最近気に入っているCDについて。
「わが名はムッシュ」、これに尽きます。
少し前に書いたレディメイドのはせべ社長が自信作と言っていたのでアマゾンの中古で購入。7年前のCDかぁ。ムッシュかまやつ氏の自己ベストというか、セルフカバー集。小西康陽氏がプロデュースしているのでただのベストであるわけがない。
ムッシュかまやつ氏が好きだったわけではない。むしろイメージとしては、「なんか訳のわかんないおっさん」。一部でもてはやされてるけど歌全然下手だしー、ハンサムでもないしー、ナヨナヨしてるしー、単に遊び人というだけじゃないの、でした。
でも少し調べるとスパイダースの中のいい曲は全部彼が書いてるのね。「あの時君は若かった」「バン・バン・バン」「いつまでもどこまでも」「ノー・ノー・ボーイ」「フリフリ」とか(おぉ、このタイトルでわかる人がどれだけいるのだろう!?僕も小学生だったっけ。でもいいや)、すべて今聴いても色あせない名曲ばかり。
このCDでは歌の合間にご自身の、またマチャアキとか友人のインタビューがドキュメンタリー番組のようにはさまれている。そこに浮かび上がってくるのは60年代の本当に時代を作った遊び人の横顔である(「飯倉片町に張り付いてました、キャンテイに行くとズズ、加賀まり子さん、コシノジュンコさんがいつも3人でいて・・・」)。みんな決して誉めているわけばかりじゃない、結構実際に困ったこともかなり多い人であろうと想像される。しかし何が許したのか、ともかく好きなことだけをやっていて(好きなことだけをできる強さがあり、常識にとらわれない何かが欠落していて)今に至っておられるようです。幸運。しかし作った歌の中に垣間見える閃光のようにきらめくセンスはなんだ!
彼のオリジナルを僕はそんなに知ってる訳じゃないのですが、ここに収められている歌は小西康陽氏のアレンジにより(彼の弦の使い方が僕はすごく好みなのです)、原曲より深みのある、凄みのあるものに仕上がっていると感じます。特にムッシュの代名詞ともいえる「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」。これにはまいるよ。一瞬にして周りの世界がブルーグレーの曇り空の古いフランス映画に変質・・・・。
是非御一聴。後悔しません。
若い頃はかっこいいよね。