がある」です。

3月7日のFDAの承認結果がオッケーだと大きく世界が動く。期待したいな。

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