カテゴリー別アーカイブ: 抗加齢

Aさんのこと

 今日久しぶりにAさんが外来に来た。僕が開業した当時からの患者さんで、今では時にビタミン剤をとりに来られるくらいでお会いする機会は無かった。10年近くお顔を拝見していなかったが、73歳のAさんは昔と全然変わらなかった。

 「びっくりするなー、全然変わられないですね!」と心から驚く僕を見てAさんは満更でもなさそうで、患者さんが少し混んでいたのだがいろいろお話した。

 彼は昔から人生に貪欲な人で、会社を興して功成り名を遂げてから(というかその前から)ヨット、車、おねーちゃんと、いろいろ遊んでいた人である。でもその頃から毎日のトレーニングジム通いは続けておられた。ムキムキではない。ストレッチとか本当に体調を整えるためのジムで、クレバーだ。

 今でもお洒落である。3年前に咽頭癌の手術をしたが1ヶ月後にはゴルフコースに出ていたとのこと。アルコールも手術後からは強いのは止めたそうだ。おねーちゃんのいる飲み屋にいくのはバカらしいから止めた(ちょっと気づくのが遅いね!)。毎日ドライビングレンジに行き、30分柔軟体操をし、スクワット、腕立て伏せは100回くらいやっているそうだ。サプリメントにメラトニンとDHAをかなり長く飲んでいる。

 僕の外来で若く見える人には大概質問をするのだが、何もしていないで若さを保っている人はいない。皆無。身体に時間をかけ、情報を仕入れ、新しいことにチャレンジしている人ばかりである。当たり前だ。誰でもそんなことはわかる。それを実行できるかどうか、ダイエットと同じでこれが案外できないんだろうなぁ。

¶??.jpg
これは間違い

 

最初の一歩

 セミナーに参加してからどうすれば120歳まで元気でいれるか、ちゃんと考えて実行しようとまじめになった。結論は見えている。①やり過ぎない、規則正しい(最低週3回、1回最低30分)運動 ②野菜、果物を中心とした食事をよく噛んで腹八分目 ③十分な睡眠 ④何も思い煩わない・・・ここらへんを押さえとけば長生きはいやというほど可能。禁煙だの適度なアルコールだのは勝手についてくる。

 今日は帰宅してから約2年ぶりのジョギングを敢行した。夜10時半から愛犬とともに道路に出る。80歳の爺さんでももう少し速いだろ、というスピードで歩きも交え30分。満足しました。あと風呂に1時間。今日の、仕事以外やったことの総てです。もういいや、どうでも。

 他人にとってはたいしたことでなくても、僕にとっては偉大な1歩でした。
”That’s one small step for other people, one giant leap for me.”

〓〓〓〓.jpg
走ったのはアスファルトだけどね

セミナー

 2日間の抗加齢医学会のセミナーが終わりました。朝から晩までまじめに参加しましたが、行ってよかったです。知識が増えたということはもちろんですが、やろうとしている抗加齢クリニックのプランが、行く前と行った後で変化した。これは僕にとってかなり大きいことです。ずーとこんな感じで行こうと練っていたのが知識を得ることで変わってしまった。もちろんいくつかある選択肢の一つではあったのですが、確信を持って変更できたのはよかったと思います。

 会議をするなら必ず何か1つ結論を出せ!というのは斉藤孝氏だったと思います。意味なく話し合いをするのではなく、それだけ時間を使う以上はこれからの方針を決めることを何か出さなくてはもったいない。学会に参加するのも同じで、行ったなーという記憶だけで終わっていてはあまりにももったいない(実はそういうのもある)。やる以上は行く以上はなにか実質的に進歩しなくちゃね。そういう意味でも収穫のあったセミナーでした。

 抗加齢医学は予防医学であり、これから絶対に必要なものです。そして僕自身が元気で120歳まで生きる、90歳まで仕事するためにも、自分自身のために必要なものと感じているからやっていこうと思っています。抗加齢クリニックをやっている先生、興味を持っている先生はみんなやはりまず実践からやっているようで、それもわかってよかったな。

igakukai.jpg
勉強、勉強

バカはなおせる、って。

 面白い本を読んだ。久保田競先生の「バカはなおせる」だ。キャチィーなコピーだなー。担当の編集者が提案したのだろうが、売れ行きを上げるタイトルだと思う。実は秋にある医師会主催の区民講演会で演者になっていただくため、僕は最近著者の久保田先生とお会いしたのだ。温厚実直そうな先生で、直接は言われなかったがこのタイトルは御本意ではなさそうであった。

 先生は任天堂の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で有名な川島隆太教授の師匠で、学術的な発表も非常に多い脳研究の第一人者である。語りおこしで読みやすいこの本は、脳の本を結構読んでいる僕にとっても興味深い記述の多い、有益なものであった。

 一つ紹介すると、「見ること」についての加齢の影響。観察の重要性。単純に言うと、若い頃は観察力が優れて細かいところまで自然に見ているが、年をとるとぼんやりとしか見ていない。意識して注視してみるとその分野の脳細胞が若返るということが証明されているという話。メカニズムはもっと複雑であるが、大事なことは訓練により機能は十分回復すること。

 人間は見たいものしか見ていない。年をとると新鮮なものは少なくなり、注視する機会は少なくなる。僕が個人的に共感したのは、意識して注意深く観察していると、そのものに対する考えが自然にいろいろ浮かんでくるという経験を自分で意識しているからだ。観察は大事だ、まず注意深く見ることだと感じていたのだが、それの裏付けをいただいたような気がする。

 全体を通して、ボーとしているのはだめだ、わずかな時間でも観察し、考え、身体を動かせ(特にjoggingの有用性は力説!)、楽しめ!と主張されている。そのとおり!明日といわず今から走り出したくなるよ。

images????.jpg

触媒を捜せ!

 今日はあまり疲れなかった。日によって大変疲れる感じが違う。考えてみると肉体的な仕事量はあまり変わらない。だのに、とてもやってられない位しんどい時もあれば、今から1日働けそうな気分の時もある。

 「脳は疲れない」。これを読んだ時、目からうろこが落ちた(古臭いたとえだなぁ)。糸井重里と池谷裕二の「海馬」である。いい本だ。この本から僕のマイ脳の本ブームが始まった。脳は疲れない。疲れているのは目なのだと若手の薬学博士は言う。脳研究の第1人者だ。

 目かぁ。そうかもしれない。でも自分の1日を振り返ってみると、目も含めて身体的には僕はタフだ。問題はエモーショナルな領域。精神的、感情的な疲れなのである。

 身体的にはまったく疲れてなくても、気分的によろしくないと疲労感は強い。肉体的な重労働はむしろ気分の高揚を呼ぶ。感情的にグッドな出来事があると、それまでの疲労感は一気に消える。化学反応のように。ドーパミンが爆発するのだ。

 身体的な疲労は睡眠でしか解決できない。しかし精神的な疲労は休んでもだめで、楽しい気持ちを触媒にして分解するに限る。触媒を捜せ!

 
 

非実用性の快感

 スポーツカーは衰退していると言う記事を読んだ。ホンダやトヨタが2ドアクーペ(インテグラやセリカ!)の製造を打ち切ると発表した。車は実用性が大事というのが一般的な感覚になりつつあるとのこと。

 僕はFairlady Zのロードスターに乗っている。色はしかもオレンジ。地味でしょ? Zに乗ってますというと、俺も好きだったとか、懐かしいとか、おっさんの過去への回帰趣味と思われるのがうっとおしい。僕はZに何の思い入れもないよ。デザインとかもろもろの条件を考えて決定した。
 
 大変満足している。

 「ロスト・イン・トランスレーション」という素敵な映画に中年男がミドルエイジクライシスだと言うと、ポルシェを買ったのかという台詞が続いた。年をとることを恐れるようになると若さを取り返そうと暴走するのは洋の東西を問わないらしい。

 残念ながら僕は違うよ。Zよりも問題はオープンだ。屋根無しで走ること。これが根本。僕は結構いい年になってからバイクの免許を取ったのだが、走っていると風、空気の温度、匂いにすごく敏感になる。それに喚起される感情が多分精神を若返らせる。

 こんな空気の悪いところでよく走るねと言われることもある。工場排水でにごった西宮の海でもウインドサーフィンは楽しかった。環境が良いに越したことはない。でもそれだからといって乗らないのはもったいない。

 とりあえず真冬以外は出来るだけオープンで走る。走った距離だけ時間が逆行する。実用性?お好きな人はどうぞ。僕はいやだね。