「禅ゴルフ」(すごいタイトルだなー)という本を読んでいます。実は2回目で、遥か彼方に読んだときは経験不足もありあまり理解していなかった気がしますが、なんとなく引っかかるので本棚に残っていました(この春に書籍の大量処分をした)。
今読むとすごく心に入ってきます。ゴルフだろ、と言うなかれ。著者はジョセフ・ペアレントというアメリカの心理学者でチベット・シャンバラの教義と仏教のスペシャリスト。PGAのトレーナーでもあり、1番弟子がビー・ジェイ・シン(すげー!)だそうです。やってみるとわかりますが、ゴルフはメンタル・コントロールできないと上達しない。自信、安心があればミスショットしない。不安、自己不信が破滅を招く。普段のあなたの生活と同じ。著者自身も言っています、この本は人生にもあてはめることが出来るのだと。
その中で「イメージ」の重要性を述べている章があります。「イメージ」は「視覚化」ではありません。そこには触覚や聴覚、嗅覚も含まれる。いかにありありと現実に近く想像するかということです。意図したイメージをはっきり心に描けば身体はそれをなぞるように実現しようとする。ロングパットの時、入るわけないと思って打って入るわけがない。ボールが動く軌道を想像しホールに吸い込まれるイメージが出来たらそれを信じて確信して打つこと。こう構えるべきとか、マニュアルのように言葉で考えても身体は硬くなるだけでスムースに動きません。
最近PETで脳の活動を調べると、身体でイメージした部位に対応した脳の領域が実際に血流量が増えると報告されています。あなたが身体を動かさないでも思い切り右手を握り締めたイメージを描くと脳の右手の運動野が活動するのです。実際に動かしているのと同じように。
サイモントン療法というのがあります。放射線腫瘍専門医のカール・サイモントン博士により開発された癌のイメージ療法です。同じ重症度、同じ治療でも患者さんにより回復度が違う。どうもそれは患者さんの病気に対する態度、精神的な受け止め方に左右されているようであると気づいた博士は、リンパ球が癌細胞を攻撃するというイメージの訓練をすることにより癌細胞が退縮する場合があるという信じられないような結果を得ます。それを発展させて癌のみならず多くの病気にイメージ療法が適応され効果を上げています。
イメージすることで実際にそれが実現する可能性がある。これは目標を定めよということかもしれません。目標がなければ何も実現しない、しようがない。目標がリアルに想像できればできるだけ実現の可能性が増す。精神が、そして身体がその方向に動いていくのです。
患者さん、特に高齢の方を診ていて感じることは、とにかく不安の強い方が多いということです。杞憂としか思えないことを一日中考えておられ、その結果体調不良に陥る。ますます不安になるという悪循環に陥っている方が多いようです。バッド・イメージの典型です。大事なことは自分自身に対していいイメージを持つこと。望ましい生活のイメージを抱くことが実生活の改善につながるのです。高齢であるということは生活を変化させるのに遅いというわけではありません。禅ゴルフではなく禅ライフ。瞑想できればいいですがそうでなくてもいいイメージを持つ時間を作ること。まずこれから始めたら体調も変わっていくと僕も信じています。信じるものは救われる。鰯の頭も信心から。これらも同じことを言っているように思います。あきらめず、まず良くしていこうというポジティブな気持ち、目標を持つこと。成功を祈る。(おお、なんか今日は教祖みたいだ!)