抗加齢→抗華麗→地味

抗加齢医学会のセミナーに行ってきました。東京で2日間、連休をつぶして(泣)。でも行った甲斐はあったと思います。元気なご老人で一杯の世の中になることが僕の仕事のひとつの目標ですが、そのこともあり抗加齢医学会は第1回研究会から興味があって参加していました。当初はエステっぽい人が多かったり、ちょっと医学的な研究会にしては異色のムードだったのですが、学会に昇格した頃くらいから新しい学問を育てていこうという意気込みを強く感じる、アカデミックでフレッシュな学会になっていると思います。アンチエイジングという言葉は女性雑誌などでは完全に市民権を得ていますが(というか今が旬?)、もともとこの学会から広がった言葉です。

抗加齢の意味ですが、不老不死を目指しているわけではありません。加齢による身体精神的な衰えをカバーして、元気なままでコロリと死のう。活気のある爺さん、婆さんになって若いやつを脅かそう、病気しないほうが国家財政的にも助かるし。一種の予防医学です。このパールスでも書いた、パワリハもアロマも鍼灸もその手段として入っています。しかし今回の主たる課題はホルモンの充填と身体に有害な金属(水銀や鉛など)の除去でした。

年齢とともにいろいろなホルモンは分泌が減少してきます。よくご存知の例を挙げれば更年期です。女性ホルモンの減少が顔のほてりや欝気分、動悸などのいわゆる更年期症状を起こしてきます。その治療として女性ホルモンの充填療法が行われるようになり、単に更年期だけでなく動脈硬化や骨粗しょう症、アルツハイマー病などにも予防効果があるとの報告が相次ぎ、皮膚の若返りも見られることから一時アメリカで60歳以上の女性の30%近くがホルモン充填療法を受けているという事態にまで発展しました。ところが大規模な臨床試験が行われ、その際乳癌や心血管系のトラブルでの死亡がコントロール群より多いことが途中で明らかになり、臨床試験は中止になりました。そのため一時のブームともいえる状態は終わったのですが、今でも投与量や方法の改良で利点が多いという意見も多く、臨床試験の結果を知ってもそのまま充填療法を続ける人が少なからずいたことなどQOL(生活の質ですね)の改善においては素晴らしいものがあるとの意見があります。

最近男性更年期という言葉がよく聞かれるようになってきました。女性のように様様な体調不良(疲れやすい、憂鬱だ、EDだ)の訴えが50歳頃から多くなり、それは男性ホルモン(テストステロン)の減少による可能性があります。保険適応があるわけではありませんがテストステロンの減少が証明されそれの補充を行うと素晴らしい改善が見られるという報告がされています。

DHEAというステロイドホルモンは加齢とともに減少しますが、これの補充も寿命を延長させる、活動性が増すなどいい報告があります。しかしまだ確固たる評価はありません。一般に女性ホルモンを除いてホルモンの充填療法はまだまだ症例数が少なく、副作用などまだはっきりしない点も多く、今すぐ臨床応用するのはちょっと危険かなという気がします。有害金属を除去するキレート療法もそうですが、少なくとも今、自分で試してみようという気にはまだなりませんでした。

実はテストステロンは計ったんですけどね・・・結果はまだです。恥ずかしくなかったらまた報告しますね。

抗加齢療法に入れ込んでいるドクターは一般に若々しくおしゃれで(全員ネクタイが派手!スーツの色も明るい。関西の偏見かもしれませんが東京っぽい!)、まあ老け込んでいる人が言っても説得力が無いですがちょっといかにも、というのも少し恥ずかしかったりします。ホームページを見てもかなりサロン化してるケースも多いようです。僕としては元気なご老人を増やすという目的のもと、中身重視の抗加齢医学、脳、内臓の若返りを目指して一般庶民の抗加齢医学をやっていきたいと思ってます。地味です。地味で着実にしぶとくいきます。

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