植木君は友達

この前のパールス以来、どうも植物が気になっています。ペットはいまや完全に人間のコンパニオンとしての地位が確立され、今の日本では12歳以下の人口よりペット数のほうが多いという、信じられないことになっています。飼い主に擬人化され、また特に犬は犬同士より人間に関してよりシンパシーを感じているような半人間が多い気がします。今君が飼っているのは犬じゃないよ、犬の着ぐるみを被ったちっちゃい男だ、よく見てみ。

犬が歩いている部屋で観葉植物が静かにたたずんでいる。昔サボテンが喋るというのがあったなぁ。優しい言葉、励ましの言葉を植物に話しかけていると葉がつやつやしてくるというのもよく聞く話だけど本当のところどうなんだろう。

「樹功」というのがあります。気功の一種ですが、近年リバイバル著しいらしい。木に向かって立ち、木から気を貰いつつ自分の気を練ってゆく。木と対話しながら自らも樹木となって同一化する感覚を磨いていき、自分の人間としてのあり方を相対化していく総合的な感性トレーニング。自分の気のタイプに応じて好適な樹種も異なり、自分にあったパートナー的な“私の木”を見つけることも重要なポイントとなるようです。

アロマテラピーとかフラワーレメディとか、香りや飲用することで体調を整えることも最近では普及してきていますが、もともと薬は薬草というか植物から得られたものが多いのです。そこで大事なのは単に物質としてある要素を摂取すればいいというものではなくて、樹功や園芸療法(園芸に参加することで認知症や欝などが改善することが報告されている)のように植物との関係性からその植物に「治癒」されるという可能性があることです。その関係性から、伝統的な薬草医は人間のためだけに際限なく採取することはせず、1部は他の生物のため、一部はその植物のために残しつつ(1番勢いの強い葉を!)残り物だけをいただくという植物と付き合う作法を持っていました。人と植物は共生していくのです。

恐竜の絶滅には60以上の説がありますが花によって滅ぼされたという説があります。草食恐竜の食料は羊歯だったのですが、胞子は水の仲立ちがいるため羊歯は水辺に繁殖していました。しかし花は花粉による風媒という画期的なシステム、ついで蜜を利用した昆虫との共同作業を開発したため繁殖力が大きく、羊歯はだんだん北方に追いやられ、恐竜も北方に移動せざる得なくなりました。その時期に隕石の落下が起こり決定的に恐竜は絶滅したのです。

花はその時期再び画期的なシステムを生み出しました。果物です。そしてパートナーとして哺乳類を選び、果物を食べた哺乳類が移動した先で種を排出することにより勢力を広げて行ったのです。哺乳類である人間は植物によって選ばれたことで今があるというわけですね。

どうも周りにある植物が静かに僕たちをじっと見つめている気がしませんか?あんなこともこんなこともみんな見られているぞ。悪いことは出来ません。人間だけがこの世界を支配しているという考えはとっても傲慢ですね。「プラントロン」という機械は植物の葉に電極を取り付けて電位を測定し、それを音声信号化するものなのですが、これが面白いくらい植物の環境に対する反応を反映するそうです。そして大事なのは、そこで聞き取れるのは植物とそこにいる人間との関係性を表現しているようだということです。あぁ、枯れちゃったのはもうあきれたからに違いないですね。ショック死かな。明日からちゃんと挨拶してあげよう。いいですか、みなさん。

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