太極拳ってサルですか?
「?」
何のことか判らんだろう。これは私が太極拳を習っていることを某30代前半(多分)
の女性に述べた時に返ってきた言葉である。以下こう続く。
「さる!?」
「えー、そうじゃないんですかー。金色の雲に乗って飛んだり跳ねたりするやつ?」
「それは孫悟空。」
「えー、違うのー? あっ、何とか雑技団でしたっけ?」
「雑技団はあるけど関係ないよ。テレビなんかでさ、上海の朝の公園でおじさんとかがゆっくりと動いてるやつ、知らない?」
「・・・・・」
伊丹十三に「女性から見たこの世界の構造」(だっけ?違うかもしれないがこういう意味のタイトルです)という文章があり、人工衛星は細い金属の誘導線にまたがって移動しているとかいった恐るべき非科学的な知識を披露する女性達を揶揄したものがある。いまだと完全にアウト!!の文章だが。ちょっとそれに近い感慨を抱いたのだが、考えてみると彼女は非常に優秀な女性だし、実際太極拳といっても聞いたことはあるがちゃんと説明できるやつはほとんどおらんだろう。私自身がそうだったからな。
そんな人がまたなんで太極拳を?
これは私の仕事に関係がある。患者さんであるご老人は本当によく転倒するのだ。寝たきりになる大きな原因に大腿骨頚部骨折というのがあり、それは転倒で起こる。だから転倒予防教室というのを地方自治体でもよくやっていて、うちの診療所でも企画したことがあるが、実際のところあまり効果がない。ところが世界最大の医学データベース「MEDLINE」で、中国の伝統武術・太極拳が高齢者の転倒を減少させる効果があるとの研究結果が2004年1月に紹介されているのを見つけたのだ。これはアメリカ老年医学会からの発表で、70〜90歳の高齢者が、太極拳を1年間継続した結果、転倒のリスクが25パーセント減少したというもの。体操やエアロビクスは効果がなし。いろいろな報告があるが、学問的に転倒予防に関してちゃんとエビデンスがあるのは唯一太極拳だけなのである。この結果がアジアから出ていないというのが相変わらずだな。
アメリカは好きだからなー。ゴルフの教則本でもメンタルのことを書いた「禅ゴルフ」ってのを読んだことがあります。
ニクラウスが推薦していたやつだろう。私も読んだがティーグラウンドに立つと何もかも忘れてしまうので役にたたん。おっと、太極拳の話だが、それでこの前から週に1度、先生について習い始めたのだ。私が会得してよければ広めようと思って。いくつかの型をゆっくりゆっくりやっていく。もともと武術で、敵がかかってくるのを想定して防御し、攻撃する動きだ。大事なのは脱力すること。まだまだどがつく素人だから間違っているかもしれないが、今のところの感想は結構しんどい。最近スロートレーニングというのが注目されてるがまさにあれだな。ゆっくりした動きにかかわらず10分もすると汗ばむ。基礎代謝が上がるなーというのが分かる。太極拳をしているやつであんまり太ったやつは見たこと無いだろう。
そういえば無いですね。
それとバランス感覚が大事だ。重心の移動を意識するし、足の裏の深部知覚も意識する。ずーとやってりゃ確かに転倒しにくくなると思う。関節を痛めることも無いし道具も使わないし理想的だ。問題なのはこれが出来るご老人がいるだろうかという点だ。初めてするとすれば結構少ないぞ、多分。中年からしていたほうがいいな。今のところやっと14式(14の型)といってごく基本を教えていただいたところだが99式まである。道は遠い・・・。
・・・またどうなったか教えてくださいね。1ヶ月後聞いたら何のことだなんて言わないでよ。
音楽のアルバムタイトルで「パート1」とつけてあって永遠に「パート2」が出ないやつは結構あるな。ユーミンの「サーフ アンド スノー」や、ハニードリッパーズもそうだったっけ。「パート10」までいけたら「きんと雲」で来るよ。
前の女の子と変わらないじゃないですか・・・
「先生って孫悟空っぽいですもんね!」というのがさっきの続きだけどな。意味不明だ。